30.
ステラがカプロニたちとパーティを組んでダンジョンに行くことにイリヤムは反対しなかった。
竜炎樹の実探しは一人でできるし、それにステラを付き合わせるのに気が引けていたところだ。
カプロニとアレクとヴィルは確かにまだ少年だが、決して冒険者として未熟なわけではないし、そこまで危険な場所まで行くわけでもない。ラビス樹海ならば、この三人も何度ももぐっている。
それにステラの強さは折り紙つきだ。そんじょそこらのモンスターに引けを取ることはないとイリヤムは強く信じていた。
「おれの大切な相棒なんだからな」イリヤムは念を押した。「怪我なんかさせたら承知しねえぞ」
翌日の午前、セント・エクスペリー荘の前ではダンジョンへの旅仕度を終えたアレク、カプロニ、ヴィル、そしてステラがいた。
「わかってるって」アレクが答えた。「ほんと二人には恩に着るよ」
ステラは気恥ずかしそうにしながら、イリヤムにたずねた。
「本当にわたし一人、外れてもいいんですか?」
「だって、ステラは自分の記憶を取り戻すため、最初に乗っていた戦闘機をサルベージするための金を貯めなければいけないだろう? ダンジョン探索はそれなりの金になるから、ステラはステラのために頑張るべきだ。なに、竜炎樹の実探しはおれ一人でも何とかなるさ」
「すいません」
「謝るなよ。帰ってくるまでにはおれも何とか飛べるようにしておくからさ。だから、はりきって行ってきな」
「はい!」




