悲しげに揺れるオッドアイ
森宮 春です。推しのいる世界に、死んだまま転生して、2週間。今、大ピンチの中、デブい猫にどつかれまして、気絶中の私。果たして、王子様は助けに来るのか?
「親分、傷がつくと商品の価値が……」
「ちっ。こいつを見張っとけよ!」
親分が小屋を出ていくと、見張り役が気絶してる私の顔をジロジロと、松明の火を照らしながら覗いていた。
「こいつの顔どっかで見たような?」
見張り役の一人が、首を傾げながら、部屋を出ていった。翌朝、目が覚めると私の体はあっちこちが痛くて、歯が折れたかもと、顔が痛みで歪んだ。
「おはようさん。やっとお目覚めですか」
…酒臭い!
デブ猫みたいな男が顔近づけて来て思わず、私は顔を逸らした。
「まっ、今日で買い手がつくだろうな!ガハハッ!」
朝から、ボスらしき(デブ猫)酒瓶の蓋を外すと、ガバガバと酒を流し込む姿に、もう1回ぐらいは、蹴り入れてもいいよね?と、隙を狙っていた春。
「親分、買い手はどんな奴が買うんでしょうね」
「そら、こいつは人間だろ?趣味趣向が、やべぇやつの玩具になるだろうよ」
ニヤついて、私を見て嘲笑う姿に背筋に寒気が走った。
「おっ。お嬢さん状況がわかるのが早いな。顔色が変わったぞ!ガハハッ!商品価値がないなら、俺たちが遊んでやったけどなあ!」
笑い転げてる、悪党たちの前では、泣いてやるもんかと、自分の唇を噛み締めた。、
『 コンコン!!』
「早速来たか!おい、上に行ってドア開けろ」
「へい!」
子分がドアを開けようとした瞬間、古びた木のドアが飛んで、子分と一緒に壁に激突する音が地下に響いた。
「全員動くな!動けばその場で切り捨てる!」
騎士たちが、一斉に古びた小屋になだれ込んで、柄を握り剣を鞘から抜くと、足音が地下にまで聞こえた。
「聖女様!聖女様はおいでか!」
……アルト王子の声がする。だけど、口が塞がって声が出せない。真上から聞こえるのに……
このまま気付かれないのかと、私の目から、今にも涙が、零れそうになっていた。
「おい!お前、聖女だったんだな!」
親分が、私の髪を鷲掴みにし、抜け道から外へ逃げようとした瞬間、アルト王子が、先回りをしていた。髪を鷲掴みに掴む私の姿を見て、いつもとは違うアルト王子の殺気に、私の背筋がゾクリとした。
「う、動くなよ!動けばこの聖女とやらの首を切り刻んでやるからな!」
ボスが持ってたナイフを、私の首元に突きつけた。かすかに、薄らと首元が切れ、血が流れ落ちた。ガタガタと震える春の姿を見たアルト王子が、剣の柄を握ると、ボス猫に質問を投げた。
「その頬が腫れてるのは誰がやった?」
「これか?これはだな、俺が……」
アルト王子が一言返事をすると、目を閉じた。剣を抜く音がしたと思った瞬間、アルト王子が消えたのだ。親分は、白目を向いて、地面に倒れていた。
「アルト王子殿下!ご無事ですか!お怪我は!」
「大事はない。それより全員捕らえよ」
「はっ!」
騎士がその場でアルト王子に敬礼をし、腰が抜けた私は、地面に崩れるように倒れそうな所を、アルト王子が私の体を優しく抱き寄せてくれると、甘い香りと、汗が混ざる匂いに、王子様って本当にいるんだって思ったな。
「聖女様、遅くなってすまない」
私の口に塞がれていた布が外され、手足を縛っていた麻のロープを、アルト王子が剣の先で切り落とし、着ていた、騎士服の上着を脱ぐとを私の肩に、優しくかけてくれた。我慢できずにアルト王子の目の前で、泣き出していた。
「ぐすっ……こわ、怖かった……」
アルト王子の胸に頭を押し付けて、私は子供みたいに腰に抱きついたが、アルト王子は黙ったまま、落ち着くまで、私を抱き寄せてくれていた。春が鼻を啜りながら、顔をあげると腫れた頬と首からは、血がまだ少し流れていた。
「ひゃっ!」
いきなり、私の首の切り傷を舐めるアルト王子に、体に鳥肌が立ち、変な声が出てしまった。
「王家の人間は、癒効力が少しあるんだ。くすぐったいかもだが、少し我慢してくれ」
真顔で言われてこれが、普通だと言わんばかりの行動に、アルト王子の体を私は押しのけた。
「私は、だ、大丈夫なんで!」
白い手袋をアルト王子が外して、春の頬に手が触れる。手が氷のように冷たくて、体がビクッと震える。手を下ろした、貴方の綺麗なオッドアイが少し揺れると、悲しそうな表情見つめていたのに、体は正直だった。全身の痛みと安心が混ざって、アルト王子の目の前で、春は気を失ってしまうのでした。
王子の悲しげな瞳を描写したくなり最後の方に、書いてみました。
ケンタッキー久しぶり食べたらお腹壊した、作者(笑)
歳には勝てないなって思ったけど美味かった!
我が生涯に一片の悔い無し٩( 'ω' )و(笑)




