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決別  作者: 青海
9/9

大学一年生⑤

 私は大学内でも人気がない場所で彼らを待っていた。都門がうまく説得できたら、彼を連れてくるらしい。

 スマホをいじっていると、都門から連絡がくる。

 説得できたっぽい。そろそろ着くと言っていた。

 私は立ち上がり、彼らを待った。

 数分経つと、彼らがやってくる。

 華子――有座さんは、私を見た後、すぐに目を逸らした。

「連れてきた。」

「ありがとう、都門。」

 都門と有座さんはこそこそと話すと、都門は彼の背をトン、と押し、私の目の前に有座さんがやってくる。

 彼はどこか緊張しているようだった。

 私が口を開こうとすると、

「ごめん。」

 と言ってきた。華子の声だった。

「何も言わずにどっか言ってごめん。」

 理由はわかってる。だから、

「いいよ、別に。」

 と返した。華子はハッと私の方を向き、泣きそうな顔をしながらへら、と笑った。

「私、怖かったの。最初会った時、雰囲気が似てるって言われて、バレるんじゃないかって、勝手に離れていったことを責められるんじゃないかって。でも、一緒に関わってくうちに、別のこと思うようになった。このまま関わったら、また、私が出てくるって。ずっと抑えていたでしゃばりが出るって。」

「それは――。」

「大丈夫って言うでしょ?知ってる。」

「でも、華子はいやなんでしょ?」

 私がそう言うと、華子は驚いたように私を見た。

「ずっと守って、幸せな気持ちにさせるのが正解だと思ってた。でも、貴女はそれじゃいやだってこと、最近気づいたのよ。」

「心……。」

 あぁ、泣きそう。泣き虫なところは変わらないんだね。私も、華子も。

「私、似てるって思っても華子とは違うって思ってた。でも、そうよね。貴女も成長してるんだもの。なら、私も向き合わなきゃ。」

「……うん、うん。」

「ごめんね、華子。」

 私たちは二人で泣きあった。その頭を、都門が撫でてくれた。


 お互い泣き止んだ頃、私は、とある提案をした。

「華子……いや、有座さん。」

「別に、原太でもいいよ。」

「原太さん?」

「うん。それでいい。」

 彼はそう言って笑った。その笑い方、なんだか似てる。

「……もしよかったら、今からでも友達にならない?」

 私がそう言うと、彼はふ、と笑った。

「……もう、前みたいな関係に戻れないかもしれないのに?」

「それでもいい。私は、貴方と友達になりたいから。」

「……なら、いいよ。」

 彼はそう言ってにっこりと笑う。私も釣られて笑った。

「あとね……。」

「うん。」

「もし、よかったらなんだけど。」

「うん。」

「もう一度、もう一度だけ、華子に会いたいの。」

 そう言うと、彼は目を見開いた。

「なんで?」

「別れを言えてないでしょう?それに、転校した先であったことを話してほしいの。ほら、あの子話したがりだから。」

 彼はうんうんと唸った後、いいよ。と言ってくれた。

「本当?」

「プライベートでいい?」

「勿論。」

 私たちは二人で笑った。まるで秘密ごとを共有してるようだ。

 笑い合っていると、都門が話しかけてきた。

「言いたいことは言えたか?」

「大まかね。でも、また話すの。」

「いいね。」

「……ありがとうございます。和田さん。」

「いえいえ。」

 彼の声は、すでに原太さんの声になっていた。それでもいいと思った。

 それが、あの子の選んだ先だから。

「そろそろ帰るか。」

「そうね。」

 私たちは立ち上がり、お互い正反対の方向を歩き出す。

「原太さん、また明日!」

「うん。また明日。」

 手を振って、帰路の方を向いた。

 なんだか清々しい気分だ。


 しばらく、彼らの方を向いていた。

 また話せるのか、昔の私が見たらなんと言うだろう。

 人生なんてそんなもんだ。

 決意したものは案外叶えられないものだ。

 それでいい。その方がきっといい方向に向くから。

「……心。」

 私、そう言えば言い忘れていたことがある。

「別に人を制限しなくてもいい。助けたい人を助けてよ。心なら出来る。この世の中に疑問を持つ心なら、きっと。」

 この言葉は誰にも聞こえないけど、きっと大丈夫。また、どこかで話すから。だから、待っててね。

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