第二十話 鍛冶屋のオヤジ
更新が遅くなりました。文章量も少なくなってしまいましたが、次の部分が長くなりそうだったのでここでいったん切ってアップしておきます。
本日2度目の鍛冶屋→ではなく→3度目の鍛冶屋、でした。(2020年7月3日訂正)
目標金額達成までの残金を追記(2020年7月12日追記)
本日3度目の鍛冶屋のオヤジは少々無愛想だった。
まあ、昼前にあれだけ換金してもらいながら、何も買っていかなかったのだ。
当然といえば当然か。
「おう、今日はよく来るな。何の用だ?」
「武具を揃えに来ました」
「ふん、そんなのあったりめぇだろ、ここは鍛冶屋なんだからよ。換金屋かなにかと勘違いしてんじゃねぇのか?」
そんなオヤジもボス鹿の角を見ると、表情がガラッと変わった。
ただ、その前にハタカの魔法でとんでもなく驚かせることになったが……。
ハタカが慣れた様子で『魔法印』を結び、
「インベントリ」と唱える。
周りのことを考えずに『インベントリ』を唱えたので、ハタカの前を起点に、オヤジから、ツールログ、金床、炉にいたるまで、そこら中にあるものを飲み込むかのように大きな宝箱が広がった。
「うお!おいおいおい!なんだっなんだっ!?俺の店を無茶苦茶にする気か!」
見た目に反して、物がぶつかったり倒されたりするような大きな音はしない。
「お、お、お?こりゃどうなってんだ?俺の体、突き抜けて…………痛くねぇぞ?」
ハタカが箱の中から皮袋を1つ取り出すと、そのサイズに合わせて少し箱が縮む。
中の荷物を1つ取り出すたびに箱が縮み、最後の荷物を取り出したところで、箱の大きさは両手で抱えられるぐらいにまで小さくなった。
そこで、「クローズ!」とハタカが唱えると宝箱が閉じて完全に目の前から消える。
「な!?なんなんだ、お前らは。俺に何か恨みでもあるのか?え!」
「驚かせて、すみません。今度はちゃんと武器や防具を買いますから、その前に、換金してもらえませんか……?」言いつつ、俺はハタカの方を向いて、
「ほら、やっぱりやりすぎですって」と、小さな声で伝える。
横を見ると、マリが小刻みに肩を震わせて笑いを堪えている。
むむむ、ハタカめ!またしても、マリの心を掴もうとしているのか!
鍛冶屋に来る前に、ハタカがオヤジを驚かせてやろうと言いだした。
ハタカってそんなキャラだったか?
このおっさんは年甲斐もなく、以外と茶目っ気がある。
「何だったんだ今のは?こん畜生驚かせやがって、てめぇらなんかに売るものはねぇ――――――。おい、ちょっとそれ見せてみろ!」
皮袋に入らなかったボス鹿の角がひと際目立って、存在感を放っている。
「お前ら、これホーンディアの大角じゃねぇか!しかも、状態がかなりいい。これ1本でシールディベアと同等の価値があるぞ。いいだろう、全部買い取ってやる。ただし、今度は必ず何か買ってけよ!」
オヤジは『インベントリ』の魔法に驚かされたことも忘れて、嬉々《きき》として素材を吟味する。
「何だこれ?シールディベアか?腕がねぇぞ。こんなの金にならねぇぞ」
「この、ベアも腕がねぇぞ、どんな倒し方したんだ?」
「このディアの角も悪くねぇな」
…………。
「全部で121,000ってところだな!」
内訳はこうだ。
熊腕無し 1頭3,000
ボス熊腕無し 1頭15,000
鹿 2頭25,000
ボス鹿 1頭70,000(角代 60,000含む)
猪 1頭8,000
それにしても、ボス熊の腕がないだけで60,000が15,000にまで落ちるとは……。
必要のない武具は下取りしてもらって差額で買えたのはありがたかった。
防具としてマリ、ハタカに鉄の胸当て、俺が鉄の盾、武器はリュークにリングダガー、4人共用でグレイヴを1本買い揃えた。
締めて78,000〔メル〕。
本当は、もう少し武器を買い替えたかったが、宿代、夕食代も馬鹿にならない。
しっかり食ってしっかり寝て、明日以降のためにも体力はつけておかなければならない。
鍛冶屋を出てから、俺たちはセイブに手間賃15,000をわたし、戦闘中に得たお金も含めて残った分を4人で分配した。
「目標金額達成まで残り 999,991,720/1,000,000,000〔メル〕」