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そして現在へ(追記)
決闘
まだでした。
「よく寝てる……フフ」
ククリールは寝床に着いた子供達の様子を一人ひとり確認した。
静かで落ち着いた寝息。
(こんな時間に起き出さないとは思うが、用心して夕食に少し寝むり薬を仕込んでおいた)
これからルルーチィとの決闘だ。
(確実にどちらかが死ぬ……でなければ終わりがない)
これは勝負とは違う。
生死の戦い。決闘そのものだ。
(この子らが目覚める前に何事もなく戻ってこなければならない)
それはなぜか?
その答えを今のククリールは見失っている。
逃げ出してもいいはずなのだ。
ルルーチィの及ばぬとこまで、何もかも捨てて。
それが出来ない理由に、いまだ気がついていない。
(真っ向からやり合っても私には勝ち目はない。だが、私が昔のままだとは思うなよ? ルルーチィ!)
奥の手がある。それが唯一の手札。
「ちょっと出掛けてくる。いい子にしてるんだぞ」
そう残して決闘場に向かったククリールであった。




