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一次創作物

午前三時

作者: 蒼山詩乃

 午前三時。

 思わず目が覚めてベッドから抜け出し、ぼんやりと涙が眼に溜まっているような視界の中で、勉強机の上に置いてあるデジタル時計を取り、時間を確認する。

 なんでこんな時間に起きてしまったのだろう。

 ぐるりと部屋を見渡し、夜がもたらす光と影の存在比率が非常に極端であることを確認して、スタンドライトの電源を付けた。光の量では、部屋の隅々までを照らすことは出来ないけど、必要最低限な視界を得ることができる。

 椅子に座り、背もたれに体重をかけて天井を見上げてみる。特に何の変哲もないただの白い天井だけだ。

 ふう、とため息をついてみる。

 頭を空っぽにしてぼんやりと周りの風景を再確認する。いつもの壁紙に、いつもの机にいつものスタンドライト。大量の本を敷き詰めた本棚三つにシングルベッドが一つ。閉ざされたクローゼット。

 それでも空間のほとんどを暗闇が支配するこの部屋では、まるで自分がワンダーランドに迷い込んでしまったような、現実と想像の境界線があやふやでかつその上に立っているような。

 机の上に置いてある本を取って、ペラペラとめくってみる。

 私の好きで今読み返している本だ。『箱庭図書館』

 ちゃんと文字は読めるし、私の知っている内容だ。ここはちゃんと現実で、私はこの現実の中で呼吸をしている。

 それに少し安堵して、少し残念だと思う。そっかあ、ここは現実なんだ。夢の中じゃなくて現実なのか。夢の中ならいろんなことが起きて、いろんなことを学んでゆくようなことが起きるかもしれないのに。現実ではそれらが全て枯れ切った大地の上で這うように、地味に見えてしまう。

 寒い、と思ったのは少し意識がはっきりしてきた頃だ。

 冬独特のチクチクと短い針で刺されるような寒さで、私の副交感神経は沈静化し交感神経は活発化してしまったのか、寝る前に襲ってきた睡魔が一向にやってこなかった。

 それならしょうがないと部屋から出て暗闇に閉ざされてしまった廊下を渡り、キッチンに入って温かいココアを作った。牛乳が好みだけど切らしてしまっているので、お湯で我慢するけど、美味しくない。薄っぺらい。

 今度はリビングに入り明かりをつける。さっきまでの淡い明かりに比べ眩しくて、瞬きを何回も高速でして慣れる。十五年以上使っているソファーに腰掛け、フーフーとココアを少し冷ましながら口の中へ入れた。

 口から食道へ、食道から胃の方に温かいものが流れているのがわかる。これぞまさに生きている、という感覚を内側から湧き出てきた。

 誰もが休息を取っている時間、リビングはこの静寂を守り、誰もが破ってはならぬと忠告し、私はそれに従って息を潜め、目を閉じてみる。

 普段は何かしらの音に満ちている空間が、今では何の音もなく、まるで私は家の隅に住むねずみになったような気分を味わう。

 まるで自分が自分では無いような感覚を味わったのはいつぶりだろう。

 日常生活は忙しいことばかりだし、義務感に溢れている以上単純作業を繰り返しているように過ぎない。

 なんでこんな時間に起きてしまったのだろう。

 さっき問いかけた自問をもう一度問いかけてみる。

 これは神様からのプレゼントかもしれない。頑張っている(はず)私にこのような機会をくれたに違いない。

 なんてことを考えてアホらしいと思い直す。そんなことがそうそう起きてしまったなら、つまらないし、有り難みも少なくなってしまう。

 でも起きてしまったことなので楽しもうと、ココアを飲み干し、ソファーに寄りかかって目を閉じ、さっきの感覚を蘇らせ、味わい尽くしたところで、私の意識は再び暗闇の中へ沈んでいった。

リハビリに書いてみました。色々と酷いけど、現状これぐらいしか書けんので、ひどいところを列挙して頂ければ嬉しいです。

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