そして現在へ
(ルルーチィは私を必ず殺しに来るだろうな)
ククリールは確信している。
過去の経緯からしてそれは間違いない。
それに昨日、偶然出合った時の出来事を鑑みてもだ。
しかも今日も、日中に接触してやりあったのだ。
このアジトの場所はすでに知られていた。
逃げることは叶わない。
『猶予をやる。子供達と別れを済ませてこい』
そうルルーチィはそう言い残して去っていった。
『今夜、墓場で決着を』とも。
「サー姉ちゃん?」
「今日のサー姉ちゃんってヘンだよ?」
「うん。昨日のあのヤツからヘンだ」
「でも僕らで守るからヘーキだよ?」
ククリールが作った夕食のスープを食しながら、数人の子供達はククリールの様子に怪訝。
「はあ? お前らみたいなへなちょこに私が守られる訳ないだろうが」
「守るモン」
「ボクだって」
「大丈夫だし」
「あのなあ……」
「サー姉ちゃんって、どっか抜けてるしな」
その一言でその場は笑いに包まれた。
(なんだ、この感触……私は暗殺組織『礫岩の家』を再興するためにコイツらを拾ってきたんだぞ?)
「だって家族だから」
「うん」
(なんだソレは……)
「みんなで助け合わないとね」
「ウン」
「私はそんなコト、教えたことないが?」
『エー!?』
一斉に反論の声。驚愕のククリール。
「じゃなきゃ、なんで俺らを拾ったんだよ?」
「それは……下手なカッパライが危なっかしくて見ていられなかったからだ(なんで私は理由を話せないんだ?)」
「ふーん」
サーに言われた『組織再興は無理だ。お前はやさし過ぎる』の台詞が圧し掛かってくる。
「とっとと食って寝ろ。明日は船が出る。客が集まって忙しくなるぞ」
「はーい」
シマラナイ子供達の返事。
それが今の彼女の家。そして家族達。
そのことに気付いてないのは本人だけ。
(明日は来る。その為にルルーチィは必ず倒す。そして私は……なんだ? なにがしたかった?)
ククリールは自身を見失いつつあった。
そしてククリールとルルーチィの避けられぬ戦いが始まる




