第2作戦を、ねるねーるね?
絶対、あの偽聖女をたたき落としてやるわ!
作戦が上手くいかず、屋敷に帰って来たミランダ嬢は、自室に入るなりかなきり声で、怒りを顕にしていた。
「私が恥を!あんな女に…殿下と、ファーストダンスを踊るさまを、見せつけるなんて!」
ガシャンと壺が割れる音や、家具や、ティーセットをめちゃくちゃに壊す音が部屋に響くと侍女たちが、小さく悲鳴をあげながら部屋の隅で、震えている。
「許さない…許さない!!ふー!ふーっ!」
レミー嬢の息が、荒くなり髪を掻きむしりながら、喚き散らし癇癪が爆発していると、廊下から靴音が聞こえてくる。
「お嬢様、旦那様がお帰りに」
「レミー!レミー!」
部屋の扉が開くと、心配して帰ってきたレミーの父ジェムズがレミーを抱きしめた。
「お父様…!!私が、このミランダ公爵令嬢の私が、アルト王子殿下の御膳で恥を恥をかいて…ううっ」
早くに、産みの母が病気で亡くなり寂しくさせまいと、贅の限りをレミーに注いできた。父は泣きじゃくるレミーの姿に、可愛い一人娘に、恥をかかせた偽聖女に、怒りが今にも爆発しかけていた。可愛いレミーの髪を撫でながら、必ず亡きものにしてやるとジェームズは唇を噛みしめるのだった。
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「聖女様、どうして会場へ?」
私はありのままの話をアルト王子に伝えると、春が着ているドレスを、ミランダ嬢に託していないと言われ企みがあって?と、私は疑問に思い考えてると、夜風が春の体にあたり、薄いドレス姿のままでは、肌寒く小さく春がクシャミをした。
「聖女様、風邪をひいてしまいます」
アルト王子が、ジャケット脱ぐと優しく私の肩に掛ける。甘い香油の香りが、春の体を包んだ。
「これからは、必ず侍女を呼んでください。聖女様に、万が一のことがあると──」
「アルト王子殿下には、心配ばかりかけて、ごめんなさい。これからは、気を付けます」
アルト王子に伝えると、ダリアンが呼びに戻ってきた。アルト王子が、部屋へ春を送るようにと護衛騎士に伝え、会場を後にした。
「アルト王子殿下、顔がいつもより緩んでますよ」
「緩んでいない」
怪訝そうに頬づえする、アルト王子にダリアンが真顔のまま、呟いた。
「純白のマーメイドドレス姿、お綺麗でしたねー。アルト王子殿下」
アルト王子の尻尾が、パタパタと動いて、膨らむのを横目でチラッと、ダリアンが確認をすると、この反応の面白さに笑いをこらえるのに必死なダリアンだった。
「それより、ダリアン!お前、ファーストダンスの意味を知って、助言したんだろうな!」
「ええ、アルト王子殿下」
すました顔で会場の中を見つめる、ダリアンに睨みをきかせるが、すました顔で普段通り、護衛をしてる親友の悪知恵にアルト王子が、頭を抱えて、椅子に座りながら項垂れていた。
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「聖女様!それでは、我々はこれにて失礼します!」
甲冑姿の護衛が、足並みを揃えて私に敬礼して、開場の護衛の持ち場へと戻って行った。春が、部屋のドアを開けると、侍女ルミネが、私の姿を見て膝をついて待っていた。
「春様!お一人で、夜会に行ってしまわれるなんて!」
ルミネが、ポケットからハンカチを取り出すと、目頭を抑えて泣いているルミネの姿に、春が謝った瞬間、ハンカチを外すと、私を強く抱きしめた。
「あのミランダ嬢を跳ね除けての、アルト王子殿下からのファーストダンスの申し込みは、圧巻でした───春様、誠に、誠におめでとうございます!これで、王子妃として、王宮で暮らせますわ!」
目を輝かせて、神に祈るルミネに春が、脱ごうとしたドレスを下ろしていた手が止まり、ルミネが爆弾発言したことに、声が裏返った。
「え…?おうじ…ひ?ルミネ!?」
「もう。春さまったら。男性が夜会で、女性にファーストダンスを申し込むのは、言わば求婚を申し込むのと同じなのです。この国、ハーベルト王国の、女性なら誰もが憧れるアルト王子殿下の、ファーストダンスを春様が、見事打ち勝ち、そしてその手を、春様がお受けになられたお姿、侍女として、鼻が高いですわ!」
春は開いた口が塞がらす、頭が真っ白になっていた。まさか、あのダンスの申し込みが、求婚の申し込みとは知らず、推しのアルト王子殿下の手をとってしまった…てことは、推しと結婚?!
「冗談は、夢だけにしてええ!!」
春の部屋から叫び声が夜空に響く中、パーティー会場もまた、静けさは収まらずに、閉幕する夜会なのでした。
作者は、ダリアンがアルト王子を上手く手で転がして遊ぶ描写を考えるのが癖になってきました(ノ∀`)タハー




