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14 土砂崩れ3
初音は神官長の前でうなだれていた。
勝手に馬を連れだしたこと。
煙玉で大騒ぎさせたこと。
勝手に神殿を出たこと。
勝手に人前に出たこと。
勝手に土砂崩れを予言したこと。
全て怒られた。
長い永い説教を無我の境地で切り抜けること、一時間。
それでもまだ終わらない。
「土砂崩れを予言するのはいい。だが、神殿から王宮へ通達しなければ意味がない。どこぞのサル娘が命を救ったといわれても、神殿側としては全く意味がないからな。神殿の意味をよく考えてくれ。この前の雨乞いにしても同じだ」
「でも、時間がなくて。そんなことしてたら、間に合わなくて」
「言い訳はいい! せめて、一言神殿の者に言いなさい」
怒鳴られて、初音はしゅんとなる。
ミロクは褒めてくれたのに・・・。
ミロクは頭を撫でてくれたのに。
ミロクはおいしいご飯くれたのに。
ミロクはおいしいご飯くれたのに。
読んでくださってありがとうございます。