次の日
気付けば久々なっなのね
翌……
日が明けて。
確認された被害状況。
消失家屋4。火傷89名。その他怪我23名。死亡者ゼロ。
伝説のステージの結果。なんとか死者はでなかった模様。
「やっぱ祭りはこーよ、なぁ」
「いや俺らが若いときゃあ、もっと、なぁ?」
「おう! あんなん序の口だわなぁ。かかかか……」
年寄りの発言。楽しそう。
「夕べは盛り上がったなー」
「マジ最高のステージだったわ」
「でも被害……ヤベぇ……」
「お、おう……」
若者の発言。鬱つ。
だがしかし、すべてをリセットして新しい一日が始まるのであった。
「夕べは盛り上がり過ぎたかな」
「でもサイコーだったぜ」
「だよねー」
「おう!」
「お前ら二人とも焦げてるぞ」
満足そうなクィールとイイルカにツッコむセイヤ。
一目散に逃げだしたセイヤ一行と違い、その二人こそは出火地点。全身まんべんなくチリチリに焼けて焦げ臭いのだった。
「それよか私たちのステージどうだった?」
「どうもこうも、いや、スゴかったよ(スゴイにも色々ニュアンスある)」
「うん。驚いた(驚く意味にも色々ある)」
「見事であった(であるらしい)」
「だろう」
「やったね」
セイヤ、ルルーチィにチィルールそれぞれの感想。
その答えに満足そうな二人。
そして二人は、セイヤの「焦げ臭い」発言によってお風呂に向かっていったのだった。
そこへ入れ替わりにここの海賊頭領ジラクィが現れた。
「昨日は楽しんでもらえたかい?」
「ええ、良い経験でした」
「そうか、クィールもあの調子なら全快したのも間違いないみてーだな」
「逆に昨日ずっと一緒に遊んでた俺らからすると病弱だった印象ないですよ」
「ワハハ! そっか、いやアンタのおかげだよ。感謝している。皆もだ。代表してこの頭領ジラクィが礼をさせてもらう。本当にありがとう」
「いえ、俺も確証あったわけじゃないし、ほんと良かったです」
「そういかい。だが、実はな……」
クィールは元々難病もちだった。その治療を名目に敵国マンエンがクィールの親であるジラクィにオクエン国の姫『チィルール』誘拐を持ちかけたのだ。そして誘拐は成されて三人が今ここにいるわけだが、セイヤのマジックエールのおかげでクィールは完治してしまった。今やオクエンを敵にしてまでその悪行に付き合う意味はない。それでも、である。
「実はな」
「……」
「マンエンから連絡があった」
「……」
「アンタらには恩義もあるが、マンエンからの義理も果たさなきゃならねえ。でなけりゃ、今度はマンエンにこちとらが滅亡させられちまうしな」
地方の一海賊が一国を相手にケンカなんてできない。やっても一方的な虐殺にしかならない。当初はクィールの為にオクエンに滅亡させられる覚悟だったが、今やその決死の覚悟は必要ない。うまくやり過ごすのだ。ジラクィはその算段がついている。
「ここの人たちも国同士のイザコザに巻き込まれたのはわかっています」
「そう言ってくれるかい。だったらその想いに答えるしかないよな」
「ただ、無理はやめてください。俺たちは今までもなんとかやってきたし。今回も何とかしてみますし」
「ああ、というわけで、アンタらをマンエンに差し出す」
分かっているとはいえ、セイヤもハッキリそう言われるとキツイ。
「フンッ! 所詮は海賊だ」
「よせ、ルルーチィ」
「けどな?」
「?」
「アンタら渡した後で、そのマンエンの船は所属不明の海賊に襲われることになってんだ、不思議にコレが」
「はあ?」
「夕べの宴会、伊達に配下を集結させたわけじゃねーよ。打ち合わせは万端だ」
「それじゃ」
「自作自演の茶番劇。付き合ってもらうぜ?」
「はい!」
新たな道が開けた。希望に満ちたセイヤの視線にルルーチィは拳を突き出して答えた。
「それはよいが、朝飯はまだかの?」
空気読まないチィルールの発言。
「っ、お祖母ちゃん、朝飯はさっき食べたでしょ?」
「誰がお祖母ちゃんか? それにまだ食っておらんぞー!」
「ああ、そだよ? 食べてないよーお!? だーかーらー!?」
「っな? なぜか?」
セイヤの理不尽な剣幕に気圧されるチィルール。
この作品もコンプライアンス的に日の目をみることないんでしょうね




