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月の光を纏う者  作者: 猫崎 歩
第三部
32/79

第31話 月夜の舞

紫色の結界と共に出現した少女。最悪の敵との遭遇にエアニス達は動揺する。

「こんな時に・・・っ!」

 エアニスは焼け焦げた部屋に飛び込み、自分の剣とローブを拾い上げる。同時にトキの銃とコートも掴み、トキに投げつけてやる。アイビスを囲み、4人は武器を構えた。

「そんなに警戒しなくてもいいわよ。今日はあんた達を相手にする気は無いから」

 アイビスは手を首の後ろで組み、つまらなさそうに呟く。奇襲をかけるには絶好の機会だったにも関わらず、エアニス達の前に立つアイビスは、全く戦う意思がなさそうだ。エアニスは剣を抜き放ちアイビスに聞く。

「彼氏はどうした。愛想でもつかされたのか?」

 アイビスは "こいつ何言ってるの?" といった表情を浮かべた後、すぐにあぁと呟いた。

「イビスは来ないわ。今日はあたし一人のお仕事。

 ルゴワールにも、あんた達には暫く手を出すなって言われてるのよね」

 予想外の言葉を聞き、眉を寄せるエアニス。チャイム達も同じ顔をしていた。

「でも。あたしはあなた達を放っておけなくてねー。

 色々と調べさせてもらったわよ。あなた達の事」

 アイビスはトキに目視線を送る。

「トラキア = スティンブルグ。旧マスカレイド部隊の、通称"U-66"。一年半前の任務中に行方不明って記録にあったけど、まだ生きてたのね」

 「・・・!」

 アイビスの言葉にトキは思わず立ち上がる。しかし、すぐに結界が及ぼす虚脱感によって膝を折った。忌々しげな目で、アイビスを見上げる。

「・・・あまりそういう話はしないで貰えますか?」

 言葉遣いこそは普段どおりだが、トキからは並々ならぬ怒気、もとい憎悪を感じた。思わず息を呑むチャイムとレイチェル。トキがこうもあからさまに敵意を向ける所を、二人は初めて目にした。

 アイビスはトキに冷たい視線を送った後、同じ視線をエアニスにも向ける。

「そして、エアニス = ブルーゲイル・・・

 ううん、本名で呼んだ方がいいかしら?」

「っ・・・な!」

 エアニスが慌てて何かを言いかけた。しかしアイビスはそれに構う事無く、一文字一文字噛んで含むようにして、その名を口にする。

「ザード = ウオルサム」


 それが何を意味するのか、チャイムとレイチェルには分からなかった。

 ただ、聞き覚えのある名前だという思いが、心に引っ掛かった。アイビスを警戒しつつ頭の隅でそのような事を考えていると、

「黙れ!!」

 彼女達が戸惑いを感じていた一瞬の間。エアニスはアイビスに踊りかかり、左手の紅い剣を叩きつけた。エアニスの剣はアイビスの手の平によって受け止められたが、その勢いまでは殺しきれず彼女の体を撥ね飛ばし背後の窓ガラスに叩きつけた。

「あら。やっぱ、お仲間には秘密にしてたのね?

 有名人なんだから自慢すればいいのに。それとも恥ずかしいのかしら?」

 自分の秘密をばらされた上、小馬鹿にしたような口を叩かれ、エアニスの頭に一気に血が昇った。すぅ、と、エアニスから表情が消え、エアニスは空いている右手でアイビスの喉を掴み、そのまま握り潰した。"ごりっ"と鈍い音が耳に届き、チャイムとレイチェルは息を呑んだ。

「黙れと言っている」

 アイビスの首を絞めたまま、エアニスはアイビスの鼻先に額を突きつけるようにして睨み付ける。魔族とはいえ、人間の少女の姿をした相手に対し、エアニスは全く躊躇が無かった。

 人間ならば既に死んでいるところだが、魔族であるアイビスはエアニスに喉を潰されながらも、変わらず言葉を発する。

「まだまだ色々と調べたのよ。あなたのせいで死んだ、あなたの彼女の事もね」

 ざわっ

 エアニスの全身が総毛立つ。

 剣を翻したエアニスはアイビスの胸元目掛けて突きを繰り出す。切っ先が彼女の体に食い込んだ途端、アイビスの体は爆風にも似た衝撃波に襲われ、砂埃と赤い光を撒き散らしながら窓枠ごと建物の外へと吹き飛ばされた。

 窓の外へ落ちたアイビスを追うように、エアニスも窓から飛び出して行った。


「今の・・・何ですか!?

 狼狽するレイチェル。レイチェルの目では今の攻防で何があったのか理解が及ばなかったが、彼女にはエアニスが魔導を使った様に見えた。

「それより、ちょっと待って・・・!

 あのアイビスって魔族が言った、ザード = ウオルサムって名前・・・何処かで・・・」

 固まったままエアニスが飛び出した窓を見つめていた二人は、せきを切ったように喋りだした。短い間に様々な事が起こり、混乱する二人。

「それよりも、まずはエアニスを追いましょう。

 エアニス、完全にキレてましたからね。無茶をする前に止めなくては・・・

 他の事を考えるのは後回しです。」

 そう言って、そう誤魔化して、トキは階段へ向けて駆け出した。チャイムもすっきりしない気分のままトキとレイチェルの背中を追った。



 ガイン!

 エアニスが振り下ろした剣は、アイビスの手の中に突然現れたスティッキによって受け止められた。

「どうしても、伝説になった人間の戦いを見たくてね。ちょっと趣向を凝らした仕掛けをさせて貰ったわ」

 アイビスはエアニスの剣を受け止めたまま涼しい声で話す。大して力を入れているようには見えないが、彼女のスティッキは微動だにしない。無論、彼女の存在と同じ様に、このスティッキもただのスティッキでは無いのだろう。

「本当は結界内の人間全員を "生ける屍" に変えて襲わせようと思ったんだけど・・・・」

 エアニスの脳裏に、致命傷を負いながらも立ち上がるルゴワールの刺客達とバルザックの姿が蘇る。

 しかし、アイビスの言葉にエアニスの表情は動かなかった。彼の神経を逆なでるつもりで言った言葉だったので、反応を示さない事にアイビスは不機嫌になる。

「ふん・・・人間相手じゃ、アンタも迷いが出て、本気で戦ってくれないでしょ?」

 エアニスの剣を弾き返し、アイビスは宙に浮いた。

「だから、こうしてみたわ」

 パチン、とアイビスが指を鳴らすと、

 エアニスの足元が、蠢いた。


 ズドドドォオオッ!!

 地面の土が猛烈に吹き上がった。エアニスは両腕で目元を覆い、土煙が立ち込める周りを見回す。

 周りには無数の土の柱が立っていた。高さは人の身の丈程。数は、数え切れないほど、沢山。

 アイビスの意図が読めず、エアニスは周りの様子を何度も見回した。

 ぼこっ

 目の前の土柱が割れた。崩れたのかと思ったが、すぐに土の柱は別の物に姿を変える。土で出来た人形。ゴーレムだった。

 エアニスは反射的に自分の周りにある3、4本の土柱、もといゴーレムを斬り飛ばした。ゴーレムの体は脆く、簡単に刃が土の体を突き抜けた。その手応えは人間を斬った時のそれに似ていた。両断されたゴーレムはバラバラに砕け、そのまま土塊に戻る。

 ぼごっ、ぼこん

 次々と土の柱は人の形へと変ってゆき、鈍い足取りでエアニスに歩み寄る。

「300体くらい作ってみたわ。力も体の強度も人間と変らないくらいかしら」

 宙に浮いて、ゴーレムに囲まれるエアニスを見下ろしながらアイビスは面白そうに話す。

「あんた、戦争中はたった一人で何百人って数の人間を斬り殺したそうじゃない。そんな化け物の戦い方ってのを私にも見せてよ」

 周囲にはゴーレム達が隙間も無い程ひしめき合っている。エアニスはその中心で前後左右に剣を振り回し、襲い来るゴーレム達を次々と斬り倒しているが、完全に囲まれた状態でこれだけの数のゴーレムを相手にするには無理があった。ゴーレム達の岩の爪が、エアニスの腕や肩を掴んだ。

 舌打ちをしたエアニスは、刀身に右手の指先を走らせる。すると剣の腹に刻まれた文字のような模様が光りを放った。紅い輝きを増した剣を、エアニスは自分の足元に突き立てる。

 ばがぁっ!

 同時にエアニスを取り囲む数体のゴーレムが砕け散る。エアニスは魔力を込めた剣を地面に突き立て、周りのゴーレムを動かしている魔力の干渉を断ち切ったのだ。

「へぇ!!

 ハーフエルフのくせに、私の干渉を越える魔力を扱えるんだ!!」

 嬉々とした表情で、アイビスはエアニスの一挙一動を食い入るように見つめる。

 エアニスは密度の薄くなったゴーレムの群れへ駆け込んだ。先頭のゴーレムが伸ばした腕を剣のひと振りで斬り飛ばす。両腕を失ったゴーレムの胸を踏み台にして、エアニスはゴーレムの群れの頭上へ飛び出した。そしてゴーレムの頭や肩を踏み付け、高みの見物を決め込むアイビスへ向い、一瞬で距離を詰める。


 がっ

 足場にしたゴーレムの頭を踏み砕く勢いでエアニスはアイビスに飛び掛かった。剣を振りかぶり、袈裟懸けにアイビスを斬り付ける。が、エアニスの刃が触れる瞬間、アイビスが微笑を浮かべると共にその姿は霞のように消え失せた。空間移動だ。エアニスはそのままゴーレムの群れの中へ着地する。

「クソッ!!」

 アイビスが何処へ姿を消したか分からないが、どこへ行くにしても、このゴーレムの群れを幾ばか切り崩さなくてはならないようだ。

 エアニスにとって、これ程の数の敵を相手取るのは、先の大戦以来だった。かつての戦いの感覚が、少しづつエアニスに戻ってくる。

「まぁいい。奴の言う通り、土人形相手なら思い切りやれるしな」

 戦う事で感じる、狂気にも似た歓喜。普段は抑えている感情が疼く。アイビスの配慮に、僅かながら感謝をするエアニスだった。



 トキを先頭に、チャイムとレイチェルは病院内の階段を駆け下りる。道中、病室の幾つかを覗いてみたが、殆どの入院患者が気を失うか、衰弱をしていた。この結界と同時に発生した、まるで徐々に体力を奪われるような魔導の影響だろう。

( 早く、この結界を壊さなくちゃ・・・ )

 大戦中に自分の勤める病院が軍隊に襲われた時の事を思い出す。チャイムは締め付けられるような自分の胸を叩き、冷静さを保てと自分に言い聞かせる。

 チャイムの前を走るトキの姿勢が、ぐらりと傾いだ。え? と思う間も無く、トキは勢い良く廊下に倒れ込んだ。

「トキ!!?」

「トキさんっ!!」

 2人はうつ伏せに倒れるトキに駆け寄った。トキはチャイムとレイチェルの手を借りず自分で起き上がろうとした。しかし、猛烈な虚脱感で膝に力が入らない。滅多に顔色を変えないトキの顔が青ざめ、不規則に息が乱れている。

「お、おかしいですね・・・。チャイムさんもレイチェルさんも、体は大丈夫ですか?」

「なんでアンタがあたし達の心配すんのよ!!

 どうしたの、顔まっ青よ!?」

 トキは壁に手を当てながら立ち上がる。膝が震えていた。

「お二人は結界が張られたと同時に発生した、この不快感や脱力感を感じないのですか?」

 チャイムとレイチェルは顔を見合わせる。

「たしかに違和感はあるけど・・・あたしは苦しい程じゃないわよ」

「きっとトキさんは、魔力の耐性が弱いから、まともに術の影響を受けてしまっているんですね・・・」

「あぁ、なるほど。それでエアニスもお二人も平気な顔をしていられるのですか」

 人間の体、正確には"血"には大なり小なり魔力が宿っている。魔導が使えなくても、誰の身にも多少の魔力が宿っている筈なのだ。しかしトキには魔術への耐性は全く無い。体に魔力が欠片も宿っていないからだ。それは彼の生まれに起因するものだった。そして魔力量の多さは、同時に魔術への耐性にも比例している。魔導師であるチャイムやレイチェル、エルフの魔力を持つエアニスはこの結界の影響は少ないようだが、トキにとっては相当な負荷だった。

「とは言え、寝てる訳にもいきませんからね・・・。すみません、先を急ぎ・・」

 トキの言葉が尻すぼみするように消える。目の前のチャイムとレイチェルの表情が固まっていたのだ。彼女等の視線の先、自分の背後に視線を向けると、そこにはアイビスの姿があった。トキは脱力感に震える腕で銃を構えた。


 トキを見てアイビスは笑う。

「辛そうね。あ、そっか、あなたは普通の人間じゃないから魔力がカケラも無いんだ。それじゃこの結界の中に居るのは辛いかもねぇ・・・」

 思わせぶりなアイビスの言葉に、トキは口元を歪める。

 本当に、気に入らない女だ。

「エアニスは・・・どうしました?」

「あぁ、ザード = ウオルサムならあたしの駒達と遊んでるわ。暫くは助けに来ないと思うわよ」

 エアニスを聞き慣れない名で呼ぶアイビスに、チャイムとレイチェルは戸惑いを覚える。その反応を面白く感じたアイビスは、もう少しだけ彼女達の心を揺さぶってみたくなった。

「本当に彼の事を何も知らないのね。エアニスってのは戦争が終わってから使い始めた偽名みたいよ。アレの本当の名前は、ザード = ウオルサムって言うの」

「偽名・・・?」

 誰ともなく呟き、何となく視線をトキに向けるチャイム。トキはその視線に気付きながらも無視をする。

「そんな事より、ソレ、渡してくれない?」

「・・・渡す?」

 何の事か分からずトキはアイビスに聞き返したが、すぐに自分が手に持っている物を思い出す。トキの持つケースの中には、"イヴォーク"が収まっている。

「まさか、初めからコレが目的で・・・?」

「そーよ。ルゴワールの人間も、その爆弾を欲しがってるみたいなの。ソレの追跡をしていた調査員から、あんた達の報告が入ってね。コレは挨拶しなきゃって、飛んできたのよ」

 ほぞを噛むトキ。てっきり彼女の目的はレイチェルの"石"とばかり思っていたが、本当の目的はこの爆弾だったとは。

 トキは魔族のような非現実的な相手と戦った事は無い。そういえば、あの船の上での戦いでエアニスはアイビスの片手を斬り落としてやったと話していた。が、どう見てもアイビスの両手は無傷である。トキ達の目の前に現れた時も、突然空間から滲み出るように姿を現した。そのような非常識な存在に、トキの持つ常識がどれだけ通用するのか正直自信が無かった。

 アイビスとまともに戦えそうなのはエアニスしか居ない。しかし、見事にエアニスと分断されてしまい、トキはどう出るべきか迷っていた。とりあえず、銃口をアイビスに向けて牽制する。

「なに? そんな銃であたしと戦うつもり??」

 アイビスは、小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、両手を広げて見せる。

「撃ってもいいわよ。避けないからさ」

「・・・・。」

 アイビスの挑発にトキは躊躇する。魔族とは言え、少女の姿をした相手に銃を撃つ事に抵抗を感じた。

「撃たないんだったらコッチから行くわよ。ザード = ウォルサムが戻って来るまでに、そのバクダンを頂いて行きたいのよね」

 ぎゃんっ!

 空気が軋むような、電撃が弾ける様な音と共に、アイビスの周りに無数の光の槍が生まれた。

『!!!』

 槍に込められた膨大なな魔力を感じ取り、チャイムとレイチェルは凍りつく。

「トキ、下がって!!」

 チャイムは身を引きながら叫び、レイチェルは結界の呪文を紡ぐ。アイビスの笑みが深くなった次の瞬間、槍はトキに向けて一斉に襲い掛かった。同時に完成したレイチェルの障壁が、トキの数歩先で発動し薄い光の壁を作り出した。

 ガン! ガヒィン!!  ガインッ!!!

 槍が次々とレイチェルの作り出した壁に突き刺さる。しかし、光の槍は消える事無く魔力の欠片を撒き散らしながら障壁に食い込み続けた。障壁を維持するレイチェルの顔色が変わる。

「だめ・・・・耐えきれないっ!!!」

 レイチェルが叫び、障壁全体が大きく歪んだ。トキが銃弾すら通さない自分のコートでレイチェルとチャイムを覆い、盾となろうとしたその時。


 ばじゅゅっ

 水が蒸発するような音と大量の水蒸気が立ち上り、同時に光の槍が砕け散った。何が起こったのか分からず周りを見回すトキ達。それはアイビスも同じであった。

「早く! この煙に紛れて逃げて!」

 下階に続く階段からクラインの声が上がった。光の槍を打ち消したのは彼の魔導のようだ。辺りには光の槍の消失と共に発生した水蒸気が充満し、アイビスとトキ達の互いの姿を隠していた。トキ達は急いでクラインの後に続き、病棟の1階まで駆け下りた。

「この結界を作ったのは先程の少女ですね。チャイム、あれは何者ですか。とても人間の魔力とは思えませんが・・・」

 走りながら問うクライン。チャイムは返答に困りつつも、

「あれとまともに戦えるのはエアニスだけなんです、中庭にエアニスが居るはずだから、早く合流しないと・・・!」

「中庭ですね。近道をしましょう」

 クラインを先頭に、4人は中庭への最短路を辿る。近道を遮る木戸と窓ガラスを一枚づつ壊し、その先にあった小さな門を抜けてようやく中庭に出た。エアニスの姿を探し、チャイムは辺りを見回した。

 がつっ、

 つま先に何かが引っかかり、チャイムは転んでしまった。擦りむいた膝の痛みに顔をしかめながらもすぐに立ち上がり、自分が何につまづいたのかと思い足元を見る。

 明るい月明かりに照らされたそれは、人間の腕に見えた。

「う・・・!」

 思わず声が漏れた。それが何なのか理解しようとチャイムの目は地面に落ちた物体に釘付けになる。そして、月明りに照らされたそれに何かの影が横切った。

 チャイムは月の昇る空を振り返る。


 最初に目に付いたのは月光を映した長剣の軌跡。そして、その軌跡に触れた人影は真ん中で二つに分かれて地に落ちた。

 息を呑んでその光景に見入る4人。

 銀色の人影へ襲い掛かる幾つもの黒い人影。しかし、黒い影は銀色の影が振るう剣に次々と斬り裂かれ地面へ散らばる。銀色の足元には黒い人影達が折り重なり、山のようになっていた。

 銀色の人影、エアニスは、月の光に照らされた琥珀の髪を銀色に輝かせ闇夜を舞う。


「戦場に現れ、たった一人で何百人もの人間を切り倒す剣士・・・」

 チャイムはつい先日、ギルドで聞いた桁外れの賞金を賭けられた男の噂を思い出す。

 銀の髪と紅い剣を持った剣士。たった一人で幾千もの人間を斬り、伝説となった殺戮者。

 月の光を纏う者 "ザード = ウオルサム"

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