6 冒険者ギルドのお約束?
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連続投稿六日目
「お待たせしました」
そう言って、受付のお姉さんは透明な球をカウンターに乗せる。
見た感じガラス玉のようにも見える。
「こちらに手をかざして下さい」
「これは?」
「簡単に申しますと二重登録防止用の検査球ですね」
「へえ」
とりあえず透明な球に手をかざすと青く光った。
「大丈夫なようですね」
「これでどうして二重登録してないと分かるんだ?」
「細かいことは機密で言えませんが、人にはそれぞれ波動があるそうで、その波動というものが一致することはないそうです。
それを利用して同じ人が二重登録をしないように波動を測り記録しているそうです。
これはそれを調べるための球です。
もし登録した人がこの球に手をかざすと赤くなるそうです」
「なるほど」
意外としっかりしてるな。
透明な玉を見ていると受付のお姉さんは、カードを取り出した。
「これはなんですか?」
「これはギルドカードです」
「へえ」
カードを取り両面を見る。
大きな黒いラインが入っていること以外は何の変哲もないカードだ。
「カードをなくされますと再発行に銀貨一枚を要求されますのでご注意ください」
「分かりました」
そうやって冒険者登録が終わるのを見計らったかのように
「おい、兄ちゃん、お前みたいなヒョロヒョロが冒険者になろうなんざ百年はえーよ」
と、唐突に後ろから声がかかった。
見るからに屈強な男だ。
鑑定で見て見ると
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名前:ドルザーク・ボレストア
種族:人族
称号:優しいマッチョ
職業:冒険者
所属:冒険者ギルド
Lv :48
STR :102
VIT :97
DEX :69
AGI :56
INT :72
技能:武器熟練:長剣Lv7、剣技Lv6、探索術Lv5、解体術Lv3、説得術Lv3、恫喝術Lv2、錬気Lv4、共通言語Lv5
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となっていた。
「ご忠告ありがとう優しいマッチョ」
と称号を言ってみるとドルザーグは眼を見開いた。
「しかし、大丈夫だ。これでもオークに引けを取らない程度には実力があるからな」
その言葉に何を思ったのか。
「それなら俺と勝負してみるか?」
と聞いてきた。
「いや、いいよ、待ち合わせもあるし」
「おいおい、そんなに怖いのか?」
「ええ、あなたの顔は怖いです」
「そうじゃねえ、オークに引けを取らないと言いながら俺と戦うのが怖いのか?」
「いや待ち合わせしている奴がいいというのならいいんだが」
「はっ、一人で何にも決められないのか?」
「いや、だから一緒に行動してるやつと相談なしに勝手に決めるとかありえないでしょ」
そう言って首を振る。
なんだってこの優しいマッチョは絡んでくるんだ?
「それじゃあ、オークとやらを倒せる実力を見せてもらおうじゃねえか」
そう言ってドボルザークは問答を無視して腕を振り上げる。
殴りかかってくる拳の速さは妙に遅く感じ、それを受け流そうと思ったが、その前に拳に体重が乗ってないので受け流す必要すらないのはわかった。
念のため首を傾けて拳の通りそうなところから顔をそらす。
寸止めされているが、拳の先には空気しか無い。
しかし、どうやら本気で殴るつもりはなかったようである。
これで終わりか?
「ふん、なかなかやるじゃねえか」
そう言ってドボルザークはギルドの奥の方へ消えていった。
いったい何だったんだと思いつついったんは、ギルドから出ることにした。
「あ、ちょっとま」
受付嬢が何か言ってたようだけどいたたまれない気分なので無視してギルドから出た。
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ギルドを出てすぐ後にぼそりと独り言を吐く。
「いや、まあ、ゴリマッチョが殴りかかってきたらビビッても仕方がないよな」
あの後、そそくさとギルドを出たのはビビったからである。
いや、ステータス的に負けるはずがないのは分かっていたが、やっぱり怖いものは怖い。
あの人結構な強面だったし仕方がない。
とりあえずここらへんで油を売るか。
というわけでステータス確認をする
『メニュー』『ステータス』
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名前:フショウ
種族:ジン類
称号:記憶を失いし者
職業:冒険者
所属:冒険者ギルド
Lv :12
STR :1200
VIT :1200
DEX :1200
AGI :1200
INT :1200
能力:メニュー
技能:共通言語Lv-、鑑定、技能取得、技能封印、武器熟練:棍棒Lv1、武器熟練:短剣Lv1、武器熟練:弓Lv1、
隠密Lv1、挑発Lv1、逃走Lv1、統率Lv1、護衛術Lv1、思考鈍化Lv-(封印)、繁殖Lv-、
下級魔族言語Lv1
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ステータスは手抜きだろと思えるようなものになっていた。
しかし、ドボルザークさんを参考にした限りでは尋常でない上がり方なのは明白だ。
「もしかするとさっきドボルザークが遅く見えたのはこのせいか?」
ステータスの大きさがあそこまで直結するなんてな。
もしステータス差が無かったら受け流そうとする前に目の前に拳があることになっただろう。
寸止めだったからよかったが、そうでなかったら確実に一発もらっていたことになっていた。
ステータスを上げていきながら武術も学ぶ必要性を感じたのだった。
技能が有効的に使えているかどうか不明だが、少なくともステータスは大きそうだな。
そして、そのためには魔物を狩りまくる必要があるなどと考えていると
「こんな往来でぼうっとしてると身ぐるみ剥がされますよ」
などと声を掛けられた。
その人を見て思わず
「ずいぶん遅いから待ちくたびれたよ。
だからいろいろ確認してた」
と返した。
「確認?」
「ああ、魔法を使えるかどうかの確認」
「魔法ですか、妙な言い方をするのですね」
「妙?」
「ええ、魔法と呼ばれるものはありますが、たいていの場合は魔術か魔導としか聞いた事が無いですから」
「で、今までどこに行ってたんだ?」
「少し、準備をしていました」
「準備?」
「ええ、何事にもお金は必要です」
「そ、そうか」
それだけ言うとかなり世俗的な者というイメージが付いてしまうような発言であった。
アリエステルが何をしてきたかは分からないけれどまあ、言わないのであればきかないでおこう。
「それじゃあ、詳しくは聞かないけどこれからどうする? といってもできることなんて限られるけど」
すでに夕方に差し迫っておりこれからできることはそう多くない。
「晩御飯を食べて寝ましょうか」
「まあ、そうするしかないよな」
と少し話しつつ宿に戻った。