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もうひと踏ん張り


「おつかれさーん!」


 くたくたになってるクィールを迎えたのは幼馴染であるイイルカであった。


 高台の奥に戻ってきたクィール。


 今まで散々みんなに愛想を振りまいてきたのだ。

 病み上がりにしてはやや重労働だった。

 しかし、ようやく幼馴染のイイルカの前で、すべてさらけ出せる。


「へへへ。やったぜー」 

「うん。奥、いこな?」


 ここには垂れ幕もあって、みんながいる浜辺からこちらは見えない。


「へへへ、やったよ私ぃ」

「うん」


 へとへとになって足取りも怪しい彼女に、肩を貸すイイルカ。


「カッコよかったでしょ私?」

「うん」

「新作の決めポーズも出しちゃった! 気付いた?」

「うん」

「……なんで、さっきから『うん』しか言わないかなあー?」

「うん」

「うーん?」


 うつむき加減のイイルカを覗き込むクィール。


「なんで泣く?」


 肩を貸しながら、隣でポロポロ涙をこぼしながら歩いているイイルカ。


「お前、あんま、ヒック……あんま、ヒック……無茶すんなよ。ヒック……」

「無茶してないモーン!」

「ひっふ……、嘘つけ! だって今だって……ヒック……ひふふぅぅ」

「大丈夫! 心配しないでーす?」

「だって、だって、だって……」

「あー、もぉー。……ごめんね、イイルカ」


 泣きじゃくるイイルカを抱きしめるクィール。


「親友にまで心配かけるなんて私もまだまだ未熟ですわ、ねー?」

「クィールは、クィールはぁ、いっぱい、いっぱい頑張ってるん! だからクィールは、クィールはぁああああ……うわ、わああああああああああーん」

「はーい、いっぱい頑張ってるクィールでーす! はいはい、よーしよーし!(えーと、私が介抱されるほうだったんじゃなかったけ?)」


 最後にもうひと踏ん張り、親友のイイルカを救うクィールです。



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