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メウル

 そうこうしているうちによお、俺たちゃとっくに村の前。ひっきりなしに悲鳴が聞こえて、ゴブリンどもが植物に、襲われてやがるなあ。抵抗むなしく捕まって、宙吊りになる子ゴブリンが、あっちこっちで増えてやがる。まあよ、俺は村をよお、滅ぼす気でいるもんだから、助ける気なんて更々(さらさら)ねえな。そいだらブリ子が俺の腕から降りて歩き出してよお、思ったよりも足取りが、しっかりしてるもんだから、回復力がすげえなあ、なんて思って見ていたら、ブリ子は蹴りで植物を、ズバズバ斬って子ゴブを助けた。さっき瀕死だったから、動けるだけでも大したもんよ。だけども、動くだけじゃなく、ズバズバ斬ってるもんだから、どういうことだ?と思ったな。見ればブリ子の足にはよ、かすかに光が宿ってる。これはいわゆる光剣よ。力を消耗してるから、かなり出力低いがよ、チラッと植物斬るだけならば、これくらいがいいかもな。そう思ったもんだけど、ブリ子の体力回復は、かなり速いんだろうなあ。徐々に光が濃くなりやがる。うちの流派の技はよお、体力ねえとキツいんだけど、ブリ子の体力見てたらよ、ババアがコイツに技教えたのが何か納得出来るなあ。霞斬りで生きてたし、コイツはちょっと面白いヤツだ。


 しかしブリ子のヤツはよお、子ゴブを助けてどうすんだ?男たちを殺したオマエが女子供を助けても、後から恨みが増すだけよ。それは俺からしたらよお、甘ちゃんがやる偽善だし、逆に残酷だとすら思う。だから俺はブリ子によ、「やめろ」って言うつもりだったけれど、ブリ子が助けた子ゴブリンがよ、俺たちの前で発火して、絶叫しながら息絶えた。そしたらブリ子は愕然よ。そんでその場に膝ついて、「何が……」なんて言ってるけどよ、魔力の流れを辿(たど)ればよ、行き着く先に術者がいるな。だから俺はすぐさまよ、魔力の残滓をこの目で見たな。そいだら空に伸びてるからよ、チラッと上空見たらばよ、そこには白いローブ着て、フードを被った男がよ、フワフワ浮いてやがったな。そんで向こうも俺を見て、「何者だ」って言いやがった。おめえ、俺を忘れたのかよ?俺たちゃ昔組んでたよなあ。「メウル、てめえが黒幕か」「その声、まさかディー・ヤーか?  オマエも人を捨てたのか」なんて言いやがったよな。何年ぶりの再会だ?俺が現役引退してよ、五年、六年、七年、八年、九年だったか?十年経つが、ヤツの見た目は変わらねえ。着ているローブも変わらねえ。だからすぐにヤツだと分かった。なのにメウルのヤツはよお、俺が誰だか分からなかったみてえな口ぶりしてるから、俺はイラッとしたもんで、「誰が人を捨てるかよ。 てめえ、何を言ってやがんだ」なんて言ったもんだけど、そいだらメウルのヤツがよお、「人とは思えぬ醜さだ。 ディー・ヤー、今のオマエの顔は、無能で醜いゴブリンどもと、さして変わらん様に見える」なんて言いやがってよお、俺はほんとにむかついた。

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