眠り姫リリィーン
ロマンチズムです
「僕に何をしろと?」
「もう君しかいないんだ」
「ええ?」
リリィーンの病室に無理やりセイヤに連れて来られたギグくん。
「頼む。リリィーンを救えるのは君だけだ」
「なんで僕が――」
「え? いや、だって君達――」
恋人同士なんでしょ? という言葉は発することが出来なかった。
(そっか。ギグくんにしてみればリリィーンは一夜限りの、ただのアゾビ相手ってことなのか。まぁリリィーン程度じゃ仕方ないのか。でも、流石にかわいそうなモンだな)
十代の歳の割りに大人のセイヤ。ドロドロの痴情も達観している。
「けれど、それでもお願いだ。君にはどうでもいいコトかもしれないけど、リリィーンからしたら君は特別な存在なんだ。だから頼む。リリィーンを救ってやってくれ。その後はオレ達が責任を持ってアイツを旅へ連れ出すから。君にはこれ以上の迷惑を掛けないから」
「……。べつに彼女を助けることはいいんですが、なにをしろと?」
「それは部外者には分からない。君達二人の絆に関わることだから」
「絆ぁ!?」
「そうだよ?(なんか戸惑ってるな。リリィーンで童貞を捨てたといえ、昨日の今日で実感ないんかな。まだまだ子供なんだろうな)」
そんな感じだったので、説得には時間が掛かるかとも思ったセイヤだったが……
「分かりました」
「アア。助かるよ」
「でも、どうなるか分かりませんよ? それに――」
「んん?」
「それに、ちゃんと彼女を旅に連れていってくださいっ!」
「おわっ、ああ、確かに、ちゃんと約束するよ。任せて?(そんなに忌まわしく思うもんなの? だって初めての女でしょ?)」
驚いきはしたが、どうにか試してくれる模様。それはそれで、とりあえずOK。
その後、ギグくんの要求により、リリィーンの病室からの全員退室命令。
ニヤニヤしながら退室するセイヤ。
はにかむトロイ。
キョトンとしたチィルール。
そして、しばらく……
「あのー? ギグのヤツを見かけませんでしたか?」
とお父さんのギイさん登場。
その場の全員に「シーッ!」ってされる。
そして、またしばらく。病室の前で待つ一行。
「……」
息を潜め状況を伺う。
時が経ち。
五分後、くらい。
「終わりました」
とギグくんが病室から出てきた。
「えっ!? もお、なのかい?」
「ギグくーん。ちょっと早過ぎない? それじゃリリィーンがかわいそうだよ」
「ギグ、お前には失望した」
「さっきからナニが起っておるんだ?」
「あ、あなた達こそ! ナニを言ってるんですかー!!」
ギグくん、絶叫。
「え、いや、それは……」
「持ちが悪いなら指を使えばいいんだよ。あと舌も。それに言葉も有効なんだ。あとで教えるから」
「ギグお前のせいで、私までそんな目で――うぅおおぅおっおおーん」
「お前ら、後でいいから、誰か私にも分かるよう説明してくれ」
「そんなの知りません!! 取りあえず! 彼女は無事です!!」
顔真っ赤のギグくんが叫んだ。
次回、しょうげきの……




