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3 ハハッ! コイツラばかダ!

ごアクセスありがとうございます

連続投稿三日目

 技能の『挑発Lv1』と『逃走Lv1』を利用してトレイン状態を故意に作り出し村の方へ向かった。

 村についた時再び女性の悲鳴が上がる。


「くそっ、間に合ってくれよ」

「グギャギャギャアアアアアアア」


 後ろから怒り狂ったゴブリン共が追いかけてくる。

 因みにゴブリン共は下級魔族言語で「待ちやがれ―!」と言っているのだが、待つはずもない。

 ゴブリンを引き連れながら村に突入すると流石に騒ぎを聞きつけたオーク共が騒ぐ


「よし、あとはゴブリン共をオークになすりつけて民家に突入するか」


 作戦は至ってシンプル、怒らせたゴブたちをオークにぶち当てる。

 ゴブリンとオークは出遭えば戦闘になる。

 ということは先にヘルプさんから聞いていた。

 不埒者が逃げた先に味方でないものがいれば敵と認識してくれるだろうという甘い期待は見事に的中した。

 向かってきたオーク共を躱してゴブリン共にぶつけると戦闘を始めた。

 狙い通り、このまま民家へ突入しようとする。

 しかし、騒ぎを聞きつけたのか中からオークが二匹出て来た。


「さて、これはどうしようか」


 後ろを振り向くと見張りのオーク二匹が抑えきれなかったであろうゴブリン共が向かってくる。


「前門の虎後門の狼ならぬ前門のオーク後門のゴブリンだな」


 ゴブリン共は仕留めても大丈夫なのだが、オークと戦うわけにはいかない。

 とは言えひとまず前のオーク共を見るとブギャー!と鳴いて突撃してくる。

 二匹とも突撃してきたので躱せば終わりだ。


「ははっ! こいつらバカだ!」


 突撃してきたオーク共はそのままゴブリンの集団に突っ込んでいく。


「よし、今のうちに女性を助けるか」


 上手く作戦がいっていることに歓喜しつつ民家に飛び込んだ。


「いやああああああああああああああああああああ」


 飛び込んだと同時に衝撃的な光景を見てしまった。

 今にもオークが入れようとする現場に居合わせてしまったのだ。

 女性が叫んだのは当然だろう異物が自分の中に入れられようとしていのだから。

 その状態を理解した瞬間俺の理性はぶっ飛んだ。


 女性に暴行を加えようとしているオークをぶん殴った。

 ぶつかった壁が壊れたが気にすること無く追いかけて倒れている殴打した。

 ただひたすら自分の状態も気にせずにただひたすら殴り続けた。


『レベルが上がりました。

 ただいまのレベルは6です。

 技能取得、思考鈍化、繁殖、統率Lv1』



----------



 ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!

 ナンダオマエラオマエラモコイツトオナジヤツラカナラバコロス!

 コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!

 オークドモコロスゴブリンドモコロスオンナイガイコロス!

 オデユルサナイシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ!

 ハハハハハハハハハハハハ!!!

 ミンナシンダ


『レベルが上がりました。

 ただいまのレベルは12です。

 技能取得、武器熟練:弓Lv1、隠密Lv1、護衛術Lv1

 新たな技能、技能封印を覚えました』


 オンナブジカ?


「ダイジョウブカオンナ?」

「ひっ!」

「オデタスケニキタ」

「は、はい、ありがとうございます」

「ヘ、ヘヘ、シカシ、オマエサンビジンダナ」

「あ、ありがとうございます」

「ナア、タスケタンダカラヤラセテクレ」

「へ?」

「ナア、イイダロウ」

「い、いや」

『フショウ様、思考鈍化の影響が出ています』

「ダレダ!」

「へ?」

『ヘルプです』

「ヘルプ? ……アア、ソウカ、オークヲタオシテシマッタノカ」

『大丈夫です。 落ち着いて下さい、思考鈍化を封印できます』

「ホントウカ?!」

『はい、技能封印、思考鈍化と唱えていただければ』

「ギノウフウインシコウドンカ」



----------



 頭に掛かっていたもやが晴れるような感じがした。

 さっきまでの短絡的な思考が恥ずかしくなってきた。


「やだよ、なんでこんな」


 ふと、女性の声が聞こえてそちらに意識を向ける。

 女性は一糸まとわぬ姿で震えていた。

 俺は上着を脱いで女性に被せる。


「ひっ!」


 そして、土下座する。

  

「すみません、危害を加えるつもりはありません。

 とりあえずその服を着てください」


 全力で土下座をしているので女性の表情は分からないがすすり泣きする音が聞こえる。

 さっきまでオークに襲われていたのに似たような言動をするやつに助けられ、次の瞬間にはその助けたやつに襲われそうになったのだ泣きたくなるのも仕方ないだろう。

 しかし、やばかったな思考鈍化。

 思った以上に思考がバカになりやがったし、次からはマイナス技能に気をつけないとな。


 しばらくするとすすり泣く音が止まり声がかかる。

 

「頭を上げて下さい」


 透き通った声に応じるように頭を上げる。

 目の前に女性が正座で座っていた。

 俺の服は大きかったらしくブカブカで大事な部分を隠すにはちょうどよかったようだ。


「すみません、せっかく助けたのに襲うような真似をして」

「い、いえ、でも今は大丈夫ですよね?」

「はい」


 女性と言うには少々幼く感じるがしかし、少女と言うには落ち着いた雰囲気を持っている。

 さっきまでオークに襲われていた事を考えると大した精神力を持っているようだ。

 しかし、女性の顔にはオークにやられたであろう打撲痕が残っていた。


「助けていただいてありがとうございます。 私の名前はアリエステルと申します」

「そうですか、俺はフショウという名前です」


 いや、フショウではないと思うんだが便宜上フショウでいくことにした。


「フショウ様ですか?」

「いや、様じゃなくても」

「フショウ様と呼ばせてください」

「あ、ああ、わかった。

 しかし、なぜこんなところにオークがいたのか知っている、ますか?」


 俺の質問にアリエステルは首を横に振る。


「いいえ、冒険者相互扶助会ギルドの依頼の途中で村に寄ったのですが、突然オークの襲撃を受けまして、村の人達を逃がすのが精一杯で私がオークに捕まってしまいました」

「そうですか」

「あの、出来ればあなたがどこから来たか教えてもらえませんか?」

「いや、すまん……分からないです」

「そう、です、か? ……分からない?」

「ああ、どうも記憶喪失みたいでな自分がどこから来たのかどこに住んでいたのか覚えていないんだ、です」

「記憶喪失ですか?」

「そうです」


 アリエステルは首を傾げて覗き込むようにまじまじと俺を見つめる。


「初めて見ました」


 その視線に目線の合わせると女性はワタワタと腕を動かし視線を外して謝った。


「す、すみません。 ……不躾でしたよね?」

「いや、気にする、しなくていいです。

 それよりこれからどうします?」

「どうする? ですか?」

「ああ、逃した村人を追いかけるか、ここで待つか、です」

「あなたは、どうするつもりなんですか?」

「俺? 俺は、とりあえず近くの町に行く、行きます」

「付いて行っていいですか?」


 その質問に思わず目を見開いた。


「大丈夫なのか? 俺は襲いかかってきた男だ、ですよ?」

「あの、喋りにくければ普通に話して下さっていいですよ?」


 まあ、自分で喋ってても不自然に感じてたし聞いてる方はもっと違和感があるんだろうな。


「そうか、すまない。

 しかし繰り返すようだがいいのか?」

「ええ、助けていただいた方でもありますし」


 思考が鈍化した時に美人だと感じたのは間違いはなく青あざがあってもその美貌は衰えることがない。

 そして決意を持ったその瞳で俺を貫く。


「それに、襲い掛かってきた時のあなたと今のあなたは違うもののように見えます」


 鋭い琥珀色の瞳に思わず見入ってしまった。

 少々気恥ずかしくなり視線をそらし咳払いをする。


「そ、そうかならいいんだが、村人を待つ必要はないのか?」

「いえ、私は所詮旅人ですしこの村に残っていても特に何があるというわけでもありません。 しかも町に行ったほうが村人には会える可能性が高いです」

「そうか、わかった。 旅人ならこの国のこととかある程度把握しているだろう?」

「はい、その、深くは分かりませんが大体のことなら」

「じゃあ、案内してくれ、ここが何ていう国かすら分からないんだ」

「そうなのですか、わかりました案内させて頂きます。

 因みにですが、この国はルストレアといいます」

「ルストレアか」

「はい、聞き覚えは?」

「無いな」

「そうですか……」

「まあ、これからわかっていけばいいと思っているしな歩いているうちに記憶が蘇るかもしれないし」

「そう、ですね!」


 しかし、さっきまで襲われていたとは思えない人だな心が強いんだろうな。


「では、早速村を出ましょう」

「わかった」


 一応村を物色して服を探してアリエステルに着させて俺の服は返してもらった。

 物色する時に最初のオークを見てしまった。

 どんだけ殴ったか覚えていないが顔面が陥没してやがる。

 オークの死体はともかくゴブリンの死体代わりである魔石であろうがおびただしい数になっていたことには驚いた。

 もちろん魔石は可能な限り回収した。

 思考鈍化していた時の記憶が薄い。

 もう二度とあの状態にはなりたくないな。


「何か忘れ物ですか?」

「あ、いや、なんでもない行こう」

「はい」


 こうして二人で街に向かうことになった。

 右も左もわからないこの世界で唯一の灯火を手に入れたようなそんな気分で。

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