最悪の戦い 場面移る。
「レデーットが? やられた……」
「な……」
「……」
尾根の頂上からレデーットと赤い鎧騎士の対決を見ていたトロイ、ロッカとナナハ。
「なんだアイツは? ケタ外れじゃないか。あんな魔力がこの世に実在していいのか?」
トロイの感想だが、呆然として反応できない他の二人。
事実、最強だと思っていたレデーットが圧倒的敗北してしまい、動揺を隠せないでいる。
「クソ、アイツ自身が魔王以上の脅威なんじゃないか?」
特撮CGでも見せられた気持ちの三人。
天変地異の風景を見た貴重な証人になってしまった。
「レデーット!?」
「主様ーっ!」
レデーットの煉獄は消えた。遠慮なく戦場に侵入する、ロッカとナナハ。
魔力を使って大ジャンプ。
レデーットみたいに空を飛ぶことは出来なくても空中をジャンプくらいは二人とも容易にできる。
魔力の残量さえ気にしなければ、山の一つや二つの距離など容易い。
「ヌぎぃ! ガアア!?」
ジャンプ中、赤い鎧騎士とすれ違い、本性が出かけたロッカの様子。カワイらしいはずの顔が獣の様に醜く変形した。
「ロッカ様! 今は主様を!」
ナナハの言葉で本性を収めレデーットの救出に向かうロッカ。
両者、すれ違う。
赤い鎧騎士は本来の目標に向かって、弾き飛ばされた道程をさかのぼる。
ナナハのおかげでなんとか、再びの大激突は避けられた。
今はとりあえずソレでよしとするほかない。
世界を賭ける勝負は今でもなく、ここでもないはずだったからだ。
「あの化け物を相手するのか? 勝機なんてあるわけない!」
トロイは呆然としながらチィルールやタロー達を狙って飛んでいくその者の様子を見送った。
(無理だ。例え彼らが救世の勇者だったとしても、あんなケタ外れの暴力に対抗なんて、できるわけないじゃないか!)
背中を丸めながら一人、山をトボトボと下るトロイ。
(でも、見捨てるわけにはいかない)
うつむいた顔を空に向け、魔力を使って宙にジャンプした。
トロイが選んだのはレデーットの救出ではなく、タロー達への加勢だった。




