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朝食する

承部分です。おもしろくありません


 「・・・に感謝。リリスルルラっラ」

 「・・・と共に。アイスラルラム」

 「なんまんだぶぅ・・・(ん?)」


 全員、お祈りはすんだみたい。

 やっと食事にありつける。

 と、思ってたらいきなり幻滅。


 (ああぁぁっ、やっぱり、そうなんだ)


 オレはスープをすすり始めた金色蛍さんにガックリする。

 だって、スプーンを鷲掴みだもの。

 子供みたいに鷲掴みしたスプーンでスープをすする。

 金色蛍さんみたいな大人のレディがそれってなぁ・・・

 同じことをチィルールもやってたので注意したらあのガキ、

 「女がこうするのは普通だ!」とか言いやがる。子どもの幼稚な嘘だと思ったのだが。

 

 (でも、やっぱそうなんだなぁ)


 なに、こっちの世界で女に幻滅は慣れっこよぅ。

 オレもとっととメシ食おう。

 ズズッとスープを一すすり。


 (お、旨っ)


 ジャガイモ(?)の「ポタージュ」新鮮な芋の風味がハンパない。

 現実世界のポタージュが泥か粘土に感じるほどに、このポタージュは爽やか、でも、しっかりとした風味と旨みが濃厚に弾いてる。


 (肉や出汁の感じはない、高級なジャガイモでも使ってるのか?)


 こうなると、パンにも期待したい。

 一ちぎりして、口に・・・


 (お、コレ、味がある)


 こっちのパンはいくつか食ったが、小麦と塩が基本らしく、香ばしくサッパリした味わいなのはいいが、現実世界のパンと比べるとやや不満。まぁ、日本のパンが甘すぎるきらいもあるだろが。でもこのパンはトウモロコシみたいな風味を感じる。


 「ウマイです。味が深い」

 「味が深い、と、きたか・・・」


 金色蛍のアリスちゃん、は、やっぱ失礼か、金色蛍さんはオレのセリフに満足そう。

 でも?

 

 (オーガニック信仰なのか?)


 だって、この贅沢そうな御屋敷にこの質素(貧乏)な料理のみって考えられない。

 天然素材だけを取り寄せて作った・・・っていいたいのだろうか。


 「パンもスープも自家製だが、なにより素材がな。施設の子達が一生懸命作ってくれている。まずいわけがない」

 「施設?(児童労働? 虐待?)」

 「あぁ、施設だ。なにか?」


 贅沢な屋敷にマフィアがいて、施設の子供に作物を作らせ・・・

 いや、これたぶん誤解あるな。


 「子供たちに無理やり畑仕事を・・・とか?」


 オレ、けっこうドキドキしながら質問。違うと思うけど、やっぱり、どっちにしたって失礼な質問だ。

でも聞かなきゃならない。激昂されるのは仕方ない。


 「はぁ? なんでだ? みんな頑張っているが」

 「え・・・」


 意外と静か。

 でも、成り行きを見てた副官のローリィさん、クスクス笑ってる。


 「アリスちゃん、この子、マフィアが施設の子供を奴隷扱いしてるって思ってるのよ」

 「な! はあああ!?」


 やっぱ、金色蛍さん激昂。ローリィさん余計なフォローしなくても。

 とりあえず分かった。やっぱり、この人たちは悪者ではない。


 「いえ、違うよ? 知ってますよ? ツンデレでるよ? 知ってるし?」

 「なにを言ってるのだ? 貴様・・・」

 「タローの言うことはたまに意味不明だ。漂着者というのはそうなのかもしれん。そんなことよりも本題だ」

 「わかった」姿勢を正す金色蛍さん。

 「うん、では御代わりを所望する」

 「……」


 リアクションがないので、パン皿とスープ皿を掲げるチィルール。

 無言の金色蛍さん、視線でローリィさんに合図。

 チィルールの皿に御代わりがきた。


 (ナイスだ、チィルールの食欲)


 さり気なくフォローなんて芸当あいつにできるわけない。ハラの虫に感謝。


 「さて、そろそろ本題に入らせてもらおう」

 「モグモグ」

 「はい」

 「これから貴様達の処遇だが」

 「モグモグ」

 「ハイ・・・」(チィルール邪魔くせー)

 「表に出すと夕べのような騒ぎになるのが目に見えている。しばらくは我々の管轄にいてもらう。そのほうが貴様らの身の安全にもなる」

 「モグ・・・ゴクン」

 「それまではあの牢で・・・」

 

 金色蛍さんとの間で御代わりのメシ食ってるチィルールが邪魔くさい。

 

 「いや、働かざるもの食うべからず、貴様らにも働いてもらう。そもそも、うちにはタダメシを食わせられるほどの金はないからな」

 「ずーずずっ」

 「え、この屋敷は?」

 「犯罪に手を染めていた貴族が隠れ家として所有していたものを我々が接収した。本人は憲兵に身を追われ本家で匿われているが文句は言わせん。売れるものは全て売ったが、生きてゆくには金がいる。もぅあまり残ってはいない」

 「モグモグモグ」

 

 (それでか。この屋敷が貧乏くさいわけ。建物自体は贅沢なのに調度品が全然ないせいだ)


 「本当ならこのデカ物自体を売りたいが、いわくつきのせいで買い手がつかん」

 「ゴックン」

 「なるほどです」

 「しばらくは、我々の施設のほうで滞在してもらう。そしてついでに、そこで我々の現状を知ってきてもらおうか? 児童虐待があるかどうかも含めてな?」

 「ゲーップ」

 「ウっ・・・はい」


 ちょっと怖い。

 金色蛍さんの瞳がキラーンって・・・


 

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