対魔王用最終決戦兵器発動
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「な、なな? どうした貴様ら?」
チィルール驚愕。
お昼寝から起きて、オシッコに行こうと部屋からでたら、あたり一面、チビッコたちの屍(?)が……
ある者は白めをむき、ある者は絶望の表情、またある者は恍惚の表情で気絶していた。
「お昼寝してた間に一体何が? しっかりしろ? オイ? なにがあった?」
横たわる少年を抱き起こす。
だが、返事がない、屍のようだ。
いや気を失ってるだけだけど。
「衛生兵、衛生兵はおらんか!?」
あたりに人気はなかった。
いや、建物自体がひっそりしている。
大人しくなんてできない子供たちが集まるその中で、この静けさは異様だ。
「なんだコレは? 魔王が復活したとでもいうのか?」
考えたくはない。
だが、その為に自分は出奔したのだ。
改めて自分の使命を思い出す。
「覚悟、必要か……」
腰の聖剣「神の剣」に手を……
なかった。
神の剣、部屋に置いてた。
取りに帰ろうとしたら、女の人がこっちに近づいてきた。
「あらぁ、また、新しい子猫ちゃん、いたんだぁ。」
「お前は?」
知らない女だった。なんかすごい卑猥なニヤケ顔で近づいてくる。
「愛の宅配便です。――印鑑、よこせや? おお!?」
「……サインでいいか?」
よく分からんが、荷物あるなら受け取らないと、でも、私でいいのか? ここの連中はなにをしておるのだ? とか思ってたら、そいついきなり抱きついてきた。
「かっわいーい! なぁにぃ、この子? バカ?」
「はあああ? 貴様ーっ!」
抗議したら、いきなりキスの嵐、かろうじて急所は外したが、なんだ? コイツは?
「オネーサンが、教えて、ア・ゲ・ル」
「貴様に教わることなど、あ? フャー!?」
わき腹クスぐられた。
「どお? どう!?」
「アファヒャヒャハヤヒャハヤ――」
「あっははは! トウがたってそうだけど、やっぱウブなんだぁぁぁ」
「ヒャハヒャハヒャヒャヒャヒャ――」
死ぬ、死ぬ、コレは死ぬ。
なんてことすんだこの女。
立っていられず、倒れこんで、そのまま這いずって逃げようとしても容赦なく責苦を続けられた。
「楽しいねえ! 愉快だねええ!」
「アフヒャヒヒャフヒャヒャフュヒャ――」
楽しくもなんともない、というか地獄の苦しみでしかない。
愉快だから笑ってるじゃねーよ!
と言いたい、でも声にだせない。
なんか笑い声しか出せない。
まさに拷問。
「もっと、楽しくしてあげるね?」
「ふぁ?」
両足鷲掴みで開かれ、股間に足を乗せられた。
それだけでも屈辱的なのに、股間に乗せた足、小刻みに振動させ始めた。
「電気アンマーっ!!」
「ぶ、ボボボッボオオオオ!」
かつて感じたことのない悪寒。
これは危険だ。
でもそれよりも……この時点でコレはやめてほしかった。
説明しなければならない。
膀胱という器官が人体にはある。
その器官の中に広がる金色液体、その静かな水面。
お空はサーモンピンク色、その空間は穏やかで平穏だった。
だが――それは先ほどまでのことだった!
バイブレーション、それによって波打ち際、泡立ち始める。チャポチャポ――
シェイキィンーグ、小さな波が大きくなってタップントップン――やがて津波に……
「どや? どや?」
「ブオア! あ、あかん!」
「ん? ええんか? ええんか?」
「モ、モレモレモレモレモレモレモレーモー……」
「?」
「モーレモレモレーモレ――ア・モーレ!」
股間が金色爆発した。
『バッシャアア!!』
踏みつけられたせいで、金色液体が爆散した。水溜りに足突っ込んだかんじだ。
「ヒいいい! お、お前! なにチビってやがる!」
「ぐぬぬぬ……」
屈辱、しかも、こんな……オシッコさせられるとか、ありえない。
頭きた。
完全に怒った。
「ヌウウガアアアア!!」
「ひゃ、ちょっと、まて――」
背を向け逃げ出す女にタックル。
小便飛沫にひるんだせいか、女は簡単に捕まった。
そして、ありったけの力をこめて攻撃。
目前にあった女のふくよかな尻にガブリっと噛み付いた。
「ひぎゃあああああ!!!」
―――――
「魔王の悲鳴? そんなまさか?」
第三小隊隊長ロイシュは驚愕した。
魔王を倒せるものなどいないはずだった。
事実、数々のトラップを打ち破られたあげく、部下の隊員たちは魔王の餌食となっていたのだ。
けれど、もしかしたら?
新たなトラップ(ドアを開けたら鉄アレイが落ちてくる)の作成の手を収め、悲鳴の方向に向かった。
「チィーねーちゃん!?」
その光景は生残。
累々の屍の中、逃げ出そうとする魔王の尻にカブリつく勇者。
その名はチィルール。
「やったのか? チィーねーちゃんが?」
だが有り得る。
だって大猪を退治したのもチィーねーちゃんだったからだ。
この人、伝説の勇者英雄か?
感動した。
「ヒィイイ! はなせ! ――あ、ロイシュ、コイツなんとかしてくれ! 尻が、喰われるー!」
魔王が命乞いしている。
感謝します、チィルール。あなたは世界を救ってくれた。
「伝説の勇者英雄、チィルール様!」
でも、なんか、まわりオシッコ臭かった。
オシッコおおおおおお!!!!!




