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ゴブリンどもの仲間割れ

 ブリトニーはポリポリ頭をかきながら、何だか恥ずかしそうにはにかんでたが、不意にキリッと引き締まった顔になって、サッと飛び退いた。そしたらばよ、さっきまでブリトニーが立っていた場所に、鎖棍棒が叩きつけられた。地面が陥没して、その威力を物語ってやがる。ゴブリンにしちゃあデケえしよ、若草色の比類なき戦士(笑)、そこそこやるな、ってなもんで、一度ならず二度までもブリトニーに攻撃してきたもんだから、仲悪いなんてもんじゃねえ。更に、四方八方から、チビゴブリンどもが矢を射る。その狙いは雑で、ちゃんとブリトニーに向かって飛んでる矢はそんなに多くはねえ。ブリトニーもそれを分かってるみてえで、落ち着いて全てかわしきった。そんでブリトニーはヤツを(にら)む。そいだら(にら)まれた若草色の比類なき戦士(笑)が手をかざしてよ、また矢が飛んだよな。そんで「よけるんじゃねえ! (すべ)てを(すべ)べる至高(しこう)なる士魂(しこん)サマの命令が下った! 最高の命令だ!」なんつってやがる。全てを統べる至高なる士魂、ソイツが黒幕か。って、スベスベシコシコうるせえな。何なんだよその呼び名はよ。名店のうどんかソイツは。緑色だ若草色だっつってたのに、ソイツの呼び名には色はねえのかよ。名前の付け方統一しろよ。全く、芸が(あれ)えよな。そんなことを思っていたらば、俺は不意に、フワッとよ、うどんだったら白だろ、なんて思ったのよ。そしたらもうダメだよな。変な想像しちまってよお。どんな想像かっつーと、ドルイドが全身真っ白のヘンなヤツ。そんで俺に向かってよ、植物魔法で(つる)を伸ばして来る、ってなもんで、俺の腕に(つる)が巻き付くわけよ。見たらば、おい!うどんじゃねえか!っていうな。(つる)がうどんでツルッツル、っつって、やかましいわ!あー下らねえよ。こんなんお前、突拍子もねえ想像してよ、ほんとに究極下らねえ。なのに何だかおかしくなって、笑いそうになったんだけども、ゴブリンどもが真面目に対峙してるもんだから、今笑っていい空気じゃねえと思ってよ、俺は全身全霊かけて、これがほんとに我慢した。だってよ、ブリトニーが愕然としてて、黙りこくっていやがって、これはほんとに笑っていいタイミングじゃねえよ。なのにマオがよ、あんにゃろう、ププーっつって吹き出して、「スベスベシコシコおうどんじゃん」っつって笑いやがった。俺は我慢したってのによお、おめえもそんな体たらくじゃあ、また笑いが込み上げて来やがるだろうが。ダメだろお前、バカ野郎。さらにマオはよ、「黒幕のスベスベシコシコのおうどん屋さんの店主」っつって、色は黒幕の黒!そう来たかおめえガハハハ!ってなもんで、そいだら俺の頭ん中に、誰ともつかねえうどん職人のオヤジが出て来ちまってよお、のれんをかけてて、黒い幕!っつって、もうダメだ、俺も乗っかるしかねえ、ってなもんで、俺はよ、渋い声でよ、「うどん職人の朝は早い」っつって、自分でクッっつって笑っちまって顔を背けたもんだけど、そいだらマオもクッっつって、あんにゃろうも笑ったな。そいだらグスマン、このタイミングでよ、「うろん」っつって、こんなことあんのかよ!?あーダメだ声出して笑っちまう、あーダメ、もうムリ限界だ、ってなったその時に、ブリトニーが()えやがった。これがよ、若草色の比類なき戦士に向かってよ、えらい剣幕で、「あの方がどんな命令を下したというのだ!」なんつっておめえ、いきなりデカい声出すもんだから、俺はビックリしちまって、笑いが引っ込んじまったな。そんでブリトニーの顔見てみたら、思い詰めた表情なわけよ。こりゃあ黒幕のうどん屋を、相当信頼してるよな。そんでしばらく沈黙あって、ゴブリンどもが一斉に、笑い出してキモかったな。どうやらコイツら、ブリトニーをバカにしてやがる。まあ仲間割れなんていくらでもしてもらって構わねえし、何とも思わねえけども、こうなるとおめえ、笑えなかったことにムズムズモヤモヤして来てよ、ああ、思いっきり笑いてえ……!このモヤモヤどうしてくれようか、なんて思ったもんだけど、若草色の比類なき……あー、この呼び名も何かもうめんどくせえな。若草色のアイツよお、デブのゴブリンだから、デブリンでいいだろ、もう。……んでデブリンがまた手をかざしたのよ。そしたらばよ、チビゴブリンどもがまた矢を射った。そいだらブリトニーが悲しそうな目でチビゴブリンどもを見回したよな。そんでチビゴブリンどもは、何か嘲笑うみてえなヤな雰囲気よ。ブリトニーはそのヤな雰囲気にまた悲しそうな顔をして、ちっとばかしうつむいた。おめえ、そりゃそうだよな。ブリトニーはアイツらをよお、同胞だ、っつってよお、俺に突っかかってきて、光剣カカト落としまでやった。正直言って驚いたけども、俺がマジになったらば、勝つのは俺に決まってるし、俺の強さはブリトニーも、薄々気付いてるはずなのよ。だってよ、おめえ、俺からは、強者の雰囲気出てるだろ。なのに同胞の為、ってなもんで、立ち向かって来たわけよ、ブリトニーはよ。それなのによ、それなのに、その同胞から攻撃されるんだから、そりゃあ顔も曇るよな。そいだらデブリンが汚えツラぁ歪めてよ、グヒヒグヒヒと嘲笑(わら)いやがる。何だかムカついて来たな。そんでこれがよ、得意気に、「今日からここのボスは俺だ!」っつって、何だか雲行き怪しいな。そいだら当然ブリトニーが、「何故だ!」ってなもんで、デブリン、「士魂サマの命令だ!」ってなもんで、周りのチビゴブリンどもも、ニヤニヤ笑ってやがってよ、こりゃあ仲間割れっつーか、一方的な制裁よ。ブリトニーの味方は全然いねえ。こりゃあしっかり溝があるな。まあよ、ブリトニーはよお、筋通そうとした流れで、俺らの肩持とうとしたよなあ。こっちとしちゃあ話せるヤツに見えるけど、ゴブリンどもから見たらよお、こういうヤツは組織の空気を乱すよな。馴染めてねえって感じはあるし、仕方ねえっちゃ仕方ねえよ。

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