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第七話 トゼフルの住民“ヒューマン” 1

今の、街の探索が終わった後に、序章の戦闘シーンへと続くような流れになっています。

 リップオフが去ってから、しばらく地球人は見なくなった。

 いや、実際には俺たちと同じ32組のパーティーであろう地球人は何組か見かけた。

 それは、装備している、もとい着ている服を見れば分かる。


 かわりに、この星の住民であろう肌の赤みがかった人(?)は、通りを行き交っている。が、大抵の人はこちらを見ると、顔をしかめて通り過ぎていった。

 俺たちは、どうにも話しかけづらく仕方なしに、まずATMを探すことにした。

 武具を買うにも、お金を換金して持っておかないと、ここではキャッシュレスという訳にはいかないらしい。


「まさか、個人の家の中にはないよね? あるとしたら、商店の中? 銀行的な何か? 案外、駅にあったのを見落としてたりしてね……」

 マリが言う。


 3人はそれだ! という顔をしてマリの方を向いた。



 駅に戻ってみると、それは確かにあった。

 改札を出て右手に向かって歩き、壁面の凹んだ所に鎮座ちんざしていた。


 おまけ好きのリップオフも、ATMの場所はただでは教えてくれなかったな。

 まあ、俺たちも聞かなかったし、これに1万も取られたらもったいない。


 ATMの前に立つと画面がパッとついた。

 この星には似つかわしくない機械だ。

 明らかに、この星の物ではない。

 それは、駅舎や列車もそうだった。


 画面には、【お引き出し】【お預入れ】【お振込み】【その他取引】【GM】【目標金額変更】【メル→円】とある。


 まるで銀行だな。

【目標金額変更】が気になった。

 期待感を持って、画面にタッチする。


「スマートフォン端末を、読み取り部にタッチしてください」


 俺は、言われたとおりにスマホをかざす。


 画面には、こんな風に表示される。

「金額を入力してください。下方修正はできません」


 ダメか……。ダメもとで、300万と入力してみる。


【エンター】を押すと、はたして画面には

「下方修正はできません。入力をやり直してください」と表示される。


 あきらめて、【戻る】ボタンを押す。

 目標金額10億はかわらずだった。


 気を取り直して、【お引き出し】ボタンを押した。


「お引き出し金額を入力してください」


【全額】ボタンを押す。

 金額入力欄に12,400〔メル〕と出力される。


「スマートフォン端末を、読み取り部にタッチしてください」


 ふたたび、スマホを読み取り部にかざす。


「ご利用、ありがとうございます。初回利用者には、お財布代わりの皮袋が付きます」と表示され、取り出し口に皮でできた巾着袋きんちゃくぶくろが出てきた。


 中を見ると、金貨が1枚、銀貨2枚、白銅貨4枚が入っていた。


 俺は財布の中身を3人に見せながら、

「これ、このまま地球に持って帰った方が、高く売れるんじゃないか?」と話す。

 まあ、許されないだろうが……。


 俺の後に、マリ、ハタカが換金し、それぞれ1万〔メル〕すなわち金貨1枚ずつリュークに渡した。

 情報屋に払ったお金をリュークが立て替えた分だ。


 リュークも財布欲しさに、3人の後に1万5千を換金していた。



「さて、後必要なのは武具と、情報ももう少し欲しいですね。酒場か冒険者ギルド的な場所を探しましょう。武器、防具屋と酒場どちらが先に見つかるか……」


 地球人を探しに歩きだしたときとは向きを変えて、今度は月を右手に見て通りを進む。

 しばらく行くと、その店はあった。

 奇麗に武器や防具が陳列ちんれつされている店をイメージしていたが、それはやはりゲームの中の武器屋だった。

 現実には、汗臭く蒸し暑く、中に釜がある。

 そう、鍛冶屋が正解だった。

 少し遠くから、カンッ、カンッと金属を叩く音が聞こえていたので、案外簡単に見つけることができた。


 店の外の木箱に、無造作に入れられていた剣を手に取ってみた。少し重みがある。

 そういえば武器の強さは、やはりRPGシステムによって数値化されているのだろうか。

 スマホを見て、何か武器の強さをしる手掛かりはないかとアプリのホーム画面を探ってみる。

【装備】ボタンを押すと、体の各部位に装備するものを選ぶ画面になる。

 下の方にスクロールすると、カメラのアイコンボタンを見つけた。

 そのボタンを押して、武器が写るようにスマホをかかげる。


 スマホの撮影画面に小さなウィンドウが表示された。

==========

 ショートソード

 攻撃力:8

==========

 なるほど、このシステム良くできているな。


 そばにいて、俺のしていることを眺めていた3人に、それぞれスマホの画面をのぞかせる。


「なるほど、そうやって武器の攻撃力が数値として読み取れるんですね。私もやってみよう」

 言いながらマリは、壁にかかった弓に向けてスマホのカメラを向ける。


「弓、攻撃力7ですって」


「弓の場合、その数値に矢の攻撃力が加わるでしょうね、たぶん」

 マリの言葉に俺は反応する。


 それを聞いてリュークが近くの矢筒にささっていた矢を1本取り上げる。


「木の矢、攻撃力3。ふんふん、なるほど、合わせて10か。鍛冶屋に木の矢なんてあるんだな」


「矢じりが金属ではないですか?」


「うん、そうだ。この部分を作っているんだな」


「値段はありませんね。いくらぐらいするのでしょうか」

 ハタカが俺の持つショートソードを見ながら言う。


「中で聞けばわかるでしょう」答えながら、俺はショートソードを元に戻した。



 店の扉を開けて中に入ると、熱気を感じる。


【通訳】ボタンを押しながら、鍛冶師に話しかけると、

「おめえらに売る武器はねえぞ! 出てけ!」


「え、どうして……」


「どうしてだと? おめえらはこの街に何をした? いいから、出てけよ!」


 俺たち4人が入りかけていたところを、立ち上がってやってきた鍛冶師にそのまま追い出されてしまった。

 RPGシステムによって、普通に会話ができる事よりも、鍛冶師の対応に驚いてしまった。

 まあ、街に不釣り合いな駅や、この街の住人の様子を見ていると、想像にかたくないといえば難くはないが……。


「困りましたね、武器が無いと戦いようがない」ハタカは言う。


「前途多難だな」とリューク。


「仕方ないですね、武器は後回しにして酒場かギルドを探しましょう。鍛冶屋で教えてくれないかと思いましたが、会話さえ成り立たない状況では……地道に探しますか」


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