異世界遊園地「天変地異」
うかつに乗ってしまったそのアトラクション……
ここは異世界の遊園地。アトラクションのひとつ「天変地異」と名づけられているソレ。
高さ十数メートルはあろうかという円形の鉄塔が天に向かってまっすぐに立っている。
その周回をドーナツ状の乗り物。その床下には強力そうなスプリングがある。
(なるほど。これはフリーフォールの逆バージョンのヤツね)
現実からやってきたセイヤにはその仕組みが分かっていた。
「どうなるのじゃコレは」
「危なくないねよ」
動作しているのを見ていないチィルールとリリィーンは不安げだ。
「きっと面白いと思うよ」
仕組みを知っているトロイは余裕の様子。
「さ、順番が来た。乗ろうぜ」
一度に十五人くらい乗れるようだ。セイヤ達がくるまでは定員割れでいまだ動作していなかった模様。
ドーナツ状の乗り物に一定感覚でバランスをとるように乗客が配置され、それぞれに命綱を締められる。
天井はないけど一応飛び出し防止のネットが張られていた。
「おーい、二人ともちゃんと手すりにしがみ付いてるんだぞ(座らず立ちっぱなしなのがウケる、おもしろそー)」
「セイヤ、いったいなにが起こるのだ?」
「まあまあ、お楽しみにな」
「皆様方、準備はよろしいでしょうか? ポケット内の小物など飛び出さないようご注意ください」
係員の発言。どうやらスタートするようだ。
「ではアトラクション『転変地異』発動までーっ3・2・1・発射!」
号令に合わせて乗り物のロックが外され、開放されたスプリングが乗り物を空中に弾け飛ばした。
『きゃあああ』と乗客の悲鳴。
魂を地面に置き忘れてきたかのような錯覚をするほどの加速。
『うおおおお』
やがてその勢いが重力の力とバランスを合わせたときに発生するひと時の無重力感。
『きゃあああ』
そして今度は逆方向に加速しながら落下していく。
地面のスプリングに受け止められ数回の小さなジャンプを繰り返し、やがて乗り物は停止した。
降車していく乗客達。大人も子供もみんな興奮した様子で楽しそう。
でも、である。
「……」
「……」
「……」
「ん? みんなは楽しくなかったのかい?(怖かったのかな?)」
沈んだ感じのセイヤ達を疑問に思ったトロイの発言。
「だって、コレ。なんか嵐で難破したときのことを思い出した……」
「なんだか悲しくなってきた」
「……」
「なるほど。それはマズかったね」
一般の人達からすればスリリングな非現実感を楽しめるアトラクションかもしれないが、それなりにハードな冒険を経験しているセイヤ達からすれば嫌なトラウマをほじくり返されただけにすぎなかった。
リリィーンなんて、まーた死んだ魚の目みたいに瞳孔開いたまん丸オメメになってるし……
次回は無論ジェットコースター




