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駄民リリィーン

海賊がチィルールを狙ってやってきた

対するセイヤ達

罠を仕組むのだが


短いです


「これでいいかな」

「貫禄がいまいちかな」

「王冠かティアラがあれば」

「これでいいんじゃね」

「え?」

「あとは後ろ手に縛って、猿グツワな」

「ん? フー!!」


 かくして、チィルール殿下の身代わりとしてリリィーン姫(偽)が完成する。

 チェアに縛り付けられ、猿グツワで口封じられ、頭上に空き缶詰の王冠を載せた麗しい姿。

 一国の姫殿下といいうより、街角で芸をしてオヒネリをネダルような、まさにリリィーンそのもの。


「これで騙せると?」

「いやー、相手の出方を見定めれることが出来れば、その後で斬り捨てられようとどうなろうと」

「んんーっ!?」


 トロイと計画発案者であるセイヤの会話。

 と、リリィーンの嘆き。


 ここからはこのオトリに対しての海賊達の反応しだい。

 場合によっては交渉なしの全面対決もあり得る。

 その時は戦闘能力の高い順から覚悟を決めてもらうしかない。


「リリィーンをオトリに。本当にこれでよいのか?」

「取り合えず相手の出方を見定める為だ。チィルール、お前はクローゼットに隠れていろ?」

「しかし――」

「オレ達を信じろ。な?」

「うぅむ」


 当のチィルール本人はイマイチ不服の様子。

 でも、しぶしぶながら部屋の隅にあるボロい上着掛けのロッカー内に身を潜めた。

 子供みたいに小さな身体のチィルールはそのロッカーに隠れることが出来た。

 さすがに海賊達もこの小さなロッカーの中に姫殿下が隠れているとは思わないだろう。


「これで準備は万端。後は相手の出方しだい。その時はルルーチィ――」

「任せろ。チィーちゃんは必ず私が守る」


 姫の護衛役である半獣のネコ耳少女は力強く肯いた。


「トロイも状況によってフォローお願い」

「ああ。亀の甲より歳の功だよ。修羅場は何度も経験済みさ。任せてくれ」


 百年以上を生き抜くハーフエルフの女性トロイの台詞。でもこの人ハッタリも多いので言うほど安心できないことはセイヤ自身も周知していた。

 でもいい意味でイレギュラーなアクションを起こしてくれる可能性もある。


(これでいい。万が一にもだけど、リリィーンの惨状をチィルールに直視させることも回避出来るし)


 セイヤにとってリリィーンは捨て駒。

 すべてはチィルールという一国の姫殿下、いや自分にとっての一人の少女の為。


「んー!!!???」


 その為に……

 あわれ駄民リリィーン。

 夜空のお星様になーれーえー?



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