悪役令嬢転生したわたくしの、シナリオが始まる前の話。
話終わってないやん、、、てなっても許してください。ちょっと疲れたので区切りで出します。
できれば温かい目で見てください。
ーーやだ私、悪役令嬢になってる。
わたくし、公爵令嬢であるクリスティナ・ベイリーは、6歳の時に鏡を見たときにふと、そう思いました。これをきっかけに‘地球’という惑星の‘日本’という国に住む‘日本人’だった頃の、22年分の記憶がわたくしの頭の中に流れ込んできました。ただわたくしの頭に対して情報量が多すぎたためか熱を出し、わたくしは3日ほど寝込んだのです。
そして落ち着いてきた頃に、わたくしは理解しました。「私」であった頃のわたくしはとても内向的で、自分でない誰かになれる、特に異世界ものの小説や漫画が大好物だったのです。なのでそれはもういろんな物語を読んでいました。ですから気がついたのです。ここは剣も魔法もある、乙女ゲームの世界だということを。「私」はゲームの方はプレイしていませんでしたが、コミカライズされたものは読んでおりました。攻略対象は多分、王太子殿下とその側近の4人、悪役令嬢であるわたくしのお兄様、騎士団長のご子息、学園一の秀才だったはず。隠しキャラとかは知りません。漫画は最後まで読んだので、メインヒーローの話なら題名もキャラの名前もおぼろげでしたが、内容は覚えていました。
この作品は、それはもうベタベタな王道ストーリーでした。
最初、ヒロインは幼い頃に親を亡くしていたため、14年ほど孤児院で生活していました。ところがそんな孤児院に貴族の方(爵位は覚えていませんが子爵、伯爵あたりでしょうか)が突然やってきて、ヒロインに自分の娘だと告げるのです。
ヒロインの母親は性格もお顔も美しい方でした。その貴族は、侍女として使えていたヒロインの母親に惹かれていました。そしてヒロインの母親もまた、優しい主人のことを好いていました。ヒロインの母親は貴族だったので、合意の上で致し、結婚するつもりだったそうなのです。
しかし、自分の家よりも家格が上の令嬢との婚約を勝手に決められてしまい、それを聞いたヒロインの母親は誰にも何も告げず、何を言われるかわからない実家にも帰らなかったそうなのです。屋敷を出た後妊娠が発覚、ヒロインを出産、しかし産後の体調が思わしくなく、そのままヒロインの母親は儚く亡くなられてしまいました。
そして冒頭。美しかった母に似たヒロインは貴族の家に引き取られ、すぐに貴族の学園に通い、そこで王太子に出会い、二人は恋に落ちます。たしかそんな感じだったはずです。そして王太子には婚約者がいて、その婚約者がヒロインをいじめます。つまりは物語の悪役令嬢、私はこのポジションに転生したことになります。
結果、ヒロインをいじめていた悪役令嬢は悪事がすべて暴かれ、いじめと言い張るには限度がある行動もあったことから、国外追放となり、その後は行方知れずとなるのです。
そしてエンディング。めでたく二人は結ばれるのです。
……………………。
ベタです。ベタすぎます。わたくしがいま置かれている状況も含めてベタすぎましてよ。
そしてこのパターンは、ヒロインも転生者である可能性がとても高いです。もしそうだった場合、わたくしの乏しい思考力でもざっくりとこれだけのことが予想されます。
①ヒロインさんが「この世界の主人公は私よ!!!」と考える電波さん
②もしくは常識人で「目立つの嫌だ!無理!」と攻略対象の方々から遠ざかり、平穏を望む方
③この世界が「乙女ゲーム」に似た世界
④この世界は「乙女ゲーム」の世界
あれ……?これ④だったら私詰んでない??????①と④だった場合さらにやばくない????
勝手に考えといてなんだけどできればヒロインさん転生者じゃなくてこの世界に暮らすごくごく普通の人が良いんですけど?????
コホン。口調が乱れてしまいましたわね。失礼致しました。
ちなみに学園は15歳から通うこととなっております。学園に通い始めるまでまだまだ時間がございます。何か対策ができれば良いのですけど。
と、思って早1年、わたくし7歳になりました。年齢や身分もあり、自由に動くことができなかったので、ヒロインが誰なのかの見当はついておりません。探そうとしても知っているのは顔だけで、名前も領地もわからないので諦めました。しかし‘作品’であったこの世界との相違点を、いくつか作ることができました。わたくしの自我は「私」だった頃の影響を多大に受けておりまして、作中のわたくしは本当に高慢で高飛車だった様ですが、そんなことはなく、淑やかな令嬢になりました。そしてお兄様との関係、これも作中では険悪となっておりましたが、わたくしの性格が歪まなかったおかげか兄妹仲は良好です。行き過ぎてお兄様にシスコンの気があるかと思うのは、どうかわたくしの勘違いであれと祈るばかりです。
このことから、私が懸念していたことの1つ、この世界が「乙女ゲーム」そのものの世界だという線は薄くなったように思います。強制力とか無いと嬉しいです。
そして本日、王妃様主催のお茶会という名のお見合いパーティーが行われます。
もちろん、わたくしもお呼ばれしております。当然、こちらは婚約など望んでおりません。
ですがここで王太子殿下を避けようなど以ての外です!!何といってもこの国の王太子殿下ですもの!メインヒーローなのですから当然のごとく美形な方なのです。きゃあきゃあ言っておいて周囲のご令嬢の方々に紛れるぐらいしておきませんと!不自然ですからね!!今日を乗り切ってしまえばほぼ殿下とは話すことはないでしょうし。はりきってモブになりに行こうではありませんか!!!
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結果から言いますと、わたくしの野望は潰えました。そうですよね。わたくしの家は公爵家。何もしなかったら婚約者になるのはほぼ確定事項。わたくしがすべきだったのはモブに紛れることではなく、王太子妃、延いては王妃になれそうな素養をもっためぼしい誰かを探し、殿下にさりげなく近づけること。できなければお父様にお願いして婚約者から外していただくことだったのです。終わってから気づきました。ため息しか出ません。はぁ…………。
まあ、なってしまったものは仕方がありません。お茶会で拝見した王太子殿下はまるきり作り笑いで、ご令嬢皆様に優しく振る舞っていらっしゃいました。わたくしと同じ歳で転生者でもないだろうにそんな芸当を、お茶会が終わるまで何時間もなさっているところを見ますと為政者としての器ができはじめているのではないかと思っています。要するに腹黒さんですね。
7歳で腹黒って。王族の教育ってどうなってるの。
ともかく、7年暮らしてきたこの国はそれなりに愛着があるわけで。そんなこの国の将来を、こんなにぬけているわたくしが半分担うことになってしまったわけで。勉強、、ですよねぇ。
よっしゃ。やってやろうではありませんか!勉強は嫌いですが、こうなってしまった以上逃げる、なんてことが許される訳がありません。例え未来で王太子殿下に婚約破棄されようとも、現時点ではわたくしが将来この国の王妃になるのです。民に生かされているのですから、貴族としての義務は果たしませんとね。腹くくってやりきって見せようではありませんか!!
作者自身この先知りたいのでたぶん続編書きます。