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5 冒険者ギルドに登録は何か心に来るものがあるな

ごアクセスありがとうございます。

連続投稿五日目

 服飾屋を後にして、次に向かうのは宿屋だ。


「宿は私が使っている場所でいいでしょうか?」

「うん、いいよ」

「わかりました」


 宿に向かう途中で確認されたので頷いた。

 宿屋に着くと恰幅のいいオジさんが笑顔で出迎える。


「おかえりなさいませ、アリエステル様、おや?

 お連れのお方ですか?」

「ええ、同じ部屋にしてください」

「同じ部屋!?」

「え? 使っている場所で良いって言いましたよね?」

「ああ、でも、同じ部屋ってことだとは思わなかった」

「嫌、ですか?」


 小首をかしげて聞いてくる。

 その表情は不安そうだ。


「嫌じゃない、けど、知らない男と一緒に寝るのは大丈夫なのか?」

「信頼してるんで大丈夫ですよ」


 肯定と受け止めたのか笑顔になるアリエステルさん。

 ぐはっ、オジさんの生温かい眼差しが痛い。


「わかった、それでお願いします」

「ということです」

「わかりました。 只今アリエステル様は一人用シングルをお使いでしたよね?」

「はい」

「では二人用ダブルの部屋にお移りして貰ってよろしいでしょうか?」

「わかりました。

 問題ないです」

「ではそのように手配します」

「はい」


 そう言うとアリエステルはポケットから銅貨一枚を弾く

 銅貨を受け取ったおじさんは


「ああ、うちの朝はシチューですので楽しみにしてください、では」


 そう言ってオジさんは奥に引っ込んでいく。


「ここの宿、宿泊客には、朝だけ一階の食堂でシチューを振舞っているの、頼めばそれ以外にも出してくれるけど、それだけで十分おいしいです」

「そうか」


 アリエステルが教えてくれた情報に相槌を打ち宿を後にする。



 ----------



「それでは、ギルドに行きましょうか」

「ギルド?」

「冒険者ギルドです。 この魔石を処理しないといけないですし」


 そう言ってアリエステルは魔石の詰まった袋をたたく。


「一応、今回の件でギルドから謝礼金も出ると思いますし」

「謝礼金?」

「ええ、依頼時の討伐対象の規模報告にミスが有りましたし」

「そうなんですか」

「ええ」


 冒険者ギルドとやらの仕組みは分からないので何がどうしたら謝礼金とやらが出るのかは分からないが、兎に角準備金代わりになるものがあるのは良いことだよな?


「ついでにフショウ様も冒険者ギルドに登録しましょう」

「え? そんな簡単に登録できるのか?」

「はい、誰でも簡単に登録できます」

「犯罪者とかでも?」

「はい」

「それ組織として大丈夫か?」

「大丈夫です。 ギルドを敵に回すと恐ろしいですからね。 ギルドの規則は国の法律より重たいですよ?」


 ……そんな組織がよく公に運営できるな。


「もちろん、普通に冒険者として登録する分には問題ないですよ?」

「そ、そうか」


 そういう問題じゃない気がするんだがな。


「まあ、早いことには損はないです」

「分かった、早く行こうか」

「あっ! ちょっと待って! ギルドの場所わかってますか!?」


 あ、知らなかった。

 行こうとした反対側だったみたいで数歩損した。



 ----------



 ギルドに着くとギルドの出で立ちに驚いた。


「あれ、この建物、木だけで出来てる?」

「そうですね。 冒険者ギルドを初めて見る人は大抵そんな反応をします」


 木造の建物あるにはあったけれど冒険者ギルド程丸々木でできた建物は一つも見なかった。


「とにかく入りましょう」

「はい」


 冒険者ギルドに入ってまず最初に目についたのは受付である。

 入り口に向かい合うようにある受付窓口には特徴的な服を着た女性が三人ほど並んで座っている。

 他には左手の奥の方にはテーブルを囲むように椅子が設置されているのがたくさんある。

 テーブルのいくつかは冒険者だろう人たちが使っている。

 右手には関係者以外立ち入り禁止の看板が掛かっていた。

 受付の右横に大きめの掲示板がありそこには幾つか紙が貼りつけられている。 


「じゃあ、冒険者登録をしましょう」


 俺にそう言ってアリエステルはそのうちの一人に近づいていく。


「あ、アリエステルさん、おかえりなさい。

 村の人達は保護しといたよ」


 元気に声を掛けてくる受付のお姉さん。


「そう、無事でしたか。

 しかし、依頼内容の説明と現場の脅威度を違いましたよ」

「え?」

「オーク三匹どころか十匹以上いました」

「よ、よく村人を逃がせたね!」

「その代わりオークに捕まりました」

「ええ!?」


 オーバーに驚く受付のお姉さん。

 まあ、もう少しで犯されるところだったしな。


「えっと、その大丈夫?」

「ギリギリセーフでした」

「ギリギリ?」

「危なかったところをこの人に助けてもらいましたから」


 アリエステルは俺を見る。


「本当?」


 疑わしい目を向ける受付のお姉さん。

 失礼な、助けたことは……あれ? 殆ど覚えてねえや。

 思考鈍化のせいで何をやっていたのかほとんど思い出せない。

 ゴブリンどもをオークにけしかけたことぐらいだな覚えているのは、


「見た目は大したことはなさそうだけど大丈夫ですよ」

「そうですか、……ところであなたはギルドに登録していますか?」


 受付のお姉さんが問いかけてきた質問に首を横に振る。

 後、アリエステルになにげに見た目をディスられているのは何故だ?


「では、登録しますか?」

「ああ」


 首肯して答える。


「分かりました。 それではここに必要事項を記入する必要があるのですが、代筆は必要でしょうか?」


 そう言ってギルド登紙と書かれた紙とペンを机の上に置いて尋ねてくる。


「いいえ、大丈夫です」


 文字は読めるから何を書けばいいか分かっているし大丈夫だろう。


「ではご記入をお願いします」


 つけペンにインクを付けながら、記入用紙を確認する。

 名前と生年月日、性別に種族、そして特記事項と欄がある。


「すみません、生年月日がわからないんですけど」

「それでしたら記入しなくても構いませんよ、生年月日がわからない人は珍しくありませんから」

「分かりました」


 種族は人族と記入した。

 書き終わったところで受付のお姉さんに紙を返した。

 つけペンは書きにくいので悪戦苦闘してやっとの思いで書き上げたギルド登録紙を受付のお姉さんに渡す。

 お姉さんはギルド登録紙を受け取り何かをサラサラっと書く。

 俺が悪戦苦闘したつけペンを使いこなすその様は、手慣れたものと言った感じだ。


「武器は何を使っていますか?」

「えっと、拳」

「え?」

「え?」


 今のところ拳以外使って戦っていないのでそう答えるしか無い。

 しかし、受付のお姉さんに訝しげに見られるのは少しだけダメージが有るな。


「拳が武器なんですか?」

「えっと、今は武器が無いので拳で殴るしか出来ないんですよ」

「そ、そうですか。 何かの流派に所属しているとかは?」

「ないです」

「……なるほど、では支度金を用意しますので少々お待ち下さい」

「ちょっと待って下さい」

「はい? 何ですかアリエステルさん」


 唐突に口を挟んできたアリエステル。


「支度金は大丈夫です」

「それはアリエステルさんが用意するので大丈夫という事ですか?」

「ええ」

「分かりました」

「支度金って受けっとたらダメなのか?」


 支度金を支給してくれるのにそれを受け取ることを良しとしないアリエステルに疑問をぶつける。


「ええ、出来れば受けないほうが良いでしょう。

 返却義務もあるし、金利もありますよ」

「金利と言っても良心的な金利にしていますよ?」

「まあ、借金ってことに変わりは無いです」


 なるほどね。

 ゼロから始めれる代わりにちゃんと後で返さないといけないのか。


「死なない限りは絶対に取り立てますから」


 受付のお姉さんの笑顔に影が入る。

 ……怖いな。


「まあ、支度金は受け取らない方が良いです」

「でも、大丈夫なのか?」


 さっきの装備でギリギリと言っていたから買えないと思っていたからな。


「報酬金で買えると思います」

「あと謝礼金?」


 アリエステルは俺の質問に頷き


「と言う名の報酬増額です」


 と答える。


「あはは~、とりあえずギルド登録申請をしますので少々お待ちください」


 気まずそうな顔をして愛想笑いをしてから受付の奥に行く受付のお姉さん。


「ああ、そうでした」


 ぽんっと手のひらに拳を落として何かを思い出したアピールをするアリエステル。


「ちょっと用事を思い出しました。

 少しここを離れますが、ここで待っていてくださいね」

「ああ、別にいいけど、どうしたんだ?」

「ゴブリンの魔石を処理してきます」

「そうか」

「あ、もし冒険者に絡まれても直ぐに暴力で解決しないようにしてくださいね」


 そう言ってアリエステルは、そそくさとギルドから出て行った。

 最後の言葉に俺は首を捻るのだった。

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