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第二十三話 魔法スキル『ゲート』

今回の内容は駄文です。

読み飛ばしてもらっても、支障はありません。


目標金額達成までの残金を追記(2020年7月12日追記)

「リップオフなら、夕方5時ぐらいにいつもこの店に来るぞ。まあ、来ない日もあるがな」店主が言う。


「どうもありがとう」

 俺たちは礼を言う。


 それを聞いて、店主はカウンター内へ戻っていく。


「5時まで、まだ1時間以上もあるな。するべきことのリストをこなしながら、街の中でリップオフをさがしてもいいか」

 リュークが言い、


「「そうですね」」

 マリ、ハタカが答える。


「次は、③だね」

 リストを確認しながら、俺が言う。



 ①次に進むべき街の情報、最終ボスにつながりそうな情報の収集

 ②リュークの盗賊スキル『マップ』の取得と地図まっぷの確認

 ③ウィザードの魔法スキル『ゲート』の仕様の確認と出口登録

 ④転職キーアイテムの売却、トレード

 ⑤武器の調達

 ⑥サバイバル用品、道具の調達

 ⑦これから行く街に合わせた衣類、防寒具等の調達



「『ゲート』の出口はどこに作るべきかな?」


「何か、案はあるか?」


「この酒場」


「駅の改札口」


「街の出入り口の門」


 皆が口々に言う。

 結局、多数決で駅の改札口に決まった。


 全員で酒場を出て駅の改札口へと向かった。

 セイブには別行動してもらっても良いと伝えたが、興味があるということで付いてきた。


 駅の改札口。

 なるべく人通りが少なそうな場所を選んで、ハタカは魔法印を結び、「ゲート①・レコード」と唱える。

 スマホから音声が流れる。


「トゼフル、w-31、n-28、ゲート①記録しました」


「よし、それじゃあハタカさん、俺ここに立っていますから街の外にいったん出てゲートを開いてここに跳んできてください。セイブもついて行ってもらって、ゲートをくぐれるか試してみてください」


「もちろん、そのつもりだ」

 セイブが言う。


 俺とマリが駅前に残り、3人が街の外まで行く。

 RPGシステムアプリのコミュニケーションボタンから【パーティー】を選び、通話しながら『ゲート』の実験をすることにした。



 実験1:『ゲート』を開こうとした先に人が立っているとどうなるか?


 異空間に飲み込まれても嫌なので、まず駅前に積まれていた木の空箱――荷物運び用だろうか?――をハタカが『ゲート・レコード』で記録したあたりに2段に積んでみた。


「OK、そこら辺にあった木箱を積んでみた。試してみてくれ」


(わかった)


(「ゲート①・オープン」)



 木箱から右に2m離れたあたりの空間がグニャっとゆがんだかと思うと、表面が波打つような縦に長い楕円形の鏡が現れる。

 ハタカがその鏡の中からヒョコっと顔を覗かせる。


「「「おお~!」」」((おお~!))

 全員の声がかぶる。


 ハタカはゲートをくぐらずに、向こう側に戻る。


「ゲートは少しずれて開いた」


(OK、了解。そのまま実験2に移行します)


「実験3もやってしまおう」


(了解)



 実験2:ゲートは何秒ぐらい開いているか?

 実験3:開いたゲートに反対から通れるか?


 こちらに残っていたマリが、素早くゲートを通過し向こう側に跳ぶ。


(実験3成功です)

 マリの声だ。


「了解、そのまま閉じるまで時間を計ってくれ」


(了解)


 間もなくゲートが閉じる。


(実験2きっちり20秒だ)

 リュークの声が聞こえる。


「了解。今度は木箱をそのままにして、今閉じたゲートの所に俺が立ってみる。」


(了解。「ゲート①・オープン」)


 さらに俺からずれるように2m離れた所にゲートが生成される。

 なるほど、障害物はよけながら近くにゲートが作られるんだな。


「そのまま、実験4と5を頼む」



 実験4:ゲートは4人以上通れるか?

 実験5:RPGシステムに関係のない人はゲートを通れるか?


 セイブを含めた4人がゲートを通って駅前まで戻ってくる。


「すごいな!」


 セイブが非常に驚いて、子どものようにテンションを上げている。

 俺たちも充分に驚いているが、セイブのはそれ以上だ。

 何といっても、青色猫型ロボットが持つピンクのドアをはじめとする、空想の世界ではよく目にする事象が、現実に目の前で起きているのだ。

 びっくりしないわけがない。

 ましてや、セイブはその空想の世界さえも知らないはずだ。



 そうこうしているうちに、地球人のパーティーらしき4人組が近くまでやってきた。


「何をしているんだ?」

 そのうちの1人が聞いてくる。


 俺と年はそんなに変わらなさそうだ。


「ウィザード魔法スキルの実験だよ」


「見せてもらってもいいか?」


「別に構わないよ、どこかの誰かみたいに情報料をとったりもしない」


「それって……」


「「リップオフ!?」」

 俺とそいつの声がハモる。


 あいつはいったい、どれだけの地球人をカモにすればいいんだ?


 もう少し話を聞きたいところだが、次の実験にはタイムラグが重要かもしれないので、

「ごめん、リップオフの詳しい話はこの後で聞かせてほしい」

 と伝え、

「ハタカさん、実験6だね」と話す。



 実験6:もと来た場所にゲートを開いて戻れるか?


 すでに、先ほどのゲートは閉じている。

 ハタカが印を結んで「ゲート①・オープン」と唱える。


 果たしてゲートの出口は、生成した入り口の少し離れた先にこっちを向いて開いていた。

 思った通り実験6は失敗だ。

 すなわち、一度開いてゲートが閉じてしまうと、一方通行ということだ。

 もと来た場所に戻ろうと思ったら、2つ目のゲートの出口をこっちに来る前に登録しておく必要があるということだろう。


 何を思ったか、ハタカがゲートをくぐりかけて途中で体を止める。

 入口と出口からハタカの体が半分に割れて見える。

 気持ち悪い。


挿絵(By みてみん)


「うげっ、気持ちわりぃ」

 後から来た4人組のパーティーも声をあげた。


 その様子を見て、マリがクスクスっと笑う。

 むぅ~、クッソー、ハタカめ。

 またしてもマリの心をつかもうとして!

 そのままゲートが閉じて体が半分になってしまえ!っと、いかんいかん、ダークコーイチローが心の中に出てしまった……。

「ハタカさん、20秒なりますよ!」

 リュークが叫ぶ。


 慌てて、ハタカが飛び跳ねるようにピョンピョンとゲートを抜ける。

 それを見て、さらにマリが笑う。

 何だか、ハタカの行動がツボにはまっているようだ。

 マリが笑うのは、可愛いからいいのだが、それを笑わせているのが俺じゃないことに、苛立いらだちを感じてしまう。

 クッソ~、妻子さいし持ちめ!


 すぐにゲートも閉じた。


「へぇ、すごいもんですね。まるでどこでもド……」

 さっきの男が言おうとするのを、俺は慌てて口を閉じさせる。



 {そうそう、青い猫型ロボットの持つピンク色のドアね。具体名を出さないように。この世界では禁句です}

 どこからともなく、声が聞こえてくる。

 ん?誰か何か言ったか?



「やっぱり実験6はダメでしたね。もとに戻るには、2つ目の出口を設定しておかなきゃいけないですね」


「そうなると、スキルをレベル2まで解放しなきゃいけないな」


「ハタカさん、お願いします」

 もともと、レベル2ありきの魔法スキルということだろう。



「あのう、すみません」

 さっきの、4人組パーティーのうちの1人の男が話しかけてきた。


「あ、俺、エヴリウェアって言います。もちろん、本名ではありません。リップオフいわく俺たち32組らしいです」


「俺たちも32組だ」


「そうなんですか?ウィザードってことはもう転職したってことですよね?」


「うん、そうだ」


「早いですね。転職ってどうやるんですか?」


「え?レベル5に上がったときに、転職クエストが解放されたろう?」


「いや、俺たちまだレベル3で……」


「そんな装備してるのに?素材売ってそろえたんじゃないの?」


 青銅ではない鉄系の装備をしている。

 4人の中の1人に至っては、俺たちの装備よりも良さそうだ。


「実は、持ってきたお金がそこそこあって、それで装備を揃えたのは良かったんだけど、猫が倒せなくって……」


 なるほど、セイブのようなヒューマンがこのパーティーに付いて回っていないのも、“猫を倒せない、付く必要なし”と判断されたのかもしれないな。

 しかし、お金はあるようだ。


「リップオフに聞かなかった?」


「明らかにボッタクリだったので、俺らケチって払わなかったんです」


「なるほどね。俺らも情報料取るよ、と言いたいところだけど、いいよ、なんでも聞いて。教えられる範囲で無料ただで教えるから」


「ありがとうございます。それで、転職ってどうすれば?」


「あぁ、そうだったな。レベル5になったら、転職キーアイテムっていうのを職業ごとに3こずつ集めて」


「転職キーアイテム?」


「トレードこっちによこして。見せるから」


「あ、はい」


 エヴリウェアから来たトレード申請に対して、トレード欄に“三本目の尻尾”を載せて見せる。


「具現化できないRPGシステム内専用のアイテム。トレードはできるからこうやって見せることもできる」


「なるほど……」


 いろいろと転職について基本的なところはおさえて教えた。

 ただ、有用なスキルが何であるかとか、システム外スキルについては一切話していない。

 もちろん、こちらのレベルや職業についても同様だ。

 まさか、4人全員が転職済みでレベルも9以上あるとは思っていないだろう。

 ここに来てまだ3日目だ。


 そして、彼らに“三本目の尻尾”を10万〔メル〕で売ることに成功した。

 リップオフの30万の話をしたら、快くトレードに応じてくれた。

 どうやら、若いのに動画配信サービスでもうけている奴がいたらしい。

 ITベンチャー企業の立ち上げに、まとまったお金が必要だったらしく、それが理由でこのツアーに引っ張られたらしい。

 とにかく、するべきことリストの④が終わったことになる。


「リップオフにはいつ会った?さっきか?」


「いや、さっきじゃないです。昨日です。明らかに、ここに慣れた地球人のように見えたので、いろいろと教えてもらおうと思って声をかけたんです。そうしたら、情報1件につき3万だって言われて……」


 3万って……、俺たちの時は1万だったが?

 装備を見て、金を持っていそうだと判断されたんだろうなぁ。


「ふざけるな!って、何も聞かずに別れました」


 リップオフはとんでもないな……。



「目標金額達成まで残り 999,969,900/1,000,000,000〔メル〕」

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