ラリィタ少女哀歌
先生から貰った苹果の種は、あと数日保つはずだったのに。
世界と繋がるためには、仕方ないね。
粒を全部飲み込んで、ふわふわの鎧でコーティングして、ぐるぐるで歩く。
嫌いな雑踏もぐるぐるだから、限りなく自由。
この道だってきっと、メルヘン街道。
あの人はきっと、星屑拾いのお兄さん。ベテホロンの下り坂では、収集家の血が騒いでいた。
あっちの人は、猫の調教師。寂しい夜には猫を集めて、必死に愛を仕込んでる。
あの人たちは、楽団。あっちはサーカス一座。哀しみ背負って喜びを振り撒く。
でも、神さまの泪は自由が利かない。
ふわふわが水を吸って重くなる前に、お城へ行こう。
原始、地動説的観点から、みんな太陽だった。
でもいつの間にか、異世界に迷い込む。
私が太陽だった頃のお城は、私が太陽であるために、急ごしらえの改築増築を繰り返した。
ハリボテ。
危険なバランス。
耳触りの悪い言葉はあっちへ行け。
視界を狭めてやり過ごすこともある。
城内でさえ居場所を探す。もう、最上階。
私はラリィト・フライヤー号。ラリィト姉妹の作った、ふわふわ飛行機。
重力に抗って、世界に抗って、最上階から翔ぶ。
でもやっぱり、重力には克てなくて。
縛られて叩き付けられる一瞬に正気な私は、薔薇を撒き散らしながら、
世界にザマアミロと言った。
ポップでサイケでちょっと黒い、を目指して明け方のテンションで書いちゃいました。
副え木になれれば幸いです。