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援軍が? きた?

誕生日おめでとう俺

あと何年生きれんだおう

 

 一方……

 

 ポポやんがセイヤ一味に加わった頃の海上では……


「追いつけるの?」


 とリリィーンの問いかけ。

 

 それは彼らを追う洋上オクエン艦隊の戦艦内での話。


「10ノットの最大船速を誇る、我が旗艦『チョットー・ヨッター・ミタイ』が遅れをとるものか!」


 と誇らしげに旗艦艦長の反論。


「心配ない、と思う。敵はそんなに速くないし、度々、浮上してるみたいだ」


 と聴診に優れたハーファのトロイが宣言した。

 両耳を両手で被せて残留する音紋を確認している。

 エルフと人間のミックスである彼女の耳レーダーは信頼できる。


 それに「ふん!」と鼻息を鳴らすのが、彼女に敵対する艦長最大の抵抗である。


 だが事実、彼女ら(エルフ)の耳レーダーはこの異世界のほぼ全域を掌握するほどで、こちら現実世界のワールドワイブウェブと遜色ないものだった。

 けれど悲しいかな、とうの異世界人たちはその価値を未だ見出せずに軽んじるばかりであった。

 それは現実の最新鋭イージスシステム並にも拘わらずなのにである。


「海だからなぁ、クソ! 仲間がいれば!」


 悔しがるトロイ。

 仕方ないのだ。

 この広い海上にエルフの仲間など存在するはずがない。

 いくらレーダーが優秀で広範囲を索敵できても単体ではその範囲は知れているのだ。

 仲間が遠からずの場所にいて、その者とリンクできてこそ初めて耳イージスシステムは機能する。

 自分では探知できない遥か先にいる目標を他人の力を借りて自分でも探知できる。

 それこそが耳イージスシステムの本領である。だから単体ではたかが知れているのだ。


「仲間さえいれば!」


「その仲間とやら?」

「ん?」

「アタシらでも?」


 と、口を挟んだのはジラクィ。東海賊の頭領。


「なにをする気だ!?」

「いや、なーにぃねえ」

「なんだ!?」

「いい加減、アタシらも出番がね? 欲しいのさ」

「はぁ?」


 困惑のトロイだが、それ以上の問答は無理だった。


「緊急!!」

 

 と、とある兵隊がノックもなしに、この部屋に駆け込んできた。 

 

「しめせ!!」

「後方より多勢の機影!!」


 艦長の表情が強張ります。


「第二次迎撃態勢!!」

「アイアイサー!!」


 艦隊にサイレンが鳴り響き。


 艦隊指令室が、にわかに騒がしくなります。


「機動部! 燃料充填! キュウマル! 維持!! キュウマル維持!!」


「火砲部! 人員収集せよ! そなえよーぉ!!」


「その他! 持ち場を死守! 聖域を! 荒らされることなかれー!!」


 それぞれの通信弁を開けて、それぞれの場所に的確な指示を与える艦長。やはり手腕は見事です。


「伝達!!」


 新たな兵隊がこの場に駆け込んできた。


「なにか!!」

「敵! 無抵抗旗! 確認!!」

「くっ!?」


 艦長がジラクィを睨みつける。


「ようやく追いついたみたいだね。アタシらの仲間」


 異常な事態に対応するため、大急ぎで出立したジラクィは、装備など二の次だった。

 だから主装備は第二次勢力に任せ、この場に到着を待っていたのだ。


「装備は到着したし、ちゃんと作戦もあるさ?」

「こ、小賢しい……」


 艦長の歯ぎしり。


「姫さんやセイ坊、ネコちゃんも必ず救出してみせるさ?」


「フッ!!(忌々しい海賊めがっ!)」


 しかし……


 完璧だったジラクィの思惑は斜めに外れることになりました。


 なぜなら……


 ここは援軍旗艦のデッキ上……


「ようやく追いついたぜ!」

「船の先端に建つなんて危ないですわ。イイルカ」

「うっせー! 黙ってろやクィール! ここからが本番だ。アタシが全部解決してやんぜー!!」

「……(ッ!!)」


 得意げなイイルカ。


 ムカつくクィール。


「えい!!」

「きゃあああーーーーー!!」


 イイルカの悲鳴!

 なぜなら彼女の後ろからクィールが背中を突き飛ばしたからだ。


 船首から落っこちて、海に墜落寸前、船首の出っ張りにしがみ付けたイイルカ。


「ハッフ・ハッフ・ハァア……ハッアアアア……」

 

 海のヤバさはよく知ってる。だから、思いっきりビビったのだ。呼吸も荒れて当然である。


「ほーっら!! だから! 危ないって言ったでしょお!!」

「え!? あれ? あ、あの、今、あんた、私、突き飛ばしたよね?」


 海に落ちかけたイイルカ、船首の出っ張りから必死に這い上がろう中、ナウ。


「だーかーらー! だから危ないって、私! 言ったよね!?」

「……うん」

「私、無茶ばっかりするイイルカが不安なの」

「う、うん」

「お願いだから。ちゃんと私のことも、言う事も考えて!?」

「うん(落ちちゃう……助けて?)」

「ありがと。だからイイルカのこと好きヨ」

「うん(助けて?)」

「ほら? 遊んでないで早くおあがりなさい?」

「うん(えっ!?)」


 その後、彼女は自分でなんとか這い上がりました。

 

 そしてこれがジラクィの援軍なのでした。

 

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