事情 トロイ
「まずはハーフビーからかな?」
「ん」
セイヤの疑問にトロイが説明してくれる。
「この世界には三つの種族が存在する。君らヒト族。そして妖精族とギイ氏のような獣人族。ただ、たまに異種間で子供が出来ることもある。それは愛ゆえにか、いや、それゆえにか……」
「はあ」
「まあ、愛にはそれぞれ形があり、ということなんだな。セイヤは理解できる?」
「……で?」
「あ、うん。つまりだ。この世界には混種が存在するわけだ。ヒト族と妖精族にはボクみたいなハーファ。そしてギイさんの獣人族とヒト族とが交わればハーフビーといった具合にね」
「うん。チィルールの友達のルルーチィというヤツはハーフビーで? それで、『キメラ』ってのは?」
「ああ、うん。それは――」
「獣人族と妖精族との間に出来た忌まわしい子のことです」
言いよどんでいたトロイを見かねてか、ギイさんが口ぞえをした。
「忌まわしい? なんで?」
「なぜならキメラには思考がありません」
「でも、それならそれで保護するなりすれば――」
「出来ないんだ!」絶叫のトロイ。
「な?」
「過去、このセンエン国でキメラの保護と育成が試みられたことがあった」
「キキトの姫の事ですね?」
ギイさんの言葉に反応はしたものの答えはせずに続ける。
「その幼子は国を挙げて保護、育成された。だが結果は無残なことに……」
「私も当時まだ子供でしたが、あの事件はショッキングでした」
「え? なにが……」
「どんなに愛情をそそいで育てても、ダメなんだ。アレは……」
トロイの様子が尋常でない。
幼馴染のロッカとやり合っている時には想像も出来ないほどのシリアス感。
完全に『キキト姫』の、いやその時のコトを知っている?
「トロイ?」
「あなた、まさか?」
「私はハーファだ。差別も受けてきた。だが、もし『キメラ』がみんなに受け入れなれるなら、私達のような者が受ける差別もなくなると考え、その計画にも参加したんだ」
「え? トロイ!?」
「あなた? まさか、本当に、あの二十年前の計画に?」
「ああ、結果はご存知のとおりだ」
「……」
「ダメだったと?」
沈黙が支配する。
答えは聞けない、と判断したセイヤだったが。
「燦々(さんさん)たるものだった」
「……」
おもい口を開くトロイ。
おそらくは過去にあった悲痛な想いの愚痴が始まる。
でも、それは自分達を信頼してくれているからだ。
その想いに答えるため、耳をかたむけるセイヤ。そしてギイ氏。
続き、考えてないです。
コレって過去話っぽい、ですね、続き。
一週間以内になんとか?
ポコルのほうもなあ。




