友達じゃないん?
潜水艦に乗り込みました。
「ほほう! うむうむ。ほほう!」
搭乗口からハシゴで下った船内。初めての経験。
興奮した様子でチィルール、キョロキョロと辺りを見回します。
目の前に出迎えた人がいるってのにです。
「ようこそ。我が艦『ソ・オーレ・キタード・コイショ』へ。チィルール姫殿下」
「うむ。(カッコいい名前の船である)」
「私の名はネイルと申します。そちらの方は?」
出迎えた艦長。キチンとした軍服身なりにもかかわらず、バーにいる酒の注ぎてのような妖艶な魅力を持った美しい中年の女性だった。そしてチィルールについてきたセイヤとルルーチィに怪訝。
「セイヤとルルーチィである。我の……? 友達で良いのか?」
「疑問形にするな。俺はお前の保護者だ」
「私はチィーちゃんの従者だから。姫様を命がけでお守りするから!」
「なぜか。二人とも、友達ではなかったのだな……」
「い、いや友達ってか、戦友だお!(ナニしんみりしてんだコイツ調子狂うじゃん)」
「違うよ!? 私とチィーちゃんは秘密の親友だから! でも身分が違うから内緒でなきゃ駄目!」
「そ、そうであるか。うむ。で、あろうよな。うむ」
恥じらいながら、ちょっと納得した様子のチィルール。
「アッハハハ。いや、失礼。無論、お友達ともども歓迎したしますよ」
「うむ。よきにはからえ」
「ハイ、殿下」
子供っぽい彼らのやり取りを見せられ、ネイルの頬も緩みっぱなし。
敵との初対面は意外にくだけた感じで良好だった。




