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禁断の場所


 セイヤ達は先に進んでしまった子供達の後をたどる。

 少し歩いたところで彼らの後ろ姿を発見。

 クリスタルの表面を夢中に覗き込んでいた。


「なにか?」


 チィルールがダッシュして彼らに割り込む。


「なんじゃコレは!」


 と驚きの声を挙げながらクリスタルにタックルした。衝突して『ゴン』と鈍い音が響く。


「イテテ」

「なにをやってんだ!?」

「チィーちゃん!!」


 心配してセイヤとルルーチィも様子を覗く。


「ああ、これ海中が映るのかあ。天然の水族館だな」


 クリスタル表面には珊瑚の隙間を泳ぐ魚やユラユラ揺れるイソギンチャクの様子が映っていた。どうやらこれは遠くの海の底をここまで反射させているようだ。


「なんと!? これは海中なのか。うむむ」

「え? 見たことないの。そうかこの世界に防水の海中カメラはないのか」


 現実世界の人間であるセイヤにはそんなめずらしいモノでもなかったが、オデコが赤くなってるチィルールにとっては初めて見る光景だったのかもしれない。


「あ、イワシの群れだ」

「追いかけられてる?」

「カツオだ」


 リアルな海中のドラマに夢中の子供達。


「シャ」


 と小さなウナリを挙げ、クリスタルの表面に飛び掛る、ネコ族系ハーフビーのルルーチィ。『ゴン』と衝突音を響かせ、地面に落下した。


「落ち着けお前ら。だからこれは映像だってば」

「イターイ。だってすごくリアルなんだもん」

「んーまぁ確かに高画質だけどさ」


 オデコを赤くしたルルーチィ。

 この世界にもテレビはあった。ただし電波放送はなく、ビデオテープみたいなメディアを使ったビデオテレビのうえに、白黒であった。だからこんな高画質の映像を見たら、初めて見る鏡の自分とケンカをしてしまう犬やネコみたいに反射的に魚を捕まえようとしてしまうのかもしれない。


「どうだ。驚いただろう」


 得意げなイイルカ。


「うむ。見事である」

「確かにちょっと面白いかも」

「正直、大したものだと思う」

「なんせ海賊仲間以外の部外者には絶対知られてはならない極秘の場所だからな」

「へー」

「……」

「……」


 その海賊に誘拐され、イイルカやクィールと子供達にノコノコとここまで連れて来られたセイヤ達三人。微妙な沈黙が場を染めた。

 

「どうやら、お前らは知ってはならないことを知ってしまったようだな」

「はぅ? 得意げに案内してきたのは誰だっけ?」

「う……しかし」


 いきなり凄むイイルカだったがセイヤの言葉で途端にタジタジだ。  

 

「まぁまぁ。もう仕方ないじゃないの」


 クィールの助け舟。


「磯の穴に投げ込んでバニラと同じ運命をたどってもらいましょうよ」

「どっちに対しての仕方ないだよ! お前らの腹の中に生きていくのかオレ達は?」


 見た目おしとやかだがクィールは相変わらず性質が悪い。


「かわいそーだよー」

「やめたげてー」

「やだよー」


 子供達がセイヤ達にしがみつき擁護する。


「じゃあ、ここは見なかったということで」

「あー、うん(そんなんでいいのかよ)」


 あっさりと決着した。


「でもなんで極秘なんだ。客を呼んでお金が貰えるレベルだと思うけど」

「あのなー。周りの魔法石をなんだと思ってやがんだ」

「なんなの?」

「とても高価なモノよ。これだけあったらお城が立てれるくらいにね」

「そうなんだ。いや、でも待てよ。じゃあなんでこれを売ってクィールの治療代に充てなかったんだ?」

「それは、ちょっとした昔話、いえ神話の話になるかしら……」


 クィールが語る昔話。


 次回に――

 


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