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月の光を纏う者  作者: 猫崎 歩
第五部
52/79

第51話 仮面の下の笑顔

 ノキアはゆっくりと目を開ける。

 最初に見えたのは随分と低い天井、そしてすぐ隣に居た赤い髪の少女だった。朦朧とした意識のまま自分の周りを見回すと、その少女と目が合った。すると少女の瞳と口はゆっくりと大きく開いてゆき、

「え、エアニース!!

 起きた!!

 この子起きたよーーーーっ!!」

 赤毛の少女の大声に驚き、ノキアの意識はようやく覚醒した。


「どうだ。気分は?」

 ノキアの前に座りそう言ったのは、自分の髪の色と良く似た、長髪の・・・男だった。髪の長さといい顔立ちと言い、一見して女性である。しかし声だけはやや低く、はっきりとした男のものだった。

 ノキアは止まった車の後部座席に座り、開いたドアから長髪の男に話しかけられていた。車は山の中の開けた場所に止められており、芝の上にはビニールシートが敷かれ食事の用意がされていた。まるでハイキングに来ている一団のようだが、男の腰には剣が吊るされ、その周りに居る男女も旅装束を身に纏っている。

 自分の置かれた状況が分からない。

 ノキアは何があったのか思い出そうとする。散らばった記憶の断片は比較的早く形を取り戻し、目の前の4人と出会っていた事を思い出す。

「あななたち、あの村の近くで水浴びしてた・・・

 そうよ、わたし、あの村で眠り薬盛られて、捕まって、見張りの隙を付いて逃げ出した時に・・・!!」

 自分の身に起こった事を思い出し、ノキアの声のトーンが上がってゆく。

「落ち着け。アンタを捕まえてた連中は、もういない」

「ここは、ここは何処ですか!?」

 詰め寄るノキアに、男は親指で自分の後を指す。

 ノキア達の居る広場は山の中腹ほどの高さにあり、そこから眼下に広がる平野部が一望出来た。そして、目の前には彼女の住むエルバークの街並みが広がっていた。

 意図せず自分の街に帰って来れた事で、ようやく安堵の表情を浮かべるノキア。

「丁度良かったです。

 これから僕達、お昼を食べる所なのですが、ご一緒にどうですか?

 お腹空いているでしょう?」

 芝に敷かれたシートに座る、眼鏡をかけた黒髪の男が笑顔で言った。

 とても柔らかい、人を安心させる笑顔だと思った。



 エアニスはカップに口を当ててから話し始めた。

「自己紹介がまだか。

 俺はエアニス。そこのメガネがトキで、そこの赤いのがチャイム、黄色いのがレイチェルだ」

『メガネです。宜しくお願いしますね』

 一体どうやっているのか、トキは手を使わずメガネをピコピコ上下に動かし、唇を一切動かさずにそんな言葉を発した。

「あんた凄いわねそれ・・・

 チャイム=ブラスハートよ。宜しく」

「レイチェル=エルナースです。よろしく」

 トキの謎の一発芸についてもっと言及したい所だったが、いきなり会話の腰を折る事に繋がりかねないので断腸の思いでスルーしたチャイムとレイチェル。

「私は、ノキアと言います。エルバークの街の商人です」

「なんだ、エルバークの人間だったのか。・・・何屋さん?」

「魔法医へ卸す、薬草などを扱っている店です。

 薬草を取りに森に入った所で、あの村に迷い込んでしまって・・・」

「ふぅん。

 歳は? 働いてる割には結構若いみたいだけど」

 ノキアの言葉が重くなってきた途端、エアニスは話題の矛先を変えてしまった。それに気付いたチャイムは、普段は無神経なのにこのような時には気を回す彼を少しだけ見直した。

 しかし、それはエアニスがノキアをナンパしているようにも見えて、チャイムは何故か面白くなかった。


( ん・・・何であたしが腹立ててんのよ・・・ )

 ふと浮んだ疑問について、チャイムは空を見上げて考える。

( ・・・・・・・無い無い無い。それは無い )

 どんな結論に行き着いたのか、誰にともなくぱたぱたと手と首を横に振り、食べかけのパンに勢い良くかじり付いた。

 エアニスは一人でジェスチャーゲームをするチャイムへ心配するような視線を送る。


「あ、えっと、歳でしたね。16・・・歳です」

「あ、私と同い年ですね!」

 レイチェルが嬉しそうに身を乗り出す。彼女の村には自分と同じ年齢の女の子が居なかったため、同年齢と言うだけで何となく嬉しくなってしまうのだった。

「俺達もエルバークへ向う途中だ。このまま山を降りて、川を越えて・・・夕方には街に入れるだろう」

「その・・・皆さんは、あの村で捕まっていた私を助けてくれたのですよね・・・?

 実は記憶が曖昧で、状況が飲み込めなくて・・・。

 できれば食事より先に、何がどうなったのか、聞かせて貰えませんか?」

 ノキアが身を乗り出してエアニスに言った。チャイムとレイチェルは顔をしかめ、エアニスも髪を掻きながら唸る。

「あー・・・そうだよな。どう話しせばいいか・・・」

「あ、あ。お肉焼けましたよ。はい、冷めないうちにどーぞ」

「あ、ありがとうございます・・・」

 言葉を濁している間に、トキが話しの腰を折ってしまった。

 無視する訳にもいかず、ノキアは遠慮がちにトキから渡された皿を受け取ろうとした。


 ノキアの視界が、突然ぐにゃり、と歪んだ。同時に平衡感覚を失い、足を地につけていながらも、まるで空中に放り出されたかのような感覚に襲われる。強烈な寒気にも襲われ、両手が誰かに揺さぶられているかのように震え出す。

 ノキアの手は宙を掴み、トキに手渡された皿を取り落としてしまう。

「・・・あ、あれ・・・?」

 ノキアは震える右手を、慌てて左手で掴んだ。

 手の震えは、すぐに全身に伝わり、ノキアは自分の肩を両手で掴み、うずくまった。

 今まで感じた事の無い体の異常だった。例えるならば、その苦しみは"渇き"に似た感覚。

「ち、ちょっと・・・!!」

 チャイムが腰を浮かすが、どうすれば良いのか分からず、戸惑う事しか出来ない。それはレイチェルも、エアニスも一緒だった。

 唯一、トキだけがそれを予想していたかのように、料理の片隅に用意していた紅茶をノキアに差し出した。

「このお茶を飲んでください。

 これで、震えは収まる筈ですから」

 トキがうずくまるノキアにカップに入った紅茶を差し出した。ノキアは震えの収まらない手をカップに伸ばす。トキに手を添えてもらいながら、彼女は言われるがまま、紅茶を飲み干した。

 紅茶を飲み終えると、体の震えは嘘のように収まった。未だ乱れた呼吸のまま、ノキアは自分の体を見回す。

 朦朧とした眼差しで、ノキアがトキの顔を見上げた。

 場の雰囲気など関係無く、基本は笑顔であるトキが、珍しく表情を曇らせている。

 暫くして、トキが口を開いた。

「ノキアさんが意識を失っている間、奴らに何をされたのか・・・説明しましょう。

 少々・・・重い話になりますが・・・」



エルバークの街に入り、エアニスの運転する車は、街の大通りを荷馬車と並んで走っていた。

「おい。 おーい・・・・ノキア、聞いてるか?」

「・・・・

 え。あ、はい! すみません!!」

 エアニスの3度目の呼びかけで、ノキアは飛び上がりながら返事をした。

「次の角を右でいいんだよな」

「あ・・・はい。

 曲がってすぐに、白い壁と赤い屋根の家があります。そこがわたしの店です」

「おっけー・・・」

 エアニスは馬車と荷台と人間でごった返す大通りを、ゆっくりと走る。

 ゴン、と荷台が車にぶつかった。荷台を引いていた男へ、エアニスが中指を立てながら怒鳴った。が、男はそ知らぬ顔で雑踏の中へ消えてゆく。

「くそったれめ・・・街の外に車を置いて来るべきだったな・・・」

「いいじゃない。どうせキズとヘコミだらけの車じゃん」

「旅路の途中で付いた傷はいいんだよ。飛び石とか、森に分け入った時の傷とか。

 でも、街灯や馬車にぶつかって傷つくのはむかつくだろうが」

 チャイムの視線が、斜め上をゆらゆらと泳いだ。

「・・・ごめん。エアニスの感覚、ちょっと分かんないや」

 二人のそんなやりとりを見て、トキとレイチェルは苦笑いを浮かべている。トキがふとノキアの方へ視線を向けると、彼女は再び表情を無くし、自分の足元を見つめ続けていた。


 ノキアは自分の体が麻薬に犯されている事を知らされた。1日に1度、"マゴリア"の紅茶を飲まなくては禁断症状が発生する事。そして、"マゴリア"の葉は所有する事自体が違法であり、入手も困難な事。そして、この体を放置すれば、次第に禁断症状のサイクルは短くなり、いずれは精神と体を病み、命を失う事。

 トキからその話を聞かされた時は、目の前が真っ暗になり、叫び出したい衝動に駆られた。それでもノキアが正気を保っていられたのは、最後にトキが言った言葉に支えられたからだ。

 大丈夫です、僕がなんとかしてみせますから。

 根拠のある台詞かどうかは分からない。しかし、そんな言葉でも信じていなければ、ノキアの心はバラバラに砕けてしまいそうだった。

「ここだな?」

 白い壁と赤い屋根のこじんまりとした店の前で、エアニスは車を止めた。


「ノキア!!」

 彼女が店の扉を開くと、カウンターに座っていた男が立ち上がり、ノキアに駆け寄った。ノキアと同じ髪の色で、顔立ちがノキアに非常に良く似ていた。エアニス達は、ひと目見ただけで二人は兄妹だと分かった。

「兄さん・・・ただいま」

「ただいま、じゃないよ!! 2日も戻ってこないから、街中を探してたんだぞ!!」

 怒った口調で言われ、ノキアはビクリと肩を震わせる。その肩を、ノキアの兄は両手で抱きしめた。

「でも、無事で本当に良かった・・・・」

 そう言って、安堵の息を吐いた。

「ごめんなさい・・・」

 ノキアは兄に抱きしめられたまま、震える声でそう謝った。

 途端に、今まで押さえ込んでいた感情が、せきを切ったかのように溢れ出す。彼女はぼろぼろと流れ出した涙を隠すように、兄の肩に顔を押し付けた。

「ど・・どうした、ノキア・・・?

 それに、この人たちは?」

 ノキアの兄は戸惑い顔で、店の戸口に立つエアニス達を見た。エアニス達は泣き崩れるノキアを見て、言葉を失っていた。



 日は完全に沈み、賑わっていた大通りも今では人通りがまばらになっている。3階の窓からは、夜遅くまで開いている酒場の灯りが点々と見えていた。夜でも街明かりが多いという事は、魔族やルゴワールの刺客から追われる身のエアニス達にとって安心出来る事だった。

 ノキアの店からさほど離れていない宿にエアニス達はいた。いつも通り2つ続きの部屋を取って、今はチャイムとレイチェルの部屋にエアニスが居た。

 3人は何をするでもなく、本を読んだり、窓から街明かりを眺めたりしている。会話は殆ど無い。

 そこに、外出していたトキが戻ってきた。

「遅くなりました。何か変わった事はありませんでしたか?」

「なにも」

 部屋に置かれていた雑誌を流し読みしながら、エアニスが言う。

「で、そっちはどうだった?」

 トキは肩に掛けた重そうな鞄を下ろす。中から、分厚い本が何冊も出てきた。

「この街で一番大きな病院のトップとお話をしてきました。

 彼らも、僕がミルフィストの大学で研究していた知識に関心を持ってくれたようです。

 ・・・まぁ、若干乱暴なやり方をしましたが、大学病院の協力をとりつける事も出来ましたよ」

 トキの簡単な説明に、エアニスが苦笑する。

「色々とすっ飛ばし過ぎだろう・・・たった数時間の交渉にしては上出来だな。

 ・・・どんな手を使ったのかは聞かないけどよ」

「そうして貰えると助かります」

 そのやり取りに、チャイムとレイチェルは顔を見合わせゲッソリした。

 トキは無茶な要求を通す為、脅迫まがいの交渉でもしてきたのだろう。

 ルゴワールの刺客や魔族に襲われる事よりも、役人や憲兵隊に踏み込まれた時の心配をした方が良さそうだ。チャイムはトキの悪事と自分が無関係だと言う事を、どう説明するべきかを考え始めた。


「5日」

 トキが右手の指を全て立てて、そう言った。

「ノキアさんの事は、5日で僕が何とかします。

 ですから・・・レイチェルさん達は、先にバイアルスへ向って下さい」

 トキの提案にエアニスは、キョトンと目を点にする。

「え、お前を置いて3人で先に行けって言ってるのか?」

「えぇ。これは、僕の個人的な用事です。レイチェルさんの旅の足止めをする訳にはいきません。

 それに前にも言いましたが、雪が降り出す前に到着しないと山越えが困難になります」

「俺、バイアルスまでの道分からないぞ?」

「・・・それくらい自分で地図読んで行ってくださいよ」

「俺の方向オンチは知ってるだろ!!」

 エアニスは開き直るように叫んだ。堂々と、立ち上がって。トキが頭を抱える。

「あぁ・・・そうでしたね・・・」

 そう溜息交じりに呟き、椅子に沈み込んだ。そのやり取りを見てチャイムは、

「エアニス・・・方向オンチなんだ。そんなんでよく旅人やってたわね」

「いや、歩きや屋根の無いジープ、バイクとかだったら大丈夫なんだ。

 でも、外の空気と隔絶される車とかになると、途端に方向感覚がバカになるんだよな。

 分かるだろ?」

 エアニスの持論を聞き、チャイムは暫し考え込んだ後、

「・・・やっぱりアンタの感覚ちっょと分かんない」

 眉間を押さえながら、エアニスの言葉を理解するのを諦めた。


「あー・・じゃあ、こうしましょう。

 車の屋根をぶった斬ってオープンカーにして行ってください」

「バイアルスは雪国だぞ。凍死するだろうが」

「それじゃぁ・・・」

「あ、あの・・・」

 論点がズレ始めたエアニスとトキの相談に、レイチェルが割り込んだ。

「私達だけで先に行くのは、嫌です。

 私も、ノキアさんの事が心配ですから、何か助けになりたいです」

「・・・」

 沈黙するエアニス。

 いつも思うのだが、レイチェルの言葉は何故いつも、こう真っ直ぐなのであろう。エアニスもチャイムもレイチェルと同じ事を思っているのに、二人は彼女と違いひねくれてしまっているので、その言葉がなかなか出てこないのである。

「まぁ、そうだな。乗りかかった船だ。最後まで付き合わせろ」

 それを自覚しながらも、やはり素直に言えないエアニスであった。

「・・・ですが、このような大きな街に5日も滞在するのは危険です。ルゴワールの情報網は、大きな街ほど綿密に張り巡らされています。もし僕達がこの街にいる事が見つかれば、翌日には刺客が大挙して押し寄せてきますよ」

「目立つマネはしないさ。例え襲われる様な事があっても、俺達は負けない。

 俺は言うまでも無いし、レイチェルも強い。コイツの腕も、なかなかのものになってきたしな」

 そう言うと、エアニスは後ろに居るチャイムの頭をむんず、と掴んだ。

 頭を捕まれた事に対する抗議も忘れ、チャイムは言葉を失った。

 エアニスとの剣の稽古は、今でも毎晩続けている。その稽古の中でも、エアニスの口から自分の腕について褒め言葉を聞いた事が無かったのだ。不意にエアニスの口から出た、自分の腕を認めてもらえた言葉。思わず嬉しくなり、チャイムの表情がふにゃりと崩れる。

 頭をぐりぐりと掴んでいるのに、チャイムから抗議の声が上がらない事を不思議に思い後を振り向くと、チャイムがエアニスに頭を捕まれたまま、やたらと嬉しそうな顔でニヨニヨしていた。ビクリと身を引くエアニス。

「どっ・・・どうしたその顔・・・気持ち悪いぞ・・・」

 エアニスに心配そうな声で聞かれ、チャイムはようやく自分の顔がニヤケている事に気付く。

「な、なんでもないっ!」

 ばんっ、と、手近にあったトレイでエアニスの頭を叩いた。


 エアニスとチャイムの漫才を聞き流し、トキは黙って考えていた。

 考えて、非常に自分らしくない回答に行き着いた事を、心の中で自嘲気味に笑った。

「わかりました。

 それでは、皆さんにも協力をお願いする事があるかもしれません。

 その時は、宜しくお願いします」

 諦めの色が混じった笑みを浮かべ、トキがそう言った。

 チャイムとレイチェルが満足そうに笑った。エアニスも微苦笑を浮かべている。


 この判断は、どう考えてもトキにとっては誤りである。

 トキの話したルゴワールの情報網は、嘘偽りも誇張表現も無い。このまま5日も街に滞在していれば、刺客に襲われる可能性の方が高いとトキは考えていた。

 その気になれば、レイチェル達を説得する事も可能であった。

 ただ一言。

 ここにレイチェルさんが居る事で、ノキアさんやこの街を、ルゴワールとの戦いに巻き込む事になります。

 そう言えば、少なくともレイチェルとチャイムは引き下がり、先行して旅を続けてくれただろう。

 それを言わなかった、いや、言えなかったのは、そう言われた時の時のレイチェルの顔を見たくなかったからか。あるいは、本心では一人で残るのが嫌だったのか。考えてみたが、面倒だったのですぐに止めた。自己分析を放棄するという事もまた、トキにとっては自分らしく無い事であった。

 本当に、彼女達と出会ってからは調子が狂いっ放しですね。

 トキは心の中でぼやいた。


「それでは、早速お手伝いをお願いしましょうか」

「え?」

「こ、これから?」

 時刻は深夜に近い。

「これから僕は大学病院へ戻り、実験の準備をしなければなりません。

 できれば明日の朝から作業を始められるようにしたいと思っています。

 機材の運び込みをお願いしたいのですが」

 自分達の言い出した事とは言え、急な展開でチャイムは少し戸惑う。エアニスが椅子から重そうに腰を上げた。

「さて、と・・・じゃあ、やるか」

「はい!」

 レイチェルも元気良く立ち上がる。

「お、おーっ!」

 やや遅れて、チャイムが腕を振り上げながら言った。

 そんな3人を見たトキは、片手で顔を隠しながら、笑った。


 おや? と、エアニスが首を傾げる。

 トキの笑顔はうんざりする程に見慣れているが、彼が自分の顔を隠すようにして笑う所を見た記憶が無かった。

 ひょっとしたら、これはいつもの作り笑いではなく、本当のトキの笑顔なのかもしれないな。

 エアニスはそんな事を考えていた。

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