終わった
「……就職は、お父さんが責任を持って探すから」
ふざけるな。そんな痛々しい表情するんじゃねえ。痛いのはこっちだ。
現時点で、看護師さんたちに全身をつかまれている状態だというのに。
約10人の看護師さんたちが全身の関節を掴んでいる。だから動きづらくて仕方ない。
こんな状況にしたのはあんたのくせに。いい加減にしやがれ。このロリコン偽善者が。
それでももがいていると、身体が横になった。胴上げをするような形で運ばれていく。
クリーム色のドアから鉄製のドアに体が流れていく。
その間に見えた景色を二度と忘れるものか。座っていた患者たちがこちらを見ていた。
赤い。青色。水色。緑色。ピンク色。黄色。黒色。白色。肌色。
まるで小学生みたいなカラフルな色合いの中からこちらを見る顔だけが浮かび、恥ずかしさと腹立たしさを覚えた。きっと、クレイジーな両親から離れるまでこの腹立たしさを忘れないだろう。
身体がどんどんと居心地の悪い荷車に運ばれている間に気持ちがどんどん落ちていくのが分かった。
ああ、終わった。もう終わった。
私はこのままここから出してもらえずに死ぬしかないんだ。
一生、この閉鎖空間で生きていくんだ。
なんて人生の終わりなんだ。




