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第二十四話 リップオフ

今回、かなり短めです

 酒場の店主に聞いた夕方の5時も近くなったので、リップオフに会うために酒場に戻る事にした。

 “三本目の尻尾”を売ったお金でいくらかは情報を得ることができるだろう。

 石畳いしだたみが連なる街並みを遠くからの赤い光が彩っている。

 酒場はいよいよにぎわいを見せ始める。

 店内に入り一通り見て回ったがリップオフの姿は見られない。

 店の奥まった角の座席を確保した。

 周りからは大きく目立たないが、ここから店の入り口が見え、入ってくる客の顔ものぞける。


 酒場へ来たのはリップオフに会うためだけでなく夕食も兼ねていた。

 何を食べようかと相談していたところで、店の入り口から目的の人物が入ってくるのが見えた。

 打ち合わせの通り、マリがスッと席を立ち入口へと向かう。

 正直、女性をそういう役柄として使うことに本当は抵抗があった。

 しかし、提案したのは他でもないマリ自身だったのだ。


「店内に入ってきたら私が呼びに行くわ。その方がこちらの席に来てくれそうでしょう?」


 俺以外の男2人も同じような考えだったようで、あ、いや、待って、それはちょっとどうなのかな……という顔をしていた。

 が、特に断る理由もなかったのでみな静かにうなずく。

 セイブはこういうことにはうといらしい。

 まあ、そもそも人種が全く違うのでピンとこないのかもしれない。

 1人静かに黙って聞いていた。


 入口付近でマリがリップオフに声をかけ、何やら二言三言ふたことみことやりとりをした後、2人でこちらに向かってくるのが見えた。

 リップオフの前を歩くマリがこちらに向かって、こっそりと右手でOKマークを作って見せる。


 空いている席をマリがすすめる。

 席に座りながらリップオフが言う。


「お前らか。ここに来て3日だろう?毎日よく会うな。で、なんだ?懲りずに俺に金をみついでくれるのか?」


機械獣きかいじゅうのことを知りたい」


 途端、リップオフの表情が変わった。

 だるそうな感じから、真剣な顔つきになる。


「お前らいくつになった?職業は?教えてくれ」


 ここでいういくつとは、もちろん年齢ではなくレベルのことだろう。


「レベルによって情報料を上げようっていうんじゃないのか?」


「そんなことはしない。情報が欲しいのなら正直に答えてくれ。レベルいくつだ?」


「それぞれ、9と10だ。職業もいるのか?」


「9、10かすごいペースだな。まだ、3日目だろう。職業も教えてくれ。盗賊はそこの兄ちゃんだろう。他は?」


「この人がウィザード、彼女がプリースト、俺がシールドアーマーだ」


「シールドアーマーだと!?昨日“六本目の爪”を俺とトレードしただろう?それからさらに3個集めたのか?」


「嘘じゃない、どうやったら見せられる?」


 スマホの画面をリップオフに見せるような仕草しぐさをする。


「いや、いい、信じる」


 そう言いながら、リップオフは俺がスマホの画面を見せようとする動きを制止する。


 リップオフは少し逡巡する様子を見せたが、自分に言い聞かせるようにウンとうなずいた後、まっすぐに俺の目を見て言った。


「昨日までの非礼ひれいびよう。知っている情報は全て無料タダで教える。そのかわり1つだけ条件をんでくれ」


 昨日までのリップオフではない、まるで別人だ。


「条件ってなんだ?」


「俺を仲間に入れてくれ。お前たちについて行かせてくれ」

いつも読んでくださってありがとうございます。

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