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ボットン便所の花園

穴を降りた先には意外な光景が広がっていた。

そこは一面の花畑だった。花は俺の存在を感知したかのように眩く光り出した。

俺はその美しさに気を取られ、転移し忘れたクソがモロモロと溢れる。

すると落ちたクソに地面から湧いて出た大量の蛆が群がり、一瞬で食い尽くす。

丸々と太った蛆はものの数秒で蝿まで変態し、それを待っていたかのように花々の茎が伸びる。

一本一本が触腕のように変化した花々は蝿の大群を貪り食うと直ぐに元の美しい花に戻った。

「ようこそおいでくださいました。クソ塗れのお人」

地面から大きな花が現れ、開く。開いた花に人間の女性の上半身を取って付けた様な姿に変わる。

この辺では絶滅した非常に危険度の高いモンスター、アルラウネだ。

警戒はしていなかった。何かあっても俺は復活できるし、ここは人目に付かない。

それに上級のモンスターなら勇者の情報が聞き出せるかもしれない。

紫の瞳、薄っすらと緑がかった肌、木の蔦にも見える灰褐色の髪、大胆に露出した乳房。

魔性とは正にこの事だろう。俺は若干の気恥ずかしさを誤魔化すように発言した。

「俺を呼んだのはお前か? 話したい事とはなんだ?」

アルラウネは深く頷き、言葉を返す。

「まずはご挨拶を。私はアルラウネ。先代勇者に滅ぼされた一族の子孫です。」

「勇者について何か知っているのか?勇者なら俺の体質を治せるんだろう?何処にいるんだ勇者は?」

「落ち着いて下さいクソ塗れのお人。その事も含めて聞いて頂きたい事があるのです」

「申し訳ない。取り乱してしまった。あとその呼び方はやめてくれ…傷付くだろう」

「俺の名前はカイ。勇者を探しているがこの体質のせいもあって中々上手くいかなくてな。

何か情報があるなら教えて欲しい。」

「ではカイ様。全ての答えは私の生い立ちにあります。ちょっとキリが悪いので次の章でお話しましょう」


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