表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/303

ギイ邸 潜入


 月が雲に隠れて闇が出来る。

 そのタイミングを計って、ルルーチィは屋敷を覆った壁に全速で急接近。

 三メートルはあろうかというその壁に激突する勢いで向かっていく。

 

「ト・トトン」


 と最小限の音しかたてずに、垂直の壁を蹴るようにして踏みあがり、そこを一気に駆け登る。

 ネコ族とのハーフであるルルーチィには容易いことだ。 

 そして壁のヘリに指先三本だけ立てて、身体宙ぶらりん状態。


「……(動きはない。誰にも気付かれていない。ヨシ)」


 用心して辺りの気配を探るがなんの動きもない。このまま進んでもよさそうだ。

 壁の上に視線を覗かせながら、ゆっくりと身体も持ち上げていく。

 近くに見張り台のヤグラなどもあるが人がいないのは確認済み。

 逆にそれらは自分の身を隠すにちょうどよかった。

 予定どおりに目当てをつけていたヤグラに飛び込んだ。


(正面突破を選んだけど間違いではなかったみたい)

 

 人がいてこその正面防護設備も人がいなければただのフリースペースである。

 あと屋敷警備の人間も裏口や側面は全然警戒していなかったのも確認済みだった。


(正面以外には信頼できるトラップというか近づいたら自分の身も危ないようなトラップでもあったんだろうなあ)


 そんな考えの正面突破だった。


 雲が晴れ月が姿を現す。

 元々夜目が利くルルーチィだが、やっぱり明るいほうが確認はしやすい。

 邸内の様子をヤグラから覗き見してみた。


「げ」と思わず声がでる失態。


 まわりに誰もいなくて助かったところ。

 そしてそんな失態をしてしまった理由。


(なんじゃココは。庭がいきなり戦地になってる)


 物々しい投石器やロングボウ、大砲などがずらりと並び、一定間隔で塹壕まで掘られている。

 

(ギイさん、この庭スペースだけでナニと戦争するつもりなんだろ?)


 それなのに正面門から屋敷玄関までは普通に石畳の通路になってるし。


(趣味かな)


 月が雲に隠れたタイミングを見計らって再び闇の中を駆けるルルーチィ。

 正面の通路を真っ直ぐに、玄関まで。


 そして今日は少し暑かったせいか、開け放たれていた窓を見つけ、そこから建物内に侵入しました。

 特殊な訓練を受けているルルーチィにとって、それはとても簡単なミッションでした。


 そしてルルーチィがいなくなった後、門の脇にある使用人用の小さな扉が、鍵の閉め忘れで風に吹かれて「キコー」とかいって開いてたし。


 ルルーチィ……バカみたい



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ