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カップ焼きそば持って異世界転移、猫の国の王子殿下に聖女じゃない私が溺愛される!?  作者: 猫又 マロ
ハーベルト王国編/第1章

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14/20

見送りの朝

出立する前日の夜のお話から、春とアルト王子殿下の気持ちも動き出そうとしていた。


…お昼に馬車の移動中でも食べられるもの.....サンドイッチなら、食べやすいかな。


アルト王子殿下が、隣国へ視察のため暫く城を開けることを伝えられ、その出立の日が明日の朝だった。春は寝る前に、専属侍女ルミネに、朝の弱い自分だから叩き起してと伝えると、「春様を叩くなんて、出来ません。起こしには参ります」と笑われてしまった。


「明日から、アルト王子殿下いないんだ…」


ブランケットを被るがなかなか寝付けず、考えことをしてると、春はいつの間にか深い眠りに落ちていたのだった。


季節の変わり目の朝は、肌寒く冷える。

夜明け前の王宮は、まだ群青色の静けさに沈んでいた。モーニングティーを載せたワゴンを、ルミネが押しながら、 部屋の前に立つ。"コンコン。"


「春様、朝でございます」


ドアをノックするが春からの返事はない。寝室の扉を開けカーテンを開けると、夜明け前の外はまだ薄暗い。寝台に降ろされた天蓋を開けると、厚手のブランケットを頭から被りまだ、春は夢の中だ。


「春様、起きてください」


紅茶をカップへ注ぐと、湯気と紅茶の香りが柔らかくち上る。


「春様、そろそろお支度のお時間でございます」


春が、寝返りながら寝言をルミネに話していた。


「…んぅ…後、五分だけ…」


春の寝息が聞こえ、ミルネが再度、春を起こす。


「五分では、アルト王子殿下の乗る馬車は、お待ちになりませんよ」


その言葉に反応したのか、春が飛び起きた。


「ルミネ!?」


「はい。本日はアルト王子殿下のご出立の日の朝でございます」


ばさっ!!寝台からブランケットが、吹き飛んだ。


「アルト王子殿下は?ルミネ、寝過ごした?私!」


春は寝台から飛び起き、そのまま床へ飛び降りる。


「春様、まだ夜明け前で、ございます」


寝巻き姿のまま扉に向かう春にルミネが再度、春を停めた。


「春様、そのお姿のまま、アルト王子殿下の元に向かわれるおつもりですか?」


自分の格好を見てみると、ゆるい寝巻き姿に、寝癖姿で、慌てたせいか片方だけ脱げかけた室内履きのスリッパ。春が、笑いながらルミネを見ると呆れた顔をしていた。


「春様は仕方ありませんわ」と、ルミネに一括されてしまう。


「春様、髪型はどのように?」


「ポニーテールでいいかな。多分、走るかもだから」


「春様は、走ることが前提なのですね…」


ルミネの言葉に、春がキョトンとした顔をしながら急いで身支度を整えてもらうと、鏡に映る自分の頬を叩いて気合をチャージすると、ルミネたちと一緒に厨房へと向かった。


「牛乳に塩を入れて、 瓶にこれ全部、入れて振ってもらえますか?」


「春様、こうですか?」


「はい。全力で振ってください!疲れたら交代で、だいたい10分くらいは、振り続けてください」


春がバターを作ろうとしていた。その他の材料を切り分けてると、侍女が瓶を春に渡した。分離した塊をザルですくい上げたら、バターの出来上がり。焼きたてのパンを切り、野菜やハムをバターを塗ったパンに挟む。


…政務が忙しいと食べないって、ダリアンさんから聞いたことあったから、アルト王子殿下食べてくれたら嬉しいな。


そんな想いを込めながら、春はサンドイッチを完成させた。


「ちゃんと殿下が、食べてくれますように──」


春が、咳きながらサンドイッチを包み紙で包んでいると、正門の鐘が鳴る音が春の耳に届いた。


「うそ!もう、出立の時間?」


春は慌てて包みを抱えると、ルミネが慌てて、外套(がいとう)を後ろから、羽織らせてくれた。


「ありがとうルミネ!」


「春様、御髪を…はい、完璧にございます」


背中を押すルミネに、手を振り全力疾走して駆け出す春は、城の外の石畳を蹴り正門前へと急いだ。


正門前では、すでに馬車の準備が整いアルト王子殿下が到着するのを、御者や、執事、侍女たちが殿下の見送りをするために待っていた。アッシュグレーの髪色と揺れる猫耳が、冷たい朝の空気にぴくり と動いた。厚手の外套をまとい、馬車乗り場まで向かうアルト王子。


…春は、まだ夢の中かな?どんな夢を見ているんだろうな。──


春の寝室の窓の方を見つめると、アルト王子は小さく笑い、馬車のタラップに足をかけた時だった。


「アルト王子殿下ー!!その馬車待って!!」


御者が驚き、馬を止める。 アルト王子がまさかと思い振り向くと、息を切らして走ってくる春の姿。 外套(がいとう)が少しずれていて、髪も少し乱れている。


「春…… ?」


少し寒い朝の空気が柔らいだのを感じ、まさか彼女が見送りに来てくれるとは、思いもしなかったアルト王子が、春に駆け寄る。


「はあはあ。よかった間に合って…」


肩で息をしながら、春がアルト王子に包み紙を差し出した。彼女の鼻も頬も赤く色ずいて見えるのは、寒さのせいだろうかと、わずかにアルト王子の猫耳と尻尾が揺れる。


「おはようございます、アルト王子殿下。お誕生日に、クッキー作ったんだけど、渡せずだったので…サンドイッチをお昼に、よかったら食べてください」


その言葉に、アルト王子のオッドアイの瞳が揺れる。


…早出の私に合わせて、こんな素敵な贈り物を届けに……。


「私に、渡すために早朝に起きてくれたのか?」


「はい。ルミネに起こしてもらって…」


その気持ちに、アルト王子が答えるかのように春の肩を引き寄せ、外套の中へと包み込むように抱きよせていた。


"……彼女の鼓動が伝わる。 "


"アルト王子の甘い香り…·


静寂に包まれるが、ダリアンが後ろから呼ぶ声が聞こえ、名残惜しそうに春の腰から手を離す。春の頬へ、アルト王子が、口づけると、ほんの一瞬、春の体が跳ねる。


「春、行ってくる」


アルト王子が、私の耳元で低く(ささや)く声が残り、春の顔は真っ赤になっていた。恥ずかしそうに春が顔を上げると、いつもの穏やかなアルト王子の表情だった。馬車のドアが閉まり、御者の合図が聞こえると、整列してた執事や侍女たちが一斉に、一例をし殿下を見送っていた。

頬のキスと、耳元で囁いたあの声が、残り香を残すように、春の胸の高鳴りは暫く治りそうにない。

一方、春を追いかけていたルミネと他の侍女たちは、物陰からはしたないと分かりながらも、二人を見ていた。ルミネが、つい「しゃー!殿下が、春様を抱きしめたわ!!そこで、キスよキス!くぅー!ほっぺだ!!」と、1人盛り上がってるルミネに、周りの侍女たちが小声で、「ルミネさんってあんなキャラでしたっけ?」と首をかしげてみていたのだった。


書きたかったのは、作者でしょ。って言われそうだな。

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