児童保護施設での生活1.1
今回も短いです。区切り難しいです。
みんなそれぞれ持ち寄った獲物。
肉、ネギみたいな野菜、キノコ 、木の実など十分な食材。
ちなみに肉はヘビだけでいいだろ、というリーダーの判断で、トカゲは解放された。
グーパンで気絶させてただけで二匹とも生きていた。川に離されスイスイ泳ぎ野生のなかに帰っていく大トカゲ。
そんな様子をヘビは勝ち誇ってるみたいに見送っているけど、お前これから食べられるんだよ?
「よし、次は火だな」リーダーの声。
(しまった。残されてたオレ達で起こしておけばよかったのに)
マキすら集めてない。
段取りの悪さに年長者のオレ、面目ますます立たない。
「隊長! ・・・申し訳ありません」
と十才くらいの少年。石の詰まった袋を引きずってきた。ジャブジャブと水が滴っている。
「なんだ?」
「火炎石、前回使ったあと水辺に漬けたままでした」
「チっ、そういえば、前回急に天候が悪くなったもんな」
「隊長! わたしヤルです!」
タックルの女の子、真剣な表情で進言。
「やれるか?」
「やります!」
「よし! 頼む!」
流れが良く分からないが、この子たちは本当にコドモなのであろうか?
火炎石というソレを陣地の真ん中に馴らした。
タックル少女がその火炎石に手をかざす。
少女の手から湯気みたいな白いモヤがあふれる。
(これ魔法だ。魔法で火を着けるんだ)
少女の魔法が火炎石に触れ、反応が始まる。
パチパチと火種が燻ぶり、煙が上がる。
だが、火は着かない。やはり湿っているのが問題なのだろう。
「やっぱムリか・・・」
リーダーのあきらめ加減の発言。
少女の顔に悔しさがニジミでた。
「大丈夫。やれるよ。一緒にね? (あきらめないで! 君には可能性がある!)」
オレはその子の背中をそっと支えた。
(マジックエール! オレはこの子の力になりたい!)
燻ぶっていた火炎石がいきなり火柱を上げた。
「あっち!」
「うお!」
「ちょっと!」
そばで伺っていた子供たちがあわてて距離をとった。
オレも結構熱かったが、目の前のこの子は?
「大丈夫か? おい! しかっり!」
たぐり寄せ、振り向かせる。
「やった! やったよ!」とバンザイしそうな勢いで喜ぶ少女。
「あぁ、すごかった。びっくりしたよ」
「わたし魔術師になるの!」
「なれるよ、きっと。だってこんなにスゴイんだから(マジュチュシ・・・)」
得意満面の少女。
でも、前髪と眉毛、ちょっとチリチリに・・・鼻先もススで黒くなってるし。ちょっとコゲくさいかなぁ。
「すげえぇよ、ララリー」
「ララリーなら魔道士にもなれるんじゃね」
「俺等、天秤の羽、初の魔道士か。いいな」
「天秤の羽、じゃ、ねえよ! 俺等、第三小隊の誇りだ! きっとな・・・ダロ?」
リーダーの発言で、お世辞じみていた発言がビシッとしまった。
持ち上げてた隊員はおろか、浮かれていたララリーという少女すら姿勢を正した。
決意ここに! といった感じか。
このリーダー、やっぱホントにリーダーなんだな。
けど君らホントにコドモなの?




