2 弱くはないことに安心した
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ひとまず連日投稿二日目
ヘルプさんの案内のもと森を抜ける中でゴブリンと遭遇することがあった。
それでも一匹か二匹ぐらいだけだった。
戦って分かったことはたぶん五、六匹ぐらいなら何とかなりそうな感じだったことだ。
「ヘルプさん、村にはどれくらいで着きそうだ?」
『あと三十分ほどで着きます』
案外遠いな。
いや、ゴブリンを避けて歩いていることを考えるとそれほどでもないか。
『ゴブリンが一匹近づいてきます』
「おう」
こうやって警告を飛ばしてくれるのでありがたい。
メニューのマップには敵の位置がでるわけではないので、ヘルプさんの警告は助かる。
どうやって敵の位置を把握しているかは教えてくれないけど。
まあ、メニューを開いていても視界的に邪魔にしかならないのでメニューを閉じてもヘルプさんの声が聴けるのはありがたいな。
『遭遇まで五秒前、四、三』
タイミングを見計らい拳を振りかぶり出てくると予想されている場所に拳を出す。
すると茂みの中から出てきたゴブリンが自分から飛び込んできたかのように拳の前に飛び込み吹っ飛ばされる。
木に直撃するとピクリとも動かなくなった。
「全く、ほかのゴブリンに気付かれないように不意を打って仕留めるためとはいえ、この攻撃方法は慣れないな」
自分が攻撃した場所に敵が現れる感触は何とも言えないな。
まるで飛んできた石ころ を打ち返すような感覚だ。
『レベルが上がりました。
ただいまのレベルは3です
技能取得、武器熟練:短剣Lv1』
ヘルプさんの声でレベルアップが伝えられる。
技能取得によって幾つかの技能を手に入れることが出来ている。
これで五つ目だ。
内訳は
【技能】
挑発Lv1
逃走Lv1
武器熟練:棍棒Lv1
武器熟練:短剣Lv1
下級魔族言語Lv1
となっている。
とりわけ強力な技能は無いな。
しかし、敵を倒すとスキルが手に入るってのはいいな。
あ、さっきの不意打ちみたいな殺し方している理由は下級魔族言語のせいだ。
言葉は聞き取れるのに話にならないし耳ざわりの悪いことばかりを吐くので一方的に不意打ち攻撃することにした。
それに、この方法ならば他のゴブリンどもに気づかれにくいという利点もある。
位置的に浮いたゴブリンを仕留めることで安全に経験値を集めることができるらしい。
勿論、ヘルプさんの受け売りだ。
ヘルプさんいなかったらどうなっていたことやら。
『もうすぐ森を抜けます』
「わかった」
ゴブリンは、倒すとしばらくして魔石だけ落として消えるので魔石は回収している。
今現在六個ほどポケットに入っている。
ヘルプさん曰く、このゴブリンの魔石は売ることが出来るらしい。
もしこれがゴブリン以外の体内に魔石を持つ存在だったりした場合、魔石を取るために解体しなければならない。
しかし、今現在素手なので仮にゴブリン以外の体内に魔石を持つ存在と出会って倒したとしても流石に素手で解体をすることは出来ない。
出来たとしてもやりたくない。
「まあ、何にしても武器は要るわな」
『はい、村に行けばそれなりの物も……』
「ん? どうした?」
ヘルプさんの言葉が止まる。
『フショウ様、村に入るのはやめて下さい』
ヘルプさんの言葉に首を傾げた。
「どうしたんだ? 村で何かまずいことでも起きているのか?」
『はい』
適当に聞いてみたが返事は明瞭だった。
「何が起きている?」
森の近くにある村の異変と言えばもう一つか二つほどしか思い浮かばないな。
『オークに占領されています』
俺は、ヘルプさんの言葉に顔をしかめる。
占領されているのは考えにあったことだが、オークというものを知らない。
「オークってなんだ?」
『オークは頭が豚の亜人です。
ゴブリンと同じく魔物認定をされている種族です』
「ふ~ん」
なんて物騒な場所なんだよ。
村がオークに占拠されてるとか。
……あれ? なんでゴブリンの森の近くなのにオークが村を占拠してるんだ?
「ヘルプさんオーク共はどこから来たかわかるか?」
『北にオーク盗賊団という集団が壊滅したそうでそれの残党かと思われます』
「そうか」
ひとまず村らしき家を確認できたところで茂みに隠れて村を覗き込む。
村はいかにも襲われたように見えた。
幾つかの民家の一部が何かよって削られている。
そして、ヘルプさんの説明通り豚人間と呼べる頭部が豚になっているやつがここから見る限り二匹いやがる。
二匹は一つの民家を見張るような位置に立っている。
しかし、民家の中を興味津々といった感じで覗いているため全く見張りの意味はない。
「他の村人はどうしたんだ? 殺されたのか?」
『いいえ、逃げたようです』
独り言のつもりで呟いた質問にまさかの答えが帰ってきた。
まあ、答えれない質問ではなかったかさっきも似たような質問に答えてたし。
とは言え、まずは状況把握だ。
ヘルプさんが答えれる範囲だけ答えてもらおう。
「まあ、今はいいか。
因みにオークってのはどの程度の強さだ?」
『ゴブリンが五匹~七匹ほどで一匹といい勝負です』
「ふむ、それだったら一匹ぐらいならなんとかなるな。
村には何匹ぐらい居るかわかるか?」
『五匹ほどです』
「なるほどね」
一応、食料を確保したいので、村には這入るつもりだが、表の二匹に気づかれずに他の民家に這入って食料だけ確保したら町を目指すか。
そうして軽く算段をつけて村に這入る。
「キャァアアアアアアアッ!!!」
唐突に女性特有の甲高い悲鳴が響き渡る。
一瞬体がこわばったが直ぐにあることを思い出し、自分の頭の回りの悪さに辟易する。
少し考えればわかることだ見張りのオークが何に興味津々だったのか。
「残っている村人は居るのか?」
『村人はいません』
「村人じゃない? それじゃあもしかして旅人か?」
『はい』
「最初からわかっていたのか?」
『はい』
「~~~~~!!」
思わず頭を抑えたくなったが、しかし既に村に這入っているためそんなことをする余裕がない。
「ひとまず、見張りを殺すか」
『鑑定』
最初のゴブリン以降使っていなかった鑑定を使う
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名前:ドボ
種族:オーク
称号:はぐれ者
職業:盗賊
所属:オーク盗賊団残党
Lv :5
STR :16
VIT :24
DEX :8
AGI :5
INT :3
技能:思考鈍化Lv-、繁殖Lv-、下級魔族言語Lv1
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「これなら一人、で、も」
見張りのオークのステータスの技能を確認したときにぞわっとした。
「思考鈍化、だと?」
明らかにマイナスの技能だ。
殺すのはまずい気がする。
「ヘルプさんあのオーク倒すと技能はどうなる?」
『思考鈍化、繁殖の二つが手に入ります』
ですよね!
はあ、仕方が無い
「……はあ、ヘルプさん近くにゴブリンの群れはないか?」
『ありますが、どうなさるおつもりですか?』
「ゴブリンとオークが出遭ったらどうなる? 案内してくれ」
『なるほど、分かりました』
「できるだけ多い群れがいい多ければ多いほどなおいい」
『はい』
一旦村から離れることにした。
悲鳴を上げた女性が大丈夫かどうかは分からないが、俺が直接オークを殺すことはできない。
思考鈍化を取得するわけにはいかないからな。
思考鈍化は技能じゃなくて能力だと思うんだけどなぁ。
まあ、繁殖も技能とは言えないか。
それはともかく、早くしないとな。