お風呂
サービス回、のはず・・・だが?
終わった。
あの儀式は終わった。
(一生忘れそうにねえ)
湯船でオレはため息ついた。
今はもう風呂の中。
ホっと一息ついている。
「ニーちゃん、お疲れ」
と、リーダーがそばに・・・
「ああ、まぁ、なぁ」
他の子たちはカラスの行水だった。
子供にとって風呂は退屈で面倒なイベントだ。
「きみは、隊長は・・・というか第三小隊の子はハグとかいいの?」
「俺らは、守る側なんだよ。そう決心して入隊したんだ」
そこまでの決心とか子供がべつに・・・と思いかけて今日の出来事を思い出す。
必要なのだ。
この世界にきて、現実では存在意義を感じなかった『命』ってものを何度も意識させられた。
生きようとしなければ、死ぬ世界。たぶん現実でもそれは同じはず。
でも現実でそれを感じないのは、それほどまでに現実は日本は平和で裕福ということなのだろう。
「そうか、だから隊長はあんなに頑張れるんだな。偉いよな。だから、きみは隊長なんだな」
オレは隊長の頭をポンポンした。
「・・・」
隊長、湯船のなかにゆっくり沈んでいった。
なんかおめめがウルウルしてたような。
いっぽう女風呂のチィルール。
桶に汲んだお湯。頭上に掲げて、ザバーっと豪快なかぶり湯一発。
そして湯船に向かい・・・
「だめだよ。おネーちゃん」
「ちゃんと洗わないと」
「髪だってシャンプーしてアップしないと」
子供たちにダメだしされる。
「面倒だ。かまわん」
「やってあげる」
「え?」
「うん。わたしも」
子供たちに一斉に取り囲まれ裏返した桶にに座らせられる。
頭にシャンプー、身体にソープ。全身泡まみれに。
「く、くすぐったいぞ」
「ジっとしてて」
「きゃははっ、誰だ? くすぐったヤツがいるぞ」
「動いたらシャンプー、目にはいっちゃうよ?」
和気あいあいと作業は進行、でも・・・
髪の毛洗ってた子、違和感、手に掴む。
セミの幼虫の抜け殻、髪の毛から出てきた。
少女、ポイッって捨てた。
ワシワシと洗う。
また違和感。
今度はセミ自体出てきた。干からびて死んでる。
ポイッて捨てた。
洗う。
カエルのミイラ出てきた。
ポイッて捨てた。
洗う。
干からびた、チョメチョメが出てきた。
『!!』
「おネーちゃん!」
「なんだ?」
「髪洗おうね? 毎日ぜったい洗おうね?」
「う・・・わかった。そんな顔しないでくれ」
なんか泣きそうになってる子にチィルールも素直に答えるしかなかった。
そして、タローに戻る。
「いい湯だったですよぉ~」
上機嫌。
大きな浴槽でゆったりお風呂なんて久しぶりでした。
シスターに渡された寝巻きみたいなスウェット上下に着替えて廊下に出た。
「ニーちゃんは化け物か?」
「だから、先にあがれつったじゃん」
オレに付き合って長風呂した隊長、のぼせてフラフラ。
まあ、コイツは強いから大丈夫でしょ。
いい経験だったのではないかと思う。
「レディ達も御あがりでしたか・・・」
オレは女湯から出てきたチビッコたちにオドけてみせる。
「湯上りで皆さんツヤツヤ、たいへんイロっぽいですねえ」
なんか、チビッコたち「きゃあきゃあ」大騒ぎ。
チィルールの影に、みんな隠れちゃった。
「騒ぐな、でも、こやつはスケベイだからな。わたしが守ってやる」
(あ、いたんだ、チィルール)
チビッコたちにまぎれて気付かなかった。
でも、へんだ。
チィルール、キラキラしてる。
「なに? お前、光ってるんだけど。また爆発する気か?」
「爆発したことはないが?」
「じゃ、なんで光ってる?」
「この子らが洗ってくれただけだが?」
得意満面の少女たち。
傍にいた隊長も、ホッペを赤くして、なんか見とれてる?
「そっか、お前、今までドンだけ、バッチィかったんだ?」
「はあ? バッチぃくは、んー、なかった、ぞ?」
『エエーっ?』とか、まわりのチビッコに言われてるじゃん。
やっぱ、お前、ババっチィかったんだ。
どおりで、蜂蜜が腐ったようなニオイがすると思った。
まあ人のことあまり言えないが・・・
「お互い、ちゃんと風呂はいれるような生活をめざそうな」
「う、ん? まあ、やぶさかではないが」
生活設計。
オレら根無し草。
でも、とりあえず、メシだ。
食堂へ向かう。
食ってから考えよう。
次回お下劣ギャグいきます・・・でも次々回になったりして?
キャラ次第です




