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晩餐

シリアスから脱出できないよー


 食堂。

 配膳。

 お膳と食器用意して配給

 小学校の給食を思い出す。

 懐かしい。


 順番が来た。


 「おニーちゃんは大人だからいっぱいだね」


 給食エプロンの男の子。

 スープ皿にナミナミよそってくれたけど・・・


 (他の子、ちょっとしかない・・・)


 いや、詳しくは大きめの子は、程々、チビッコたちは少なめだ。


 「ワタシも大人だから」


 チィルールの要求。

 男の子、ジト目。

 スープ、ちょこっと。


 「なぜか?」

 「チィルール、いいから、さきに進め・・・」

 「全然よくないが?」

 「オレのと交換してやるから」

 「でも、それじゃ」

 「いいから! 進め!」


 オレ、いたたまれない。

 たぶん、食料の総量が決まっているんだ。

 それを分散している。

 だから、平等には配れないんだ。

 平等に等しく配ったら、小さい子は満足できても・・・大きい子は飢える。

 だからだ。これは差別ではない。

 全員が生き残るための方法なんだ。

 

 (ちくしょう、なんとかしてやりてえが、なんもできねえ)


 罪悪感。それを感じる責任はないが、やはりコレは・・・キツイ。

 せめてソレをチィルールに押し付けて罪悪感なくしたいだけ。

 オレのスープ、チィルールと交換。

 「ほほっぅ」と嬉しそうなチィルール。


 (なんか救われるよ。お前のアスペっぷり)


 正直、微笑ましいよ。でもそれは残酷でもあるけど・・・


 テーブルにみんな着席。

 みんなで食事前のお祈りする。

 そして、いただきます。


 「あぁー、今日のスープ、お肉入ってる!」

 「ほんとだー」

 「すごいー」


 まわりが沸き立つ。


 「新しいお肉を第三小隊の皆さんが調達してくれましたー。だから古いお肉全部使いましたー。皆さん、彼らに拍手ー」


 シスター・ユーニィの発言で拍手起きるけど・・・


 「ワタシのない・・・」


 目の前の子、お肉入ってなかったみたい。

 慌てて、オレのスープ確認。


 (あった、一個だけだけど、けっこう大きめ)


 オレはそのお肉すくって、その子のスープ皿に・・・


 「しーぃ」ってコッソリ。


 その子、満面の笑み。

 そして、お返しに、その子のスープに入ってた大きなニンジンくれた。

 「しーぃ」ってコッソリ。


 (素直にすごく嬉しいよ?)


 なんとかしてやりたい。この子たち救ってやりたい。

 と、思ってたら横からチィルールも「しーぃ」て言いながらスープのイモくれた。

 

 (かわいくねーよ)


 だって、もともとそれオレのスープ。

 しかも、ジーッってコッチのスープ皿見てる。

 

 (てめーっ! まさか、イモのお返しに肉くれるかも、って思ってねーよなあ!)


 イジ汚いにも程がある。

 自然とオレの拳、グー。


 「違う、そんなつもりでは・・・」


 頭ぶん殴ってやろうかと思ってたら、こっちを察知。

 なんか言い訳してる。


 「ふぁああぅ・・・」


 だが、そこで本命現る。

 ジャージ姿のリリィーン食堂に侵入、お腹をボリボリ掻きながら大あくびで登場。


 「あれぇ? もお、ご飯? ワタシのご飯・・・」


 そういえば、オレ達の警護とお世話担当でいたんだわ、コイツ。でも・・・


 (実家モード丸出し! 今まで寝てたんか!)


 「働かぬ者食うべからず! ですー」とシスター・ユーニィ。


 ごもっともです。

 昼間、オレ達があんなに苦労してたのに、コイツは・・・


 「エエエエエ・・・!」


 当たり前だ。なに悲劇ぶってるんだ。

 リリィーンのヤツ、フルフルと震えながら上目遣いでシスターのほう見つめてる。

 でも、シスター、あっけなく厨房のほう目配せするんだよなあ。

 大急ぎで厨房に向かう、リリィーン。

 『あった♡』みたいな顔してお膳持って出てくるリリィーン。


 (甘やかしすぎですシスター)


 まぁ、オレもチィルールのことあるから人のこと言えねーわな。


 でもとりあえず、晩飯は美味しかったです。

 目の前の子がすごい幸せそうで、オレも満腹です。




次回こそはお下劣ギャグを・・・

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