ハーベルト王国
私には聖女の力なんてない。
「聖女様、どうか、このハーベルト王国を助けてください!お願いします!」
話を聞けば聞くほど、漫画で読んだ第1話の話によく似ていて頭がこんがらっていた。ボサボサのポニテールのゴムを解いて髪を、掻きむしっていた。
「だから、私は聖女じゃありませんし、こんな所に連れてこられて、死んでる私は、元いた世界にも帰れないとか、意味が分からない!」
死んだ姿のまま、異世界転生して、聖女だとか言われて、混乱する私に、右大臣や、左大臣、防衛大臣、近衛騎士隊長たちが口々に私を引き留めようと、必死に頭を下げていた。アルト王子が、席から立ち上がると手を挙げて皆を止めた。
「よい。この者が聖女ではないのなら仕方ない。この世界に連れ出した、私の責任がある。元いた世界に、帰る方法が見つかるまで、ゆるりと我が城で過ごしてくれ」
アルト王子が椅子から立ち上がると、応接室から出て行った。メイド服を着た女性が数人私に近寄ると、お部屋に案内をと言われ廊下に敷かれた赤い絨毯の上を歩くと、大きな扉の前で侍女が立ち止まり、部屋の扉を開けて案内をしてくれた。
「聖女様は、こちらのお部屋をお使いくださいませ」
部屋の扉が開くと、どのくらいの広さがあるのだろうか。我が家のアパートは6畳のワンルーム。その倍の倍の広さと調度品や、高級そうな家具に、ソファー、テーブルに、大きな暖炉、寝室はキングサイズのベッドを見て、私は呆気に立ち尽くしていた。
「聖女様、後ほど湯浴みと身支度のご用意に、参ります。何が御用がございましたら、こちらの呼び鈴を鳴らしてください」
メイド服の女性たちが、ドアの前で頭を下げ部屋の扉が閉まった。広い部屋の中を探索し終わると、赤い、ふかふかのソファーに腰を下ろして、死んでしまって元の世界に帰れないことを考えていた。
「上司が、知ったらブチ切れ案件じゃないよね」
メガネをテーブルに置いて、ソファーに寝転がると、天井がキラキラ光って見えた。この世界の事情は、分かるけど、元いた世界で死んだんだ。聖女の力なんかない。天井を見つめながら手を伸ばすと、急に眠気が襲って春はウトウトと、瞼が閉じるのを感じていた。
ふかふかのソファーの寝心地に、睡魔に襲われた私は、そのまま夢の中へ落ちるのだった。
「……聖女じゃ……ない」
春の寝息が部屋から聞こえると、部屋のドアが静かに開き私が眠るソファーに、アルト王子が近づいて、私のボサボサの髪に触れていた。
猫って実は、お気に入りなるとめちゃくちゃデレデレになって自分のモノにしようとするんですよ。それと、めちゃくちゃヤキモチ妬きな所もまた、可愛いんですよね。←猫3匹我が家にいますฅ^•ω•^ฅ




