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拉致、そして・・・「あぁーん」


 あれからオレ達二人は、マフィアが乗ってきた馬車に乗らされる。

 馬車は二台あったが、なぜかオレ達は首領と副官と思しき人物と一緒にちょっと高級そうな馬車のほうへ乗らされた。

 

 (待遇は悪くないけど、オレをどうするつもりなのか)


 奴隷扱いで蹂躙しようというわけでもなさそうだが油断はできない。こういう連中は飴とムチの使い方を心得ている。ちょっとでも反抗的な態度をとったら、途端に奴隷扱い。逆に服従の姿勢を見せれば、お客様扱い。そんな輩だ。


 (よくよく考えたら、今、オレってヤクザに拉致られて、事務所行きの最中なんだよな)


 そう考えると、背筋が凍るが、目の前の首領は普通のオネーサンにしか見えないし、隣の副官の娘は顔こそ仮面で隠れているが、ともかくオッパイが大きい。だから悪い人には感じない。


 (オッパイ・・・)


 首領はスレンダー体形だからさほど張り出してはいない。でも大人の領分だけあってちゃんと丸みの存在感を感じる。

 でもオレはそこで、なにか違和感というか気付いてないことがあるというか。

 

 (なんかモヤモヤした感じが? なんだろう)


 だけどその答えはでないまま、やがてマフィアのアジトへと到着。

 そして馬車から降ろされる。


 (リッパな御屋敷だこと)


 豪華な様相の二階建て建物。広々した庭と敷地、その周りを囲む堅牢なカコイ。無論、いうまでもなく玄関前には噴水があった。高貴な貴族さまの御屋敷といった、いかにもな住宅だ。


 (これはヤバイは、オレ搾取パターンか)


 普通の稼ぎでこんな建物建てれるわけがない。そうとうアクドイことしてるに違いない。


 「こっちだ」と別方向へ促される。


 (ん? そっち? まぁ、これ本宅だろうからいきなり本部の中へはないか)


 オレ達は屋敷でなく脇の庭を回りこむ。

 見えてくる建物。屋敷みたいな豪華な飾りはないが、がっちりと堅牢そうで実用性が高そうな木造の大きな建物。

 

 (これ倉庫? 納屋にしてはでかいけど?)


 いや、あの屋敷を維持するには納屋もこれくらいの大きさが必要ということか。

 

 (納屋へ・・・って、まさかこのパターンは!)


 オレは馬車の中で感じていたモヤモヤの正体を確信した。


 (ヤバイ、ヤバイぞこれは!)胸がドキドキしてくる。


 首領のムネ、副官のボイン、後ろに着いてきている手下ちゃん達の大小様々なオッパイ。

 これは俗に言う「ケシカラン行為」が始まるのではなかろうか。

 納屋の中に詰まれた藁の束の上に放り出され「あぁん」とか言うオレ。

 取り囲んだマフィアたちが「ふひひ」と服をはだけさせ、オッパイが「ばぃーん」って・・・


 (おぉ・・・っパイ!)


 と、なると邪魔者が一人。

 チィルールだ。

 やっぱ捨てておけばよかった。


 「チィルール、聞いてくれ」

 「ん?」


 オレは隣を歩くチィルールに、小声で話しかける。


 「いいかい。これから、もしかしたらヘンなことが始まるかもしれない」

 「ヘンなこと?」

 「そうだ。けれど大丈夫。もし、ソレが始まったらね。チィルール、君は壁のほうを向いて目を閉じ、耳も両手で塞いでおくんだ。いいかい? 終わったら頭ポンポンするから、それまではジッとしておくんだよ?」

 「なにを言っておるのだ貴様は? それに先ほどからなにをニヤニヤとしているのだ? んん?」


 (え・・・オレ、にやけてる? かも?)


 「ああーーーっ!!」とチィルール突然の絶叫。その場の皆「ビクゥ」刀に手を掛ける、が?


 「スケベエなことか!」

 「でっけー声でなに言い出す!」

 「貴様、そのようなハレンチな・・・」

 「だから声がでかいって」全員の注目の中でオレ顔真っ赤。

 「安心しろ。タローの貞操はワタシが守ってやる」

 「いや、あの、べつに」


 チィルール、ジャンプしてオレに抱きついてきた。俗にいうだいしゅきホールドだ。


 「こうすれば大丈夫だ。ずっとこうしておいてやる。だから心配するな」

 「はぁ、どうも・・・(まぁ、いざとなったら多勢に無勢、力ずくでどうにもと)」


 チィルール、オレの顔面をべチンとぶったたく。

 

 「イテ?」

 「だがら、なにニヤニヤしておるのだ。期待でもしているというのか?」

 「え・・・いや、まさか・・・そんなねぇ・・・」

 「ホントお前・・・男のくせして・・・イヤラシイよのぅ・・・」

 

 なんでシミジミした感じで言うんだよ。

 もう滅茶苦茶恥ずかしい。

 まわりの手下ちゃん達もコッチみながらコソコソなんか話してるし。

 「行くぞ・・・」と声を出した首領だって、平静ぶってたけど頬が赤くなってたし。

 クールでシリアスだった空気がソワソワした妙な感じになった。

 なんか気まずい雰囲気。

 だが首領に着いていくしかない。

 オレはがっちり掴んで離れないチィルールを抱えたまま後を着いていった。


 (自分で歩けよ、チィルールめ・・・)

  

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