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戦争の狂気  作者: 流太郎
1/2

前編

1945年8月15日戦争は終結した…。


何千万もの犠牲者を出したこの戦争は

世界中の人々の胸に

決して消える事の無い深い傷を残した…。


故郷に愛する人を残し必ず帰ってくると誓い戦場に向かった人々は遠い地で国や愛する者を守るため必死で戦い死んでいった…。


そして戦争における

真の恐怖は

人間の心の奥底にある狂気を呼び起こす魔力だ。


人間の狂気の前では

人間の尊厳など皆無に等しい。


ドイツ軍や日本軍が

行った残虐な行為が

全てを物語っている。


そして終戦を迎えて

一年後の1946年12月…

ソビエト連邦にある

とある空港に飛行機が着陸した。


一人の男が飛行機から降り立った。


雪が津々と降り積もり凍えるような寒さの中男はひたすら夜の町を歩き続けた。


男はある一軒の家の前で立ち止まった。


暫くしてゆっくりと

ドアに近づいた。


そしてノックをした。

『…どなたですか?』

中から女の声がした。

『デルコフ・シャイヤーさんはいらっしゃいますか?』


『私がそうですが…』

『この手紙を貴方に渡してくれと戦友に頼まれまして…』


シャイヤーは

その手紙を受け取り

読み始めると

突然ドアを閉めた


そして中からすすり泣くような声が聞こえてきた


暫くして

ドアが再び開いた


『ごめんなさい…

わざわざありがとう

ございます』


『いえ…

僕もこれで思い残す事はありません…

ではお元気で』


男は家を後にした。


シャイヤーは一人ベットの上で手紙を読んでいた。


愛するシャイヤーへ

今僕は

遠い異国の地にいる。明日の朝に大規模な

戦闘が始まる

君に会いたい。

死ぬ前に一度だけでも君に会いたかった。

君と話したかった。

君を抱き締めたかった僕は君を何時も見守っているから

愛してるシャイヤー


永遠の愛を込めて

カエザフ・ルコニフ

より



男はホテルに

チェックインすると

すぐに眠りに落ちた



薄暗い部屋の中に

大勢の人達がいる

すると

部屋のドアが開き

白衣の男が入ってきて小さな男の子を連れていった。


その以降

その男の子を見掛ける事は無くなった。


寒い…

既に足の感覚は

無くなっている…。


このまま

死ぬんだろうか…。


もういっその事

殺してくれた方が楽だ無限に続く地獄からは決して抜け出す事は

出来ない…。




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