表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/60

第十三話 転職

コウのステータス、スキルレベルを一般民上限の3に変更しています。(改稿2020年6月13日)

 リップオフに吹っかけられても支払いができるように、先に素材を換金しておくことにした。

 鍛冶屋のオヤジは、“シールディベア”の素材を驚くような目で見ていた。


「良く倒せたな。仮にセイブがいたとしても、どうにかできるものじゃないぞ!」


「ああ、本当にそうだ。彼らは連携れんけいのとれた、なかなかいい動きをするんだ」セイブが答える。


 俺たちは、められて悪い気はしなかった。

 お互い顔を見合わせて、少しニヤついてしまう。


「こいつだけで6万は出せるな」


 オヤジが細かい計算をする。


「全部で119,000だ! これだけありゃ、いい武具が揃うぜ!」


 内訳はこうだった。


 猫 2匹12,000

 蛇 1匹4,000

 ボス蛇 1匹 3,000

 熊 1頭12,000

 ボス熊 1頭60,000

 猪 1頭8,000

 鹿 2頭20,000


「蛇がボスの方が安いのはなぜだ?」


「形が悪いんだよ。枳首蛇ししゅだは頭から頭まで一直線だろ。双頭蛇そうとうだはY字になってるからな、用途が限られるんだ」


 何も買わずに鍛冶屋を出ようとすると、オヤジが叫ぶ。

「おいおい、何も買わねぇのかよ。お金だけ払わせといて。何か買ってくれよ!」


「すまんオヤジ。また来るよ!」


 セイブも、自分への手間賃はリップオフに支払ってからでいいと言ってくれた。

 リップオフが相手だとプレイヤー同士の取引になるため、駅のATMで硬貨を換金してスマホにチャージしておく必要がある。

 駅まで行き、19,000だけ硬貨で残し、10万〔メル〕をチャージしておいた。


 駅から戻ってきてしばらく通りを行くと、足早に歩くリップオフを見つけた。

 追いかけて行って声をかける。


「お前らか、昨日の今日で随分ずいぶんさまになってるな。ヒューマンも仲間に入れて……」


「この街を出るまでの間、手伝ってもらっているだけです」


「そうか、でなんの用だ?」


「“三本目の尻尾”を持っていませんか?」


「ほう、もう転職レベルになったか。優秀だな。あるぜ、いくつ欲しい? 1つこれだけだ」

 リップオフが指を3本立てる。


「3万か、あいかわらず高いな」


「馬鹿野郎、30万だ!」


「「「「さっ、30万!?」」」」

 全員が一様に声をあげる。


「それはいくら何でも、ボッタクリ過ぎるだろう?」

 リュークが突っかかる。


「欲しくなけりゃ別にいいんだ。街の規則で討伐数を制限されている猫だ。何日かかるかわからんが、地道に倒すんだな。32組が来たばかりだ、俺の方は需要じゅようならいくらでもある。もう、気づいてるんだろう? 盗賊がいかに重要な職業かって?」


 痛いところを突いてくる。

 俺は、少し考えて別の質問をすることにした。


「“六本目の爪”は? シールドアーマーに必要な“六本目の爪”は1ついくらだ?」


「熊か? 熊はもっと貴重だぞ。レベルが低いうちは倒せないからな。50万だ」

 リップオフは言いながら右手を開いて5本指を立ててみせる。


「わかった、じゃあその“六本目の爪”を渡すから、“三本目の尻尾”2個を10万で売ってくれ」


「何!?」


「だから、“三本目の尻尾”2個で60万だろう? 50万の“六本目の爪”を渡すから、残り10万で売ってくれって……」


「そこじゃねぇよ。“六本目の爪”を持ってんのかよ?」


「ああ、持ってる」


「見せてみろ!」


 リップオフがスマホの画面を操作し、トレード申請が来る。

 トレードのアイテム欄に“六本目の爪”をスワイプして入れる。

 それを確認したリップオフが言う。


「本当だな。運が良かったのか? 熊何頭でドロップした? そうそう倒せるもんじゃないが、ヒューマンがいれば何とかなるか」


「熊じゃない、ボス熊だ」


「何だと!? 信じられるか! たとえヒューマンがいたとして、心臓を一突きすれば倒せるとしても、奴のすきを作らなければ心臓を狙う事さえできないんだぞ!」


「信じる、信じないはそっちの勝手だ。物は見ただろう? トレードしてくれるのか、してくれないのか?」


「お前……、ずるいぞ。“六本目の爪”、まるで買うそぶりをして値段を聞いてきたな」


 ボッタクリのお前に言われたくはない……。


「取引相場は50万なんだろう?」



「仕方ねぇなぁ、いいだろうおまけだ」


 何のおまけだ?

 全然、おまけになってねぇよ。


 トレード申請をそのままにしていたので、金額欄に100,000と入力して【トレード申請】ボタンを押す。

 リップオフのトレードアイテム欄に“三本目の尻尾”が2個表示されているのを確認して【最終トレード確認】ボタンを押した。


「お前、名前はコウだったな。なかなか商売の才能あるんじゃないか? ここで食っていけるぞ」


「ここで食っていくつもりはない。早く、地球に戻らなければ――。とにかく、助かった。ありがとう」



 リップオフと別れた後、残った19,000はセイブに渡した。

 “三本目の尻尾”2個をリュークにトレードで渡すと、いよいよ転職することになった。


 リュークがスマホを操作する。


「盗賊への転職が完了しました。スキルポイントが2あります。スキルの取得をしてください」


「『盗む』は取得するとして、もう一つは何にするかな?」


「何がありますか?」


「そうだなぁ、『素早さUP』『集中力UP』『短剣熟練度UP』『毒攻撃』『隠密』……。『盗む成功率UP』っていうのもあるな」


「とりあえず、スキルポイント1は残しておきましょう。『盗む』を試してみて、成功率があまりにも低いようだったら『盗む成功率UP』を取得するのでどうですか?」


「そうだな、そうするか」


 リュークに転職後のステータス画面を見せてもらった。


==================

 プレイヤー名 リューク  【変更】


 レベル 6

 EXP 73

 職業 盗賊

 スキルレベル 2


 HP 62/62

 MP 20/20


 力     5 △

 生命力   1 △

 素早さ  17 △

 集中力  10 △

 カリスマ  3 △


 ステータスポイント 3

==================


 ステータスポイントを3残した状態でこれだ。

 素早さ、集中力にプラス補正がかかっているようだ。

 俺のステータスと比べると、その違いがわかる。


==================

 プレイヤー名 コウ  【変更】


 レベル 6

 EXP 75

 職業 一般民

 スキルレベル 3


 HP 122/122

 MP 10/10


 力    10 △

 生命力  12 △

 素早さ   1 △

 集中力   6 △

 カリスマ  1 △


 ステータスポイント 0

==================


読んでくださり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ