十五のババア
ネーたんのお家にお招きされたルルーチィだが
歓迎されていない様子
しかも衝撃の事実
「ま、座んな」
「失礼します」
ネーたんに促されて部屋中央にあるテーブルに付属しているベンチシートに――
そこいっぱいに乗せられていた子供の落書き帳をチビッコ達自身が抱かかえてしまい込み、どうにか座れるルルーチィ。
「粗茶ですが」
と言いながら利発そうな男の子が、水をナミナミに注いだコップを両手で抱え、緊張してフルフルと震えるせいでシトシトと水を溢れさせながら近づいてきた。
「そいつには茶なんていらねーよっ」
ネーたんの指示にビクッっとなったその子。キョロキョロと視線が泳ぎ、困惑の様子。
やがて出した結論。自分でその水一気に飲み干した。
「げっふ」
「ありがとね」とルルーチィ。
嫌味に捉えられかねないやり取りではあったが、満面の笑みを浮かべて、微笑ましいその男の子の頭をナデナデするのだ。スレていない純真な男の子は素直に喜んでいた。
「で、話だがよ。大体は想像つくだろ?」
「うん(これだけの子供の世話。困窮している)」
先ほど出された水だって、壁をエグッって剥き出しになった水道管の接続部分から滴っている水滴を下のタライに集めているものだ。彼らにとっては貴重に違いない。
「あたしはコイツらの為にやんなきゃなんね」
「ちなみにご両親は?」
「ママは死んだ。クソ親父はどこかで野たれ死んでるって感じだろ。こっちは顔すら覚えてねーし」
「そっか」
「もちっと気の利いたこと言えねーかね」
「知らないよ。こっちも捨て子で似たよーなモンだし」
「ほーん。ま、同情してやらなくもねー。だがそれで勝負相手の足を引っ張るってのはどーなんだ」
「そんなことしてない」
「したじゃねーか! だからあたしは怒ってんだろ!」
ネーたんのメイド喫茶でのポイント稼ぎ技『オネダリ』。それはお客様の食事をオネダリして分けてもらうというもの。ただし小食のネズミっ娘にはツライ技。吐いては食べを繰り返していた。
その様子を見かねたルルーチィが稼ぎ技を妨害をしたのではあるが……
「私はただ、ネーたんのことが心配で」
「は? なんで」
「そ、それは(そっか、この子も他人から愛されたことがないんだ)」
よくある話だ。
孤独だったルルーチィもチィルールがいなかったら絶対こうなったと思っている。
厳しい社会にはありふれた話なのだ。
「あー、お前。そういう人な。ゴメン、あたしノーマルだから。百合は他の相手とな?」
「はあああー? ちっげーよっ!」
「振られたからって逆切れすんなよ。まったくイマドキのヤツァよう」
「フザケンナー!」
しんみりした空気ぶち壊しである。
二人のやり取りを理解できないまわりのチビッコ達もきょとんとした表情で様子をうかがっている。
「ママ、この人なんで怒ってるの?」と一人の子が素朴な疑問を口にした。
「ああ、コイツは変態で、あたしにちょっかいかけようとしたんだ」
「あっ、アーっ!!?」
「なんだいきなり? デケー声だすなよっ。子供達がビビるだろ!?」
「マッマ?」
「誰がお前のママだ?」
「ネーたん、この子達のお母さん?」
「ああ、そだが?」
「あ、あわわ、今歳いくつ?」
「十五のババアに歳を言わせるなよ。はははは」
「ぎやあああああああああ!!!」
ルルーチィ、色々なモノがオーバーフロー状態。




