禁忌の森(後編)
あ、これ私、詰んで死亡フラグ。
…お願いだ。どうか間に合ってくれ!
アルト王子が、軍馬の手網引き、馬の腹を蹴り叩スピード上げて森へ向かう中、城に残されたダリアンがバルコニーの外でアルトが先走ったことに、苛立っていた。
「あの馬鹿ろやろう!国の王子ってこと忘れて、飛び出しやがって!」
火魔法をダリアンが、空高く花火のように、夜空を照らす。緊急収集の合図をダリアンが出してから、数分後には、城へアルト王子護衛騎士団の、4騎士隊長たちがダリアンに、膝をついて城の異様さと、何事かと聞いた。
「今すぐ、アルト王子殿下を早馬で追い、聖女様を救出。2名は城の防衛を頼んだぞ!」
「「はっ!」」
────⋆˙⟡
禁忌の森に足を踏み入れた春は耳がキーンてするような静寂な森に、体が震える。木々は絡み合い侵入者をを拒むように道を塞いでいた。
「アルト王子殿下!」
春が叫ぶが、返事はない。この森がどのくらい広いのか、分からないまま春は森の奥へ奥へと歩く。
「殿下、どちらですか!」
春が叫ぶと背後で枝が折れる音がした。振り向いた瞬間、巨大な影が月明かりに浮かび上がる。熊のような体格に、赤く光る目、体からは瘴気が漂い、地面が溶けていた。咄嗟にナイフをの柄を握りしめ構えたが、剣術さえ習ったこともなければ、初めてナイフ握ってる自分の足が震えても仕方ないよね。魔獣が咆哮し、空気が弾けた。その衝撃に春は、膝をつき視界が揺れる。よろめく春に、間髪入れず振り下ろされた魔獣の爪が春の頭上に下ろされ、目を閉じると死を覚悟した。
「ガオオオウッ!!!」
…あ、これ私、詰んで死んだわ。森宮 春は現世で過労死。カップ焼きそば片手に、異世界転移か、転生から半年。聖女の力もなければ、ただのお荷物の23歳、唯一の楽しみと言えば、"猫の国の王子様は異世界から召喚された少女と出逢い恋に落ちる"アニメや漫画にどハマりして、アルト王子を推して生きてきたっけ。
生アルト王子殿下…かっこよかったな。動く姿、イケボだし、かっこいい推しから"好き"に変わって─伝えれなかったのが、悔しいけど、最後に長い夢を見れてよかった。
「さようなら…殿下─」
魔獣が、再び咆哮する。アルト王子の耳に届いた瞬間、森の中が、閃光に包まれその光は一本の光の柱となり、アルト王子が馬の手網を引いて、その光の柱の元へ、向かうのだった。
────⋆˙⟡
「ガウアアアアッ!」
眩い光が、魔獣を包むと光に呑まれ消滅をしていたのだった。
「ヒヒーンッ!」
春が、目を開けると、世界が白く残光に揺れていた。 私の髪色は白銀の髪色に変わり、瞳は澄んだ青へと染まっていた。私には聖女の力はないと、思っていたのに。まさか、その力が、目覚めるなんて夢にも思っていなかった。
最終話まで残り、3話となります。




