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月の光を纏う者  作者: 猫崎 歩
第三部
30/79

第29話 トラブル = チャンプ

「と・・・言う事で、俺の魔力がケタ外れなのはエルフの血が混じってるからなんだ」

 どうでもいい事のように、自分の素性を淡々と語るエアニス。

 場所はコバルトブルーの海の上。朝からエアニス達は珊瑚礁を見るため船外機の付いたボートを借り、沖へ向っていた。その間の暇潰しとして、エアニスは舵取りをしながらレイチェルにも自分の素性をあらためて説明していた。

「あ、はい。昨日屋上でトキさんと聞いていました」

「・・・そうだったな」

 レイチェルにまでどうでもいいようなリアクションをされるエアニス。自分はハーフエルフだと明かした事で変にぎこちない態度を取られるのも嫌だが、逆にこうも興味なさげな反応をされると自分に関心が無いんじゃないのかと少し寂しい気持ちになるエアニスだった。

 レイチェルの後ろに座るチャイムが、妙に嬉しそうに笑いかけてきた。エアニスには、チャイムが"よかったじゃん。"と、言っているような気がした。喜んで良いものかどうか、エアニスは曖昧な笑みでチャイムに答えた。

「トキは、知ってたんだよね。」

「それは・・・エアニスと一年以上も同棲しているんですからね。知らない事なんてありませんよ」

「ほぅ・・・詳しく話を聞きたいわね・・・」

 意味ありげに笑ったトキに、何故かチャイムが反応した。

「トキ。貴様本当に海に沈めるぞ」

 そういう冗談は嫌いなのか、エアニスはトキの襟首を掴んで吊るし上げ、その身を海の上に突き出した。

「あの、あの、ちょっと気になったんですけどっ!」

 たった一言の冗談でいきなり目が据わってしまったエアニスを、レイチェルは話題を変える事で必死に止めようとする。

「エアニスさん、いつか自分の年齢を21歳と言ってましたよね?

 それって、人間年齢ですか、それとも、エルフとしての年齢ですか?」

 レイチェルの疑問に、チャイムが"あっ"、と、声を上げ、青ざめた顔をエアニスに向ける。

「ひっょとして、エアニス・・・さんって、人間で言うと百ン歳っていう年齢・・・とかですか?」

「なんで敬語なの?

 違うよ、人間年齢で21歳。21年生きてるって意味だ」

 エアニスの言葉に安堵のため息をつくチャイムとレイチェル。

「あーよかったー・・・。そんな年上だったらどうしようかと思ったわよ、タメ口叩いちゃってるしさー」

「待てよ。俺はどのみち、お前より2つ年上じゃねーか」

「大して変んないじゃない。そんな事で先輩ヅラする気アンタ?」

「・・・てめー」

 顔を引き攣らせるエアニスを差し置いて、チャイムは次の話題へ移る。

「でも、てっきりエルフって寿命が長い分成長も遅いものだと思ってたわ。エアニスは年相応ってカンジだけど・・・」

 コロコロと変わるチャイムの話題について行けず、こめかみを押さえるエアニス。とりあえず、素直にチャイムの疑問に答える事にした。

「種族にもよるがな。俺達は成人するまで人と同じペースで成長する。体力と知力の最盛期に差し掛かると成長が止まり、生涯の大半をその姿で生きる事が出来る。そして寿命が近くなると、また人間と同じペースで老いていくんだ。老化が始まりくたばるまでは、まぁ30年ってトコかな。」

「へーっ・・・それは羨ましい体ねー。

 でもま、今回の旅には関係無い話なんじゃない」

「・・・そうだね」

 長々と話した割には"関係ない"の一言で片付けられてしまった。割と意を決しての告白だったのだが肩透かしを食らった気分だ。

 エアニスは虚しさを噛み締めながら船を走らせた。



「で、どこよ珊瑚礁って?」

 4人が船の周りを見回しても、日の光を照り返す海面以外は何も見えなかった。ふと振り返ると陸も随分と遠くに見えるようになっていた。

「ちょっと沖に出過ぎじゃないですか?」

「方角は合ってる筈だがな」

 腕を組んで唸るエアニス。チャイムが船から身を乗り出し、海面を覗き込んだ。

「まぁ、珊瑚礁は海の底にあるんだから。船の上から探しても見つかんないでしょ」

 しかし、海水の透明度は高いにも関わらず、海の底には何も見えなかった。難しい顔をするチャイムの頭に、後ろから水中眼鏡が引っ掛けられた。振り返ると、そこには無愛想なエアニスの顔。

「よし、オマエ、潜って珊瑚礁があるか見て来い」

「なんであたしが!?」

「お前、水着着てるじゃないか」

 チャイムとレイチェルは水着の上にシャツを着ただけの姿で船に乗っていた。エアニスとトキは普段着である。

「むぅ。仕方ないわね。

 でも、ココけっこう深そうよ。息続くかな?」

 不安げなチャイムの肩をレイチェルがつついた。

「私、水中で息ができる術使えるわよ。魔導使おうか?」

「ホント? っていうか、そんな魔導あるんだ・・・。

 じゃ、お願いしようかな」

 その返事を聞くと、レイチェルは小声で呪文を唱えだし片手で印を切ってその指先を唇に当て、

 いきなり、チャイムにキスをした。


「~~~~!!」

突然のレイチェルの行動に、チャイムは顔を真っ赤にして背中から後ろに引っくり返った。エアニスとトキも二人に視線がクギ付けになる。

 チャイムは引っくり返ったまま はぁはぁと息を荒げると、

「なにすんのー!!あんたはーーーっ!!!」

 チャイムが飛び上がり、ボートの先端まで一気にあとずさった。レイチェルはいつもと何も変らない様子で、

「これで10分くらいの間は水中でも息ができるわ。普通に息をしても、水が口に入る事は無いから大丈夫よ」

 全身を固まらせたまま、エアニスが聞きにくそうにレイチェルに問う。

「レイチェル。何で今・・・その、チャイムに・・・き、キス、した?」

「水中呼吸の魔導、術者の息が魔導の媒体になるので、他人に術をかける時はこうするんです」

「・・・へー。そうか、それは・・・アレだな」

「アレ・・・ですか?」

 こくん、と、小首をかしげるレイチェル。エアニスの動揺の原因が何か理解していない様子だ。当人にはまったく恥ずかしいといった気が無いようだ。

「いや・・・何でもない。気にするな」

「よくない!! 今!! ここで!! レイチェルに色々と教えてあげる必要があるッ!!」

「そうですね。ご協力しましょう」

「何を教える気だお前ら!!」

 俗世から隔離された山奥の村で育ったレイチェルは、女性としてのモラル、マナー、羞恥心というものが激しく世間ズレしていた。その事はエアニスもトキもチャイムも、何となく気付いてはいたが、まさかここまで常識を逸脱しているとは思っていなかった。

 3人は、レイチェルに一般的な教養を一から教え込むべきかと真剣に考えてしまう。

 こほん、と、チャイムが咳払いをし、レイチェルに背を向ける。

「えっと・・・それじゃ、ちょっと海の中見てくるわ・・・」

 せっかくかけてもらった術がこんな無駄話(?)をしている間に切れてしまうのも勿体無い。チャイムはとりあえず海底の様子を調べるという当初の任を果たす事にした。

「気をつけてね、チャイム。」

「・・・・。」

 チャイムは赤くなった顔を3人に見られないようにして海へ飛び込んだ。

 暫くして、トキが呆然とした様子で口を開いた。

「僕、女性同士のキスって始めて見ました」

「・・・俺も。恐るべし・・・天然」

 エアニスとトキは小声で言葉を交わし、レイチェルから少しだけ距離をとった。


 気を取り直し、チャイムは波を蹴りどんどん深く潜っていく。思いのほか、すぐに海の底へ到達する事ができ、チャイムは海底の周りを見回した。しかし、この 周辺は海草すらろくに生えておらず、ごつごつとした岩が転がる殺風景な景色が広がっているのみだった。念の為にボートから少し離れた場所の様子も確認した が、珊瑚礁などどこにも無かった。

「・・・?」

 チャイムがエアニスに文句の一つでも言ってやろうとボートに戻ろうとした時、すこし離れた岩場で奇妙な物を見つけた。気になって、それの間近まで近づいてみたが、"それ"のあまりの不自然さに、益々首をひねる事になった。


 ざばっと、チャイムが海面から顔を出した。

「お、遅かったな。溺れたかと思ったぞ。どうだ、下の様子は?」

「珊瑚礁なんて無かったわよ。

 そんな事よりさ、面白いモノ見つけたわ。」

 エアニスの茶々は無視し、チャイムは自分の見た事を伝える。

「面白いモノ?」

「うん、海底の岩に、大きなケースが沈んでたの。そんなに古い物じゃなかったわ」

「ただのゴミじゃないのか?」

「ただのゴミが、鎖で岩場に繋ぎとめられてると思う? しかも海の底で」

 チャイムの言葉に、エアニスとトキ、レイチェルは顔を見合わせた。

 チャイムが見たのは、金属で出来た鞄のようなケースだった。そのケースの握り手に、太い鎖が巻きつけられており、その先は岩に打ち付けられたアンカーへと繋がっていた。

「そいつは・・・ちょっと気になるな。」

 エアニスが食いついてきた。

「気にはなりますけど、怪しさ大爆発ですね。あまり関わらない方が良い気もしますが」

 それに対して、あからさまに乗り気のしない意見を述べるトキ。レイチェルは何も言わなかったが、瞳が財宝を見つけた子供のように輝いている所をみると乗り気ではあるようだ。

「それで、鎖を何とかして外したいんだけど・・・エアニス、剣で斬れる?」

「流石に水中で鉄を斬るのは無理だが・・・まぁ、何とかしてみるよ。

 どこに沈んでる? 息続きそうか?」

「あたしはレイチェルの魔導で平気だったけど、けっこう深いから少し苦しいかもしんない」

「そうか・・・」

 エアニスは考えるようにして黙り込んだあと、レイチェルと視線を合わせる。

「だ、駄目に決まってるでしょーがっ!!!」

 まだ何も言っていないのに、エアニスはチャイムによって海へ引きずり落とされてしまった。


 そのままエアニスはチャイムの後について海を潜ってゆき、海底に沈むケースの元へ辿り着いた。チャイムが話した通り、ケースの握り手と岩に打ち付けられたアンカーが太い鎖で繋がれていた。それを見たエアニスは、迷わず比較的脆そうなケースの握り手に剣の刀身を押し当て、刃を一気に引き抜いた。

 ぎゅがっ

 チャイムの耳へ海水越しに金属の擦れるような音が届くとケースは繋がれた鎖から離れ、海底の岩場に転がった。エアニスはそれを両手で抱えると、チャイムに目で合図をする。ボートに戻るぞ、という意味だ。


 ざぶん

「ぶはぁっ!!ぜーっ、ぜーっ、」

 海面に顔を出したエアニスは激しく息を切らす。魔導を使わず5分近くも潜っていたのだ。

「アンタ、よく息続いたわねー・・・」

「お、お前等とは出来が違うんだよ。おい、トキ、引き上げるの、手伝ってくれ、コレけっこー重い・・・」

「はいはい。うわっ、よくこんな重い物持って浮かんでこれましたねー・・・」

トキとレイチェルが、エアニスが必死に持ち上げるケースを、ボートの上に引き上げた。


「で、何が入ってるのかな??」

 一息ついた4人は、早速海底に沈められた宝箱を開けようとするが

「おや、鍵がかかってるみたいですね」

「どけ」

 エアニスが鍵穴に向け無造作に剣を振った。しゃこん、と軽い音を立て、ケースの蓋がバネ仕掛けのように開く。そのケースの中に納まっていたものは・・・

「・・・何これ? 何の機械??」

 箱の中には、沢山のボタンやコードがはみ出した、何に使うのか分からない機械が納まっていた。内側には海水は一滴も付いていなかった。

「これは・・・驚きました・・・。ベクタ製の "イヴォーク" ですね」

 身を乗り出してきたトキが、その機械を見て眼鏡のツルを持ち上げた。聞きなれない名前と、ベクタという国名に、チャイムは不吉な予感を感じた。

「な、なにそれ?」

「ベクタが大戦の後期に製造した核爆弾です。

 名前くらいは聞いた事があるでしょう? 死の灰をばら撒く、プルトニュウムやウランを使ったアレです。」

「・・・私にはアンタが何を言っているのか分からない」

「簡単に言えば、超強力な爆弾です。

 首都レベルの街を一瞬で消し飛ばし、その後100年は人の住めない死の大地にするそうですよ」

 何故か笑って答えるトキ。その他3人の表情が一気に引いた。

「チャイム。そいつを海に捨てろ。」

「よっしゃあああ!!」

「ち、ちょっと待って下さい!!

 何でこんな物がここにあるのか調べておく必要はありませんか!?」

 トキは、エアニスの命令を即座に遂行しようとしたチャイムを止める。

「ない。もう俺はこれ以上厄介事に関わる気はない」

 両耳を塞いでエアニスとチャイムは必死で首を振った。

「しかし、これの回収には800万の懸賞金が懸かってるんですよ?」

「800万!!」

 チャイムの目の色が変わる。

「この爆弾は、ベクタが大戦の後期に製造した物です。

 製造されたのは、大型爆弾が8機、持ち運べるサイズの爆弾が24機で、大型爆弾は全て、小型のものは24機中、20機は回収され、廃棄されていると公表されています。」

「24機中の、残り4機はどうなったんですか?」

「うち1機は大戦中にハルモニアで使用され、残りの3機は、現在行方不明だそうです。」

「・・・・」

 4人の視線がケースに収められた爆弾に集まる。

「いやいや、金はあり余ってるから、やっぱり海に捨てよう。珊瑚礁見に行くんだろ。忘れようぜこんなくだらねー事」

「エアニス・・・現実逃避ならまだしも、ただ単に面倒くさがってるだけですね?」

「ああ面倒くさい。面倒くさいね。」

 そう答えると、エアニスはケースを持ち上げて海に投げ捨てようとする。3人が慌ててエアニスを取り押さえようとすると。


 ボゥウウウウ・・・ン

 背後から近づいてくるエンジン音。レイチェルが振り向くと、遠くに小さな船影が見えた。

「ボート・・こっちに来ますよ・・・?」

「なんか・・・激烈に嫌な予感がしてきたんだけど」

「海兵隊の船ではなさそうですね。エアニス、見えますか?」

 エアニスは額に手をかざし、目を細める。

「漁船・・・に見えるな。チンピラみたいな奴が2、3人こっち指差して何か言ってる」

「アンタ、よく見えるわねー・・・」

 チャイムには人影さえ見えない。エアニスは異常に目が良いようだ。これもハーフエルフの身体的長所だろうか。

「どうしますか?」

「逃げよう。関わることは無い」

「爆弾は捨てないんですか?」

「捨てない」

「それでこそエアニスです」

 エアニスは船外機のスターターロープを引き抜き、エンジンに火を入れた。


 エアニス達が近づいてくる船の進路を避けるように移動を始めると、相手の船はエアニス達のボートを追いかけるように進路を変更した。

「やっぱり、僕達に用があるみたいですね」

 ボートにしがみつきながらトキはぼやく。エアニス達のボートはエンジンを全開にして海を走っていた。小さいボートなので、いつ転覆してもおかしくないような揺れ方をしていた。まるで飛び魚のように船は水面を跳ねながら走る。それでも真っ直ぐ走っていられるのは、エアニスの操船技術のお陰か。

「どうする? こんな小さなエンジンじゃ、すぐに追いつかれるぞ」

「・・・撃沈しないの?」

 チャイムが不思議そうに聞いた。

「・・・相手が敵がどうか分からないのに撃沈したらマズイですよ。

 チャイムさん、発言がエアニス寄りになってきましたね。悪い兆候です。」

「俺寄りが悪い兆候ってどういう意味だトキ!!」

「そうよ、今の発言取り消しなさいよ!! あたしに対して失礼だわ!!」

「え、えぇーーー・・・」

 揺れる船上でトキはエアニスとチャイムに胸ぐらを掴まれる。

「エアニスさん!」

 レイチェルが緊迫した声を上げる。すると同時にエアニス達のボートの周りで細い水柱が幾つも跳ね上がった。

「撃って来やがった! あいつら、銃持ってんのかよ!?」

「ですがこれで敵確定ですね。沈めましょう」

 相手の船から放たれる銃弾は、殆どが明後日の方向へ飛んでいた。揺れる船の上で狙いを定めても当たる筈も無く、狙撃手の人数も少ないようで弾幕も薄い。しかし、安心していられる状況ではない。みるみるうちに相手の船との距離は縮んできている。

「沈めるって言っても、俺は剣しか持ってないぞ!」

「僕はハンドガンと手投げ弾1つだけですね。流石にもっと近づかないと当たる気がしませんが・・・」

 エアニスとトキの視線が、レイチェルに集まった。

「・・・私、ですか?」

「この状況でアレを沈めるにはレイチェルの魔導が一番確実そうだ。一発お見舞いしてやれ」

「し、沈めるって・・・。別に沈めなくても、相手を振り切れればいいですよね?

 魔導であの船の動きを止めます」

 レイチェルはボートから身を乗り出し海水に手を当てる。いつものように小声で呪文を唱え、海面に当てていた手を振り抜く。

 途端に辺りの気温が急激に下がり海面から雪のようなものが舞い散った。

 バギバギバキギシシイィィィッ・・・

 レイチェルの振った手の方角へ向けて、海面が一気に凍りつき、エアニス達と相手のボートの間に横たわるような長細い氷の島を作り出した。

 突然海面に現れた障害物を避けるため、エアニス達を追ってきた船は慌てて氷の島を避けようとする。が、間に合わない。

 ドゴン!!

 景気の良い音を立て、ボートは氷の島に乗り上げた。

「あっ。」

 レイチェルが間の抜けた声を上げる。

 相手のボートは氷の島に乗り上げ、ジャンプ台を飛ぶように船体が海面から飛び出した。そして空中で船体が斜めに傾き、そのまま再び海面に激突し、転覆、見事に沈没した。投げ出された船員はすぐに海面に浮かび上がり、エアニス達に向けて怒号を飛ばしていた。何を言っているのかまでは分らない。


「・・・・」

 あーあ、と言った表情で沈み行く船を見届けるエアニス達。レイチェル自信は"やっちゃった"、という顔をしていた。

「やるじゃないか・・・レイチェル」

「・・・それほどでも」

 レイチェルは、氷の島を相手の船にぶつけて動きを止めるつもりだけで、ここまで派手に船をひっくり返してやるつもりは無かった。

 エアニスによる同情の色を帯びた賞賛に、レイチェルは何も弁解せず謙遜してみせた。

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