氷の王子様の手
アルト王子の呪いの手の理由が明かされる。
アルト王子が、地下牢から出ると湯浴みをしに部屋の脱衣所に向かった。
「手伝うか?」
ダリアンが声をかけたが、アルト王子が首を横に振った。
「いや、1人でいい」
服を着たままアルト王子は天井から流れてくるシャワのような作りの、お湯を捻り、冷たくなった手を壁に打ち付けた。
「くそぉぉ!」
水の音と、アルト王子の叫び声が自室で待機しながら書類を書いているダリアンには聞こえていたが、遮断魔法で外部には聞こえてはいなかった。
アルト王子には、王族の中でも氷魔法の属性を強く持って生まれた。魔力も強く、魔法を使うと、体に支障が出てしまい、手が氷のように冷たくなる呪いのようなものだと、侍医から言われていた。制御するために、魔法の勉強や魔力操作や、使い方、先生たちに習いどうにか、今の状態を維持してきたが、怒りの感情が引き金になるのか、魔力が暴走を引き起こしやすくなり、手の感覚が無くなるほど、手が冷たくなるために、すぐさま、熱い薬湯で全身温めないと、アルト王子の心臓が氷漬けになり、死んでしまうのだ。
「アルト、生きてるか?」
ポタポタと脱衣場で立ち尽くす、アルト王子の手を見て氷漬けになってないのを見ると、ダリアンが安堵した。濡れたアルト王子の髪や体をタオルで拭きあげると、火魔法と風魔法を使い髪を一瞬で乾かす。
「疲れた……」
ソファーに、項垂れるように、寝転ぶアルト王子にダリアが、ベッドに運んだ。
「今日は寝ろ。後のことは俺がやる」
「すまない。任せる……」
寝室のドアを閉めると、ダリアンはメガネを外して胸ポケットにしまうと刺客たちに、メルの捜索をと指示を出した。
「異世界から来たあの女の素性を、もう少し調べないとな」
呟いたダリアンはメガネをかけ直すと、仕事場へ向かうのだった。




