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8 武器調達

ごアクセスありがとうございます。

連続投稿八日目

 食事も終えてギルドへ向かおうとするとアリエステルからストップがかかる。


「装備を整えてから行きましょう」

「そうだな」


 そういうわけで服飾屋に寄って服をもらった後、二人共着替えた。

 ペアルックのようで少し気恥ずかしいが、全く同じの服装というわけではないのでまだ耐えられた。

 服飾屋を出て周りからなにか言われないか、変に思われたりしないか気になる。

 しかし、気にしても仕方がないのでいろいろ諦めながら鍛冶屋に向かった。

 アリエステルの行きつけだそうだ。

 ガントレットがあれば戦えるので武器は買わない予定だ。


「せっかくなので剣を買っていきましょう」


 アリエステルがそう言うまではそのつもりだった。


「いや、けど俺ってまともに剣を振ったことすらないんだぞ?」

「そこは慣れです」


 そういう問題だろうか?


「それに必要になれば学べばいいことです」

「なんでまた。 剣を勧めるんだ?」

「剣を持っていると便利ですよ?

 もし拳で戦うにしても使用武器をカモフラージュできますし剣を防御に使うこともできます。

 それに、冒険者はほとんど武器を持っていますし冒険者であることを示すのにももってこいです」

「へえ、じゃあ、武器であれば剣じゃなくてもいいのか?」

「はい、ですが剣以外は少々汎用性に劣ります。

 単純に攻撃するためならば近接武器では槍が優秀ですが、戦い以外では邪魔になりやすいです。

 斧と槌も武器用のものは大きくかさばるため槍と同じくお勧めしかねます。

 ナイフでもいいでしょうけど殺傷能力が剣より劣りますし、何より隠し持っておくのがナイフの本道ですから見せ武器としても無理があると思います。

 他にも特殊な武器がありますが、習得するのに時間がかかると思いますし一番無難な剣をお勧めしました」

「お、おう、そうか」


 そこまで考えていてくれてたとは、


「分かった。 じゃあ剣を買って貰うよ」

「はい、ついでにナイフも買っておきましょう」

「必要か?」

「はい、あれば便利ですよ?」

「そうか、ならついでにナイフも」

「お揃いで」

「へ?」

「えっと、ほらあれです。

 えっと、ナ、ナイフも古くなってきていましたしせっかくのなの同じものを買いましょう」

「ああ、そうか節約になるしな」

「そ、そうです!

 節約のためですし仕方がないですよね!」


 やけにうれしそうだな?

 節約できてうれしいのだろうか?


「すまないな。

 俺のために苦労を掛けて」

「へ? いえいえ、助けてもらったお礼だと考えればまだまだ返し足りないぐらいですよ」

「そうか、ありがとう」

「あ、着きました。 ほらほら早く中に入りましょう」


 アリエステルは唐突に俺の後ろに回り込むと後ろからぐいぐいと押してきた。

 急にどうしたんだ?



----------



 鍛冶屋の中に入るといたるところに武器が展示されていた。

 展示されているほとんどの武器の値札には沢山の〇が並んでいた。


「うわあ、高そう」

「おいおい! 入ってくるなり失礼な奴だな!」


 俺の言葉に反応したのはずんぐりむっくりなおっさんだった。


「いや、一般市民には手が届きそうにないなと思ってな」

「ん? ああ、そういう意味か!

 剣には合わないほど高値を付けてるとか言われたと思ったぜ! がっはっは!」


 ずんぐりむっくりなおっさんは俺の弁解に対して納得し豪快に笑う。


「お久しぶりです」


 俺の後ろからアリエステルが顔を出す。


「おお! 久しいなお嬢ちゃん! どうした急に男を連れてきたりして、彼氏か!」

「いえっ! そ、そうじゃなくて今日は、この人の武器を用意するために来ました」


 俺は、話の流れに疑問を抱きつつも


「冒険者になるのに武器があった方がいいって言われたからな。

 アリエステルが買ってくれるって言ってくれたからそれに甘えた感じなんだ。

 あと同じナイフを二本頼む」


 と端的にずんぐりむっくりに伝えた。


「むう、お前さんお名前は?」


 急にいぶかしげな眼になったおっさんに疑問を抱きつつ。


「フショウだ」

「フショウ、ふん、変な名前だな」

「おっさんの名前は?」

「儂か? 儂はボストンって名だ!」


 ドンッ、と胸をたたき誇らしげに自分の名を宣言する。


「そうか、悪いが武器を見繕ってくれないか」


 俺は、そう返すと急に元気がなくなるずんぐりむっくりな筋肉だるま、もといボストン。


「儂の名を聞いてそんな反応だと!」


 いや、めっちゃ驚いている。


「あのボストンおじさん、この人記憶喪失でほとんど何も覚えていないの」

「何!? ……なるほど、それなら分らんでもないか」


よくわからないが、何か驚くような事だったのだろう。


「で、お前さんの得意武器は分かるか?」

「いや、記憶がある中では殴って倒すことしかしたことがないからな」

「そうか、なら取りあえずこれを持ってみな」


 そう言ってボストンさんは店にある樽に無造作に差している幾本のショートソードの中から一本を持ち出してきた。

 それを受け取り取り回しを確かめる。

 そこそこ重たさがあるけど気にならない程度ではあるか。

 問題があるとすれば、斬るというより殴るような運用になるな。


「ふむ、裏に庭があるからそこで試してみるといい」


 そう言われて裏庭に出ると藁人形が幾つか立っていた。

 人形と言っても藁を十字に束ねているだけだが、まあかなりの藁が束ねられていいるせいか結構分厚い。


「ほら藁ならいっぱいあるから試し切りしてみろ」


 ドサッと藁人形をいくつも持ってくるボストンさん。


「良いのか?」

「問題ない、どうせバカ息子がごっそり持って帰ってくるしな」

「分かった」


 と言うわけで遠慮なく藁人形にショートソードを叩き込む。

 ショートソードは藁人形にめり込み藁人形を斜めに割る。


「使いやすいな」

「がっはっは! そうだろうよ! 俺が直々に作った剣だからな!」


 これならゴブリン相手でも邪魔にはならないか。

 まあ、あいつらは殴り殺せるが、武器の攻撃を受けるには丁度いいか。

 いざと言うときには投げればいいしな。

 いや、むしろ投げる用の武器も用意した方がいいな。


「ボストンさん」

「なんだ」

「投げる用の武器とか置いてないのか?」

「あるぞ」


 そう言って店の方へ消えていきすぐに数本の短剣を持ってきた。


「投げナイフだ。

 案外注文の多い品だからな」


 そう言って五本投げナイフを渡してくれる。

 投げナイフを受け取り、そのうちの一本を藁人形向かって投げる。

 投げナイフは、藁人形の腕の付け根の部分に刺さる。


 頭を狙ったのだが、うまくいかないな。

 距離が離れたら当たらないだろう。


「ふむ、まあそんなもんだろう」

「ほかに遠距離用の武器ってあるのか?」

「そうだな、他には短弓、長弓、クロスボウがあるが、まあ、どれも嵩張るしそれなりに使い慣れないとまともに運用できんからな。

 ストリングならかさばらないし練習もそれほど必要ないが、アリエステルが弓使いだから必要ないだろう」


 そう言ってボストンさんがアリエステルの方を見る。

 

「ああ、そういえばお前、弓はどうした?」

「壊されたの」

「誰に、とは聞かん方がいいだろうな」


 聞こうとしたらアリエステルは顔を曇らせたからな。

 まあ、あんなことになったことも話さなきゃならなくなるだろうしな。


「ええ」

「前と同じで長弓を用意すればいいな?」

「ええ、おねがい」

「取りあえずフショウはそのショートソードでいいか?」

「この剣か?」

「ああ」


 悪くはないか。

 もっとも剣の良し悪しなんて俺には分らないがな。


「まあ、他に物足りなく感じたらその都度武器を替えていけばいい。

 ただ、定期的にここに来い。

 武器っていうのは整備してやらないとすぐに痛んじまうからな」

「わかった」


 武器って扱いが面倒なんだな。

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